文化・歴史・名所が紡ぐ瀋陽 海外ライバーもたたえる新都市発展

2021-12-03 17:17:27

瀋陽市党委員会宣伝部=文・写真提供

中国北東部・遼寧省の省都—瀋陽は、「一帯一路」の重要な拠点都市である。近年、瀋陽は文化都市づくりに重点を置き、「文化の瀋陽・歴史の瀋陽・景勝の瀋陽」というテーマに沿って、国際的な視野を広げ続け、対外開放を拡大し、国際的な経済協力に積極的に参加している。

その瀋陽はこのほど、「一帯一路」の共同建設に参加して得た新たな発展、新たな成果をさらに示そうと、中国に常駐する「一帯一路」沿線11カ国のライバーとキャスターを招き、現地を見学してもらった。満州族の風情あふれる歴史的な建造物や、当地の特色あふれる公園や書店、風光明媚な稲田や渾河から瀋陽の歴史と文化、山紫水明を感じ取れるだろう。

 

瀋陽故宮の大政殿の前で行われた皇室儀礼のショー

 

二代皇帝の宮殿―瀋陽故宮

瀋陽は豊かな歴史と文化遺産を誇り、古くから「一代王朝の発祥地、二人の帝王の都」として知られる。その代表が、清王朝が北京に入る前にヌルハチ、ホンタイジの二代の帝王が築いた「盛京皇宮」――瀋陽故宮だ。

瀋陽故宮は、明清時代の瀋陽旧市街の中心に位置し、1625年に建設が始まり、36年に完成した。敷地面積6万平方㍍に清代の建物114棟、計500室余りを留める。満州族の伝統文化を色濃く残す建築だが、同時に漢族・満州族・蒙古族・チベット族など多民族の建築装飾の粋が集められている。また、宮廷建築と地方の民家建築の特徴が溶け合い、北京に入る前の清朝の宮殿建築の最高の技術と芸術の精華を代表しており、文化遺産として非常に高い価値を持つ。

瀋陽故宮は1961年、国務院により全国重点保護文化遺産の第1陣に加えられた。また2004年には正式に世界遺産リストに登録され、17年に国家一級博物館に選ばれた。瀋陽故宮は、北京の故宮と並び中国で現存する二大宮殿建築群の一つだ。

瀋陽故宮に一歩足を踏み入れると、グアテマラから来たライバーのセリアさんがライブ配信を始めた。配信後、セリアさんは感激した様子で、「フォロワーの皆さんに、一緒に中国文化を理解しましょうと呼び掛けると、みんなが宮殿内の建築に舌を巻いていました」と語った。スペインのライバーのノリアさんは、鳳凰楼の前で瀋陽故宮をテーマにしたアイスクリームを食べながら、フォロワーに瀋陽故宮の美しい景色を紹介した。

 

高さ4㍍のれんがの基壇の上に建てられた、盛京(瀋陽の旧称)の最高建築と言われる「鳳凰楼」

 

窓の外に広がる緑―「ポケット公園」

習近平総書記のエコ文明思想をしっかり理解し、「緑水青山就是金山銀山」(美しい山河こそがかけがえのない宝物)という理念を実践するため、瀋陽は今年、全市内に1000カ所の「ポケット公園」を建設した。ポケット公園はミニ公園とも呼ばれ、その名の通り比較的小さな緑地のパブリックスペースである。都市の中でスポット状に点在していたり、ひっそり隠れていたりし、都市の生態環境を改善するだけでなく、近隣住民のフィットネスや余暇の格好の場となっている。

総合的な公園と比べると「ポケット公園」の利用率は高く、そのデザインは公園と道路が一体化して身近にあり、市民はいつでも中の緑を楽しむことができる。また、どの公園もテーマが異なり、例えば廃車となった汽車が主役の「節約公園」や、日本庭園の風情が漂う「新都心公園」、おしゃれな建物があふれる「時代公園」などがある。

最近作られた「遊び満載ポケット公園」は、大東路と大什字街が交わる場所にある。敷地面積は1300平方㍍余り。もともとは土地収用後の空き地に作られたバスケットボール・コートだった。設備が古くなり、緑の風景や地域サービスの施設が不足し、周辺住民のバスケットコートの利用率も低かった。

今年、ポケット公園の建設理念に基づいて施工後、東北の民間に伝わる遊びの要素を彫塑や展示壁などの形で公園建設に巧みに取り入れた。おかげで、今ではこの子ども時代の思い出を呼び起こす公園は、瀋陽市民お気に入りのSNS人気観光スポットになっている。

