東アジア文化都市·泉州(4) 宗教の多様化と「無為而治」

2021-08-02 13:52:11

呉文欽=文

陳剣=写真

 「山不在高、有仙則名(山は高くなくとも、仙人が宿ればその名が知れ渡る)」という古いことわざがあるように、泉州の北に位置する清源山は、「仙人が宿る」ことで有名な山だ。この山には道教の寺院と仏教の寺院が併存し、有名な「老君岩」がある。

 老君岩は清源山の南麓にあり、高さ5・63㍍、最厚部8・01㍍、幅6・85㍍で、道教の創始者・老子の像だ。自然の岩を削り出して作られたこの像は、南に向かい泉州を見下ろしているようだ。「老君」は、静かな山間に身を置き、茶卓にひじをついて座り、時に景色を眺め、時に小鳥のさえずりを聞いているかのように見える。石像は自然と一体化し、それ自体が「有物混成」や「道法自然」といった道教の思想を表現している。

 老君岩周辺で出土した石材は、開元寺の東塔と西塔に使われている南宋時代の石材ととても似ていることが証明されている。これは老君岩が宋代の遺跡であることを物語っている。

 宋代の歴代の皇帝は国を治める際、道教の思想を重視していた。当時、中国全土には多くの道教寺院が建立され、多くの道教神が確立された。現存する中国最大の道教石像である老君岩は、宋朝の朝廷が公式に道教を重視していたことを背景に建てられた。宋・元の海上シルクロードの全盛期に、泉州の地方宗教が渡来した外国の宗教と共に発展できたのも、老子の「無為而治」(何も人為を加えないで天下をうまく治める)の考えがあったからだろう。

 

老君岩

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