貴州徳江:小さな笹の葉 海を渡って世界へ

2020-06-24 16:08:42

 

中国ではまもなく端午節を迎える。端午節といえば、ちまき作りに欠かせない「笹の葉」を連想する人も多いだろうが、中国の貴州省徳江県で採れる笹の葉は今、日本人の食卓にも姿を現れるようになった。

 

「こちらはすでに真空包装して殺菌済みの商品で、箱に詰めて直ちに日本に発送できます」。貴州施仁現代農業有限会社の生産ラインでは、従業員たちが笹の葉の等級付け、洗浄、包装、箱詰め作業に効率よく取り掛かっている。これは日本に発送する予定の500箱だ。

 

 例年と違って、今年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、発注は一時中断されたが、2月下旬に職場復帰・操業再開してから、サウジアラビアや韓国、日本などの国々からの発注が次々に回復している。「この500箱はすでに上海に到着し、状況を見ていつでも日本に発送できます」

 「傩劇(中国の国家級無形文化財)の里」と称えられる徳江県は貴州省東北部の高原に位置し、野生の笹がたくさん生えており、各郷・鎮に広く分布している。しかし、この多年生常緑草本植物は長年、現地の人々にとっては山奥に生えている葉っぱにすぎず、見向きもされないほど利用価値が低かった。「上質な天麻(生薬)は貴州にあり、貴州の天麻は徳江にある」といわれる「名高い」天麻に対し、野生の笹の葉は無名で、山の至るところにありながら、誰も採ろうとしないものだった。

 

ところが、貴州施仁現代農業有限会社はこの小さな葉っぱに商機を見いだした。会社の総経理を務める滕樹東さんは各郷・鎮に足を運んで下見と視察をした後、関連技術を導入し、昨年11月にようやく徳江県で唯一の笹の葉輸出会社を設立した。「徳江県の野生の笹の葉は品質が良い上に分布範囲が広く、香りもあるので、これを巻いたちまきはさわやかさが漂います。加工された輸出用の笹の葉は主に寿司や盛り合わせ料理、料理の飾り付けなどに使われ、国外からのニーズが大きいです」

 「弊社は昨年設立したばかりですが、すでに東京、大阪、名古屋にある六つの日本企業と業務提携しています。生産能力は1月当たり800箱ですが、そのうちの70%が日本向けです」と本誌の取材に滕さんが答えた。

 

そして、野生の笹の葉の摘み取りや加工作業は多くの労働力が不可欠で、その輸出は現地の村民に雇用と収入源を与えた。「私たちは労働集約型の会社で、現在30人余りの従業員が働いています。収穫期になると、より多くの労働力が必要になります」。笹の葉の収穫期の間、会社は現地の人々に雇用機会を提供するだけでなく、各郷・鎮に買い取り所を設けることで、村民の摘み取りや販売の利便性も考慮に入れている。かつて「無名」だったこの小さな葉っぱは現地の人々に収益をもたらし、今後も長く続く産業にまで成長した。

今後、会社は徳江県の資源的優位性を発揮し、笹の葉の生産と販売を引き続き拡大させると同時に、栄養豊富な現地の春の山菜――ゼンマイも日本に輸出する予定だという。文:続 昕宇

画像はネットより引用

人民中国インターネット版 2020年6月24日

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