東アジア文化都市·泉州(5) 「燕尾脊」の下の市民生活

2021-08-02 14:00:48

袁舒=文

陳剣=写真

 整然と並んだ番仔楼(福建省南部の洋風建築の総称)の前を、多くの電動バイクが走っていく。通りに面した麺線糊(泉州の名物で、糸のように細いうどんを豚の腸やカキなどと一緒に煮込んだもの)の屋台は朝食をとる市民でにぎわい、観光客は土筍凍(土筍という海辺に生息する虫を加工してゼリー状にした菓子)を片手に大きなガジュマルの木の下をまったり散策している。すぐ横の寺院では参拝客が後を絶たない。こんなにぎやかな光景が夜遅くまで続く。

 

人々でにぎわう夜の西街

 この泉州市鯉城区に位置する西街は、泉州で最初に開発された商店街で、市内で最も保存状態の良い旧市街でもあり、宋の時代から泉州の繁栄ぶりを見守ってきた。旧市街では建築物に高さ制限があるため、道を歩いていても高層ビルの間を縫うような威圧感はなく、古い赤れんがの家々と青い空、白い雲が絵に描いたような風景を作り上げ、「燕尾脊」(福建省南部独特のツバメの尾のように反り上がった屋根)は本物のツバメのように今にも飛んでいきそうだ。

 

福建省南部の伝統的な建物によく見られる赤れんがの壁と「燕尾脊」

 泉州の旧市街には、大小330以上の通りや路地がある。幹線道路はさまざまな店舗でにぎわっているが、ふらっと路地に入ると、気取らない市民生活に出会うことができる。狭い路に面した家では、白髪のお年寄りが扉を開けたままの居間に座って「功夫茶」を飲み、学校帰りの子どもたちは売店で買ったお菓子を分け合い、料理の音やテレビの音が、旅人の心にほのかなノスタルジーを感じさせる。西街には、歴史の痕跡だけでなく、泉州の人々の生活そのものが息づいている。観光スポットとして整備されているが、昔からの住民が他へ引っ越すことはなく、この通りはありのままの生活の雰囲気を保ち続けている。

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