ここで、お年寄りたちのヤンコ踊りを見た外国人観光客たちは、興味深そうに次々に踊りに加わり、すぐに基本ステップを覚え、中には難しいハンカチ回しまでできるようになる人もいた。また地元のお年寄りたちと羽根蹴りや輪回しで遊ぶ者もいた。

「ここには瀋陽人の本当の生活があります。お年寄りは楽しそうで、その暮らしぶりはとても健康的ですね」。メキシコから来たマックスさんは、ライブ配信を通じて目に映る瀋陽の生活をシェアした。


空から見た時代公園

 

都市書斎―莫子山店

瀋陽市は近年、文教都市づくりのため、「15分読書文化サービス圏」(市内どこでも徒歩15分で行ける身近な公共文化施設)という目標に基づいた「都市書斎」の創設に力を入れ、市民の「精神的な空間」を創っている。同市渾南区では19年、使われなくなった工場を改装し、都市書斎の莫子山店とした。この施設は3階建てで、外観はシンプルでモダン。延べ床面積は4467平方㍍で書籍総数は約12万冊。これは東北地方で最も広く、最も設備が充実し、書籍の数・種類とも最多で、最新のスマート技術を備えた都市書斎と言われる。

莫子山店には、家庭のリビングのような自由な閲覧環境が作られ、人と書籍、空間が生活と見事に溶け合っている。前出のセリアさんは、中南米のフォロワーへのライブ配信で、「皆さんは想像できないかもしれませんが、ここでは、近視など目の悪い人は眼鏡を借りられるし、洋服が破れたら針と糸を貸してくれるなど、サービスが実に行き届いていて驚くほどです」と感動していた。

 

「都市書斎」莫子山店の全景

 

田園に夢を描く―稲穂で作る絵画

青い空と白い雲の下、見渡す限りの稲田が瀋陽市瀋北新区の興隆台シボ(錫伯)族鎮に広がっている。稲田の景色をテーマとした「稲夢空間」観光スポットは、面積3万ムー(1ムーは約0・067㌶)余りで、絵と文字が絶妙に組み合わさった「田んぼアート」が外国人観光客の前で輝いている。色とりどりの稲穂が風に揺れると、まるでダイナミックな3D効果のように、田んぼアートの絵がより生き生きとしてくる。

観光とイノベーション農業が完全に融合した「稲夢空間」は、瀋陽観光の新たなランドマークで、「中国の田んぼアートの古里」「中国で最も美しい田園」と評判だ。GPS(全地球測位システム)による測定から手作業による田植えまで、田んぼアートの制作には半年以上の時間がかかる。設計者によると、技術レベルを上げるためチームは海外に行き、田んぼアートの発祥地である日本の青森県田舎館村で、最も鍵となる遠近法の技術を学んだという。

今年、稲夢空間には、中国共産党創立100周年を祝う巨大な絵のほか、労苦をいとわない牛の精神を発揚する「三牛精神」や、貧しい人々のために絵を描く画家の物語「馬良の神筆」、さらに浮橋の上から眺めるアオガエルやトンボなど、多くの田んぼアートが描かれた。

中国中央テレビ・国際チャンネルのキャスターで、エジプト出身の王慕林(アブドラアジズ・アーマド)さんは、「稲夢空間から瀋陽のエコツーリズム発展の革新的な試みが見て取れました。これはとても成功しています。生態環境はエコツーリズムが発展するための土台であり前提です。瀋陽はこの分野でとても良くやっています」とたたえた。

 

ボート競技の文化―渾河基地

渾河は瀋陽の母なる川と呼ばれ、国家レベルの水利景勝地で、優れた水資源に恵まれている。渾河は、米国ボストンのチャールズ川(世界でも有名なチャールズ川レガッタ大会の開催地)と緯度がほぼ同じで、気候条件や自然景観などの面でも似ており、さらに水域の環境や都市文化、文化的な景観もより特徴的だ。ボートに詳しい人は皆、「ここは国際レベルの静水レースコースを備え、特にボートに代表される水上スポーツの発展にはうってつけです」と認める。

渾河の水上専用レースコースは、中国ボート協会の専門家の意見をもとに作られた専用の2000㍍の直線コースで、B級大会が開催できる条件を満たしている。

ここには渾河の素晴らしい景色があるだけでなく、瀋陽のランドマークである盛京大劇場やK11芸術センターを一望のもとに見渡すことができる。ここは全く新しい都市ウオーターフロントとしての特徴を持つSNS映えのスポットだ。

瀋陽は今後、都市文化とボートスポーツをつなげ、渾河を世界4大ボートスポーツ基地の一つとして整備を進め、国際的なボート文化の都を目指して発展していくつもりだ。

 

渾河の静水ボートコース

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