遠くに雪山を望む温江区の風景(写真・張志強)
「窓に含む西嶺千秋の雪、門に泊す東呉万里の船」(窓の向こうには千年の雪を頂く西嶺が見え、門前には東方の呉から万里を経てやってきた船が泊まる)。これは中国を代表する唐代の詩人、杜甫が成都に居を構えていた際に詠んだ名句だ。それから1100年経った今も、成都市温江区では晴天の日になると、詩の中で歌われた遠くに雪山を望む風景が現れ、人々の目を楽しませている。
このような美しい景観は、温江区の地理的優位性、豊かな緑と水資源、そして生体環境保護への熱心な取り組みのたまものだ。近年、温江区は「南城北林」という都市計画に立脚し、国家生態文明建設モデル区の創設で成功を収め、グリーン中国模範都市に選ばれた。雪山を望む田園都市の温江区は、ますます美しい都市に変わりつつある。
田園都市を網羅する緑道
近年、温江区では全長698キロに及ぶ緑道の整備計画が進んでおり、すでに完成した全長65キロの北林緑道では、ミニマラソンや自転車レースなどが開催されている。
温江区の北林緑道(写真・孫琳)
また、温江区の南側には南城緑道が整備され、スポーツ場、ブックカフェ、噴水広場などと合わせて、市民の憩いの場や消費スポットとなっている。
温江区は緑道をベースとして、田園都市における生態システムの構築に注力し、グリーンスペースと暮らしのコミュニティの有機的融合を推し進めており、自然に親しめる生活空間を作り上げている。
二つの川が育む水辺の都市の美
江安河と金馬河は、温江区を流れる二つの主な河川だ。近年、同区は治水に力を入れており、かつて金馬河沿いの荒れ果てた砂州だった魯家灘は、長年の改修工事を経て、成都でも指折りの美しい場所に様変わりし、600ムーの水面が広がる生態公園となった。現在では成都近郊でレジャーやランニング、サイクリングが楽しめる人気スポットとして、毎年100万人近い市民や観光客が同地を訪れている。
温江区の金馬河魯家灘公園(写真・張志強)
ゆったりと流れる江安河の眺めが特に美しい温江区の公平街道では、その自然の恵みを生かした「花想江安」と題するプロジェクトが進められ、景観の美しさと文化的価値を兼ね備え、産業と情景をリンクさせた田園都市の新たな風景が作り出された。その後、同地はすぐさま新たな人気スポットとなり、記念撮影で訪れる人々が跡を絶たなかった。
街の歴史と文化を伝えるさまざまな工夫
近年、温江区は旧市街の再開発を進める上で、文化的資源を保護し、文化的要素を生かして、住民たちが思い出や郷愁を心にとどめられるよう、取り組みを行っている。
温江区南街コミュニティの団結巷は、100年の歴史を持つ古い路地だ。再開発後、路面は青灰色の石畳に変わり、路地の両側に並ぶ腸詰め店や豆腐屋、白酒店などは「修旧如旧」(元のたたずまいを忠実に再現した改修)と書かれた看板を掲げている。また、壁の銅製レリーフは油条(揚げパン)売りの朝食屋台や茶館といった、人々の心を打つ古き良き温江区の風景を描き出している。それらが相まって、団結巷ではあちらこちらから歴史と文化の息吹が感じられる。
団結巷の温江文廟(写真・田相和)
緑道、江安河と金馬河、文化的資源などさまざまな魅力を持ち、生態に恵まれた温江区は間もなく、田園の風情に満ちた現代的都市になろうとしている。
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