天津の朝食に垣間見る、文化の昔ながらの味ーー香り高いアツアツの巻圏

2018-08-21 10:38:11

 

「朝食」は一つの都市の味覚の記憶であり、起きぬけの一口はことのほか重要である。小さな店を探して、並んでお金を払い、食券を受け取り、料理を受け取る。腰を下ろすとさじがお碗に当たる音、口からはむしゃむしゃという咀嚼音がし、知り合いを見つけると頭を挙げ挨拶をして席を移る。これが天津の早朝の日常で、漫然と、淡々としている。

天津の朝食は、基本的に一カ月間ずっと違うものを食べ続けることができる。みんながよく知っている老豆腐(餡かけ豆腐、豆腐脳ともいう)、豆乳、餜子(油条、つまり揚げパンのこと)、茶卵(茶と醤油や香料などで煮た卵)のほかに、天津の昔ながらの朝食には極めて特色あるご馳走がある。すべて味わい深く、昔ながらの味が残されている。

 

香り高いアツアツの巻圏

 

  

 

天津の素巻圏(天津版揚げ春巻)は、必ず新鮮な湯葉を使って巻く。具には質の良い緑豆もやし、細切りの押し豆腐、さらに春雨やキノコなどを加え、さらにゴマだれ、腐乳(発酵豆腐の塩漬け)、料理酒、ショウガの千切り、細かい塩、サンショウ水、キノコ汁などをまぜた濃厚な汁であえる。

巻圏を揚げる油はきれいで透明でなくてはならず、揚げた後の皮は黄金色で、外側の皮はサクッとし、その下の皮には歯ごたえがあり、一口噛むなり香りが飛び出て来る。

民俗学者・食文化研究者の由国慶によれば、かつての天津の三岔口一帯にはその名を知られる傳家巻圏があり、肉入り、野菜のみの2種類があり、どちらも新鮮な湯葉で包まれ、具には脂身と赤味がほど良いバランスの細切り肉、押し豆腐の千切り、寛粉(サツマイモ粉でつくった太めの春雨のようなもの)、タケノコ千切り、キノコや野菜などが入っている。しかしこの巻圏は半月形で、伝統的な枕のような形のものとは異なる。 (毎日新報記者王晨輝=文 L=編集) 

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