中国、人気芸能人の手書きフォントが人気に 漢字文化のPRにつながる?

2018-05-16 10:46:18

 

 

江蘇衛視(衛星テレビ)でこのほど放送された音楽番組「無限歌謠季(Unlimited Song Season)」では時折、字幕に「漢儀毛不易体」のフォントの歌詞が表示された。「漢儀毛不易体」とは、人気歌手毛不易の手書きの漢字を基にして作られたフォントだ。北京日報が報じた。

中国ではこのほど、有名人の手書きの漢字を基にしたフォントが人気になり、チャットソフトQQやテレビの字幕、携帯などで使われており、その手本とするために毛不易が書いた字がファンの間で人気となっている。ファンらは微博(ウェイボー)に、「私は字マニアだから、お手本がほしい」、「比べると私は字が汚いから、もう生徒に見せられない」、「毛先生(毛不易)の字を手本にしたら、大学受験の作文の点が23点上がりそう」などの声を寄せている。

手書きの字がフォントになった有名人は毛不易が初めてではない。20074月、人気女優徐静蕾の手書きの漢字が、個人の手書きの字体としては中国で初めてコンピューターのフォントに盛り込まれた。そして、ここ数年、郭敬明や井柏然、趙麗穎、唐嫣、張傑ら芸能人約20人の手書きの漢字がフォントに盛り込まれるようになった。井柏然のマネージャーによると、それによって井柏然は80万元(約1380万円)を稼ぎ、その後全額を寄付したという。

フォント作成向きなのはどんな芸能人

漢儀字庫の謝立群最高経営責任者(CEO)は、「これは、イノベーション商品の一種で、人気芸能人を通してフォントの消費を刺激するビジネススタイル」と説明する。

そして、「人気芸能人で字がきれいというだけでは不十分で、いくつかの条件を満たしていなければならない。まず、その芸能人のファンは若いほうが、フォントを利用する人が多くなる。高齢のアーティストの中にも字がきれいな人はいるが、若い人の間で認知度が低いため、ビジネスという観点から見れば、条件を満たしていない。そして、字がある程度きれいであることで、あまりに汚いのはだめ。フォントには絶対にできないような字の芸能人もいるし、そのような芸能人はフォントにすることも望んでいない」という。

漢儀字庫は通常、芸能人に字を700文字書いてもらい、その後、スタイルや字画を分析し、整理してフォントを作成する。「字をデザインするのとは違い、それらは全て手書きであるため、ラインのスタイルに対する要求はそれほど高くない。芸能人一人のフォントを作成するのに約半月かかるという。

芸能人のフォント人気で漢字の練習がブームに

漢儀字庫は、フォントを作るための条件はその芸能人の評判やルックスとは無関係であると感じるようになっている。影響力が大きく、字もきれいでなければならず、そのような芸能人を探すのは今、至難の業となっている。

しかし、有名人の手書きの漢字のフォントが人気となり、それを活用したビジネスが今でも活発だ。人気ドラマや映画などの要素を基にしたフォントが中国では大人気となっている。例えば、2017年のドラマ「三生三世十里桃花(Eternal Love)」のフォント「十里桃花体」は今でも多くの人がダウンロードして利用している。

中国の検索エンジン搜狗(Sogou)の中国語入力システム字媒体の責任者郭敏氏によると、「字の練習」は自分にとっては身近な事ではないと感じている人もいるが、字を練習する人が集まるグループを作って、字を練習した日は微信(WeChat)を通して他の人に伝えるというスタイルが人気になっている。「私の周りにも毎日字の練習をしている人がたくさんいる。芸能人の手書きのフォントが人気になったことで、多くの人が漢字に注目するようになった。そして、字を書いたり練習したりすることのPRにもつながっている」と郭氏。

また、「社会はもっと多くの人気芸能人が手書きのフォントを作成するよう奨励するべき。芸能人がカメラの前で自分の『顔』だけを披露するのではなく、自分の書いた字や文章、絵、そして音楽などを披露するというのは、とてもおもしろく、エレガントなことだ。そのような社会をみんな望んでいると思う」と語る。

 

「人民網日本語版」2018516

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