『窓際のトットちゃん』の感想
王子玉(大連外国語大学)
『窓際のトットちゃん』は愛情と温かみに満ちた小説です。この小説には「あなたはほんとにいい子」という言葉が全文を繋ぐ筋のように3回出てきます。この作品は主人公のトットちゃんを中心にした、愛し愛される物語です。
「あなたはほんとうにいい子」という言葉が最初に出てくるのはトットちゃんが初めて巴学園に来た時のことです。その時のトットちゃんはやんちゃな年頃で、好奇心に満ちていて、時には「嫌な思いをする」ことさえありました。だから退学させられてしまいました。前の学校の話になると、トットちゃんは寂しくなって、自分が変な子供なのではないかと疑い始めました。小林校長はトットちゃんの頭を軽くたたいて、「あなたはほんとにいい子」と言いました。トットちゃんは「私は確かに良い子だ」と信じて、それに応じた努力をし、良い方向に向かいました。
「あなたはほんとうにいい子」という言葉の第2回目の登場は戦争のため休校を余儀なくされた時のことです。小林校長が教育に自信を失い、悔しそうにしていると、トットちゃんは何かわかったようで、「私は大きくなったら、この学校の先生になる」と言いました。小林校長はトットちゃんの目に、ダイヤモンドより貴重な、より輝いているものを見つけました。それは希望でした。小林校長はトットちゃんと抱き合って別れました。彼は「あなたは本当にいい子ですね。」と言いました。初めて会った時は小林校長がこの言葉でトットちゃんに力を与えましたが、今回はトットちゃんが小林校長に力を与えました。これは小林校長の教育が実らせた果実だと思います。
「あなたはほんとうにいい子」という言葉の第3回目の登場は戦争で引っ越しする時のことです。青森に向かう途中トットちゃんは疲れた母親の代わりに妹をあやしました。小林校長のように、懐の中の妹を軽くたたいて「あなたは本当にいい子」とつぶやきました。トットちゃんは自分の愛された方法で妹を愛し、その愛を伝え続けました。トットちゃんもう成長したのです。小林校長の教育は、美しい花を咲かせました。
あるとき小林校長は「池の中に飛び込む蛙を見たひとは、芭蕉ひとりではなかったろうに」と言いました。美しい視点で物事を見ることができる小林校長は、すべての子供のユニークさを包容して、花を花にして、木を木にしました。温かい心を込めて、子供の個性を大切にしていました。
日本文化の背景の下で、このような生き生きとしたかわいい人物が育てられたのです。私はとても感動しました。小学生の頃に初めてこの本を読んだ時、私はトットちゃんのような元気な人と友達になりたくなりました。小林校長のような優しい先生に出会いたいと思いました。もう10年が経ちました。今はトットちゃんと同じように誠実で善良で、小林校長のように温かく、人を助けることができる人になりたいと思っています。