成長の道――『君たちはどう生きるか』で見つけた人生の指針
崔一墁(山東文化産業職業学院)
『君たちはどう生きるか』を読んで、吉野源三郎が描く世界観と人生観に深く心を動かされました。叔父から少年「コペル君」への手紙を通じて語られるこの物語は、単なる成長記ではなく、人生の意義と正しい生き方を探求する哲学書です。主人公のコペル君は、世間知らずの少年から、人生の本質を理解し、深い洞察を得る人物へと成長していきます。
本書で強調されているのは「真の自分を知り、それを生きることの大切さ」です。「人が生きる意味を知るには、まず本当の自分として生き、その中で感じ、体験しなければならない」という言葉は、私自身にも問いかけてきます。私たちは本当に自分を理解しているのか、それとも日常に追われ、心の声を無視しているのか。真の感覚に従って生きることで、初めて人生の意味が見えてくる――それは、私自身の生活でも何度も実感してきたことです。
また、困難や苦痛に直面したときこそ、人間の偉大さは、自らの不幸を受け入れ、それと向き合うことにあると本書は説いています。吉野源三郎の言葉「人間が偉大であるのは、自分の不幸を認めるからだ」は、私にとって深い示唆を与えてくれました。試練や困難は、成長の促進剤であり、逃げずに正面から向き合い、そこから学びと力を得ることで人は成長できるのです。
コペル君と家族や友人との交流を通じて描かれる人間関係の複雑さと美しさも、この物語の魅力です。一つひとつの出会いはかけがえのないもので、それらが人生を彩る貴重な一部となります。喜びも苦しみも、その全てが人生の一端なのです。さらに、貧困と富、得ることと失うことといった人生の極についても、本書では深く掘り下げられています。「貧しいからといって卑下することなく、富めるからといって驕ることなく」という教えは、どのような境遇にあっても、内なる平静と謙虚さを保ち、自らの信念と価値観を揺るがさないことの大切さを私に教えてくれました。
『君たちはどう生きるか』は、単なる成長物語を超え、人生の選択や価値を深く問いかける作品です。この本は、私たちが外的な定義や現実に縛られず、勇気を持って自らの夢を追い、望む人生を生きるべきだと教えてくれます。どんな困難があっても、正しい人生観を持ち、問題に真正面から立ち向かい、積極的に解決策を見出すことが重要です。そして、絶えず学び、思索し続ける力を養い、人生から学びを得て自己を高めていくことが、何よりも大切だと感じました。