東アジア文化都市·泉州(7) 漁村の鮮やかな記憶

2021-08-02 14:05:37

袁舒=文

陳剣=写真

 泉州の晋江河口の北岸に、蟳埔村という小さな漁村がある。ここは三方を海に囲まれており、現在でも漁業が主な産業だ。村人は海の恵みを受けて生活し、泉州元来の漁村文化を鮮明に保っている。

 この村で最も有名なのは、ここに住んでいる女性たち――蟳埔女だ。蟳埔女は泉州の東部に位置する恵安県の恵安女と並んで、泉州地域の有名な海女さんだ。彼女たちは家事の切り盛りが上手な上に働き者で、男性が漁に出ている時には魚籠を背負ったり、天秤棒を担いだりして、海でエビや魚を捕ってくる。また、彼女たちの独特で美しい伝統衣装は、数多くの旅行客を魅了している。

 既婚の恵安女は皆、重い銀の鎖を腰に巻いている。これは新婚の時に男性から女性に贈られるもので、妻としっかり結び付き、決して離れないという意味が込められている。恵安の女性の最も特徴的な装飾は、花柄の四角いスカーフと頭にかぶる黄色い笠だ。このような服装の起源はいまだはっきりしていないが、海辺で働く人にとって、四角いスカーフは保温や髪の固定に役立ち、笠は雨風を防ぐための必需品だ。

 同じく頭部の装飾で、蟳埔女は「簪花囲」というユニークな髪型をする。蟳埔女は子どもの頃から髪を切らずに長く伸ばし、11~12歳になると赤い糸で髪を結ってお団子にし、象牙のかんざしをつける。そして、花で作った飾りを少なくとも1、2個、時には4、5個、結ったお団子を中心に輪にして挿していく。最後に、金や銀のかんざしやくしを挿して、頭全体を花が咲き乱れた小さな花壇のように仕上げていく。蟳埔では女性が結婚する際、頭につけた花を女性の親戚や友人に配り、幸せを分かち合うそうだ。

 

海に漁網を投げ入れる恵安女

 蟳埔村の建物は、泉州市街地の赤れんがの建物とは大きく異なり、全体的に灰色のイメージだ。よく見てみると、建物の外壁には無数のカキの殻がはめ込まれている。昔、泉州港から商品を積んだ商船が出航し、世界各地で商品を売った後、何も載せずに帰ってくることがよくあった。その時、帰りの船を安定させるために、商人たちは現地でたくさんカキの殻を拾い、バラストとして使っていた。これらの大きなカキの殻が泉州に運ばれた後、蟳埔村の人はそれを集めて建築材料にし、蟳埔村独特の「蚵殻厝」を建てた。カキの殻でできた壁は、外観がユニークなだけでなく、冬は暖かく、夏は涼しいという特徴もある。

 

村の伝統行事に着飾って娘と出掛ける蟳埔女の黄麗泳さん。後ろにあるのは蟳埔村の伝統家屋「蚵殻厝」

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