北京外国語大学が国際発信能力インデックス・マトリックスを発表

2022-05-31 16:31:02

 国際発信能力の強化に関する習近平総書記の「5・31講話」から1周年を迎えた2022年5月28日、北京外国語大学は「インデックス・グローバル2022 国際発信能力インデックス・マトリックス発表会」を開き、趙剛副学長が発表会の司会者を務め、国際発信能力に関するインデックス・マトリックスについて初めて公表した。

 北京外国語大学の楊丹学長は開会の挨拶で、国際発信能力インデックス・マトリックスについて、「習総書記の『5・31講話の精神を学術研究の成果で実践するために、北京外国語大学は世界初の国際発信能力インデックス・マトリックスを開発し、『全言語』戦略による発言力の向上、『全方位』マトリックスによる主体的求心力の強化、『全過程』の最適化による行動効力の向上を含む中国の国際発信能力構築の理念を掲げている。さらに国際的発信の影響力、中華文化の感化する力、中国イメージの打ち解ける力、中国語言説の説得力、そして国際社会世論をリードする力の構築をそのコアとして、中国語の言語体系におけるイノベーション能力の向上と学術的言説の大衆への発信、そして、中国語言説の国際発信能力の強化のため、さらにより多くの貢献をしていきたい」とした。 

 

 中国共産党中央対外連絡部の于洪君元副部長は挨拶の中で、「これまでのどの時代よりも国際的発信が重視される今の中国では、国際発信力の向上が『一帯一路』(the Belt and Road)事業と『人類の運命共同体』構築と緊密に関わっている。国際発信力の構築には、人類社会で感情の共鳴を得られるような優れた物語や題材が必要であり、また、国際交流と協力事業による推進も欠かせない。この分野において、北京外国語大学は常に優位性を備えており、重要な役割を果たしてきた」とした。 

 また新華社の厳文斌元副社長は挨拶の中で、「『5・31講話』1周年に際し、北京外国語大学が高い責任感と使命感から、『国際発信能力』インデックス・マトリックスを公表したことはまさに時宜を得ており、各界からの期待が高まっている。また、今回の一連のインデックス発表は、各レベル・各種のメディアがその評価基準に基づいて、自らの国際発信能力を強化する動きを推し進めると同時に、欧米のデジタル覇権への積極的な対応として、メディア指向からデジタルプラットフォームへという国際的発信の思考パターンの転換を促し、また、国家の翻訳主権を強化し、国際的な言説環境における中国の主体的な発言とパワーを意味することだ」と指摘した。

 続く基調演説においては、中独友好協会の史明徳会長が、楊丹学長率いる北京外国語大学の「インデックスから見る世界」プロジェクトについて、今後の人文社会科学の発展の動向を代表し、強い問題意識を持ち、学問分野の壁を乗り越えた学際的研究と協力の試みだと高く評価した。北京語言大学元共産党委員会書記の李宇明教授はインデックス研究の意味について、学界の進歩と業界の進歩を促し、国際協力を実現させ、中国の声を世界に伝えるものだと述べた。

 国際的発信における中国の発言権の強化には、言語と言説のポテンシャルエナジーの転換が必要となる。その後のインデックス発表では、まず北京外国語大学ならではの優位性を生かした合計101種の言語に基づくグローバル言語インデックスが発表された。そのうち、「国家言語能力インデックス」は197の国を対象に、それぞれの言語を数量化して、比較分析を行っている。また「国家翻訳能力インデックス」は世界の193ヶ国の翻訳能力について統計分析し、ランキングしている。

 新しい時代の中、国際的に発信する媒介は従来のメディアだけとは限られなくなってきている。今回はさらに国家、都市、企業、メディア、学者など複数の主体に関する国際発信インデックスを発表し、中国の発信能力の現状を多角的に評価した。「国家の国際発信能力インデックス」は政治、貿易経済、文化など複数の分野のデータに基づいて、195の国と地域の国際発信能力を評価している。「都市の国際発信能力インデックス」は、ハードパワー・ソフトパワー構築から53の国内重要都市の国際発信能力を分析している。「中国企業の国際発信能力インデックス」は上場企業、4489社の国際発信能力について統計分析し、中国企業のことを語り、中国企業の声を届けるインデックスとなっている。「世界のメディアのインターネット発信インデックス」は、世界的に注目された出来事のニュース報道におけるメディア各社の情報の「アプローチ」、「情報分析」、「アイデンティファイ」能力を考察した。「世界中国学研究インデックス」は21世紀以降の世界の中国学研究分野において高い成果を挙げている世界の学者とその学術的な貢献について、初めてビッグデータに基づいて整理したものとなっている。

 さらに北京外国語大学国際新聞・伝播学院院長の姜飛教授、中国社会科学院新聞メディア研究所所長の胡正栄研究員、中国伝媒大学副学長の段鵬研究員、中国外文局当代中国と世界研究院院長の于運全研究員、北京外国語大学許国璋語言高等研究院院長の文秋芳教授、北京外国語大学中華文化国際発信研究員首席専門家の張西平教授などの専門家が国際発信能力インデックス・マトリックスをめぐって討論した。会議の参加者はインデックス・マトリックスを高く評価し、その構築が国際的発信の研究のためにより科学的かつ多角的で、数量化された方法を提供するとともに、新人文学科が唱えられる今、国際発信能力研究のコミュニケーションに新しい視野を提供したと指摘している。

 「百年間なかった大変動」という時代背景の下で、科学的な国家発信能力研究の重要性がさらに浮き彫りになっている。北京外国語大学国際発信能力インデックス・マトリックスは発言能力、主体的求心力、行動の効力などから国際発信能力研究のために貢献していくことになる。インデックス・マトリックスの発表は社会的に注目され、発表会には新華社や人民網の記者も参加し、取材を行い、新華社を始め、中国日報、中国青年報、光明網、人民網、CGTN及び英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、ロシア語、アラビア語、日本語、ポルトガル語を含む多言語で発表会の詳細が報道されている。

「世界のメディアのインターネット発信インデックス2022」概要 

 世界的に注目された重大ニュースの報道は、メディアが国際的な世論における発言力を競う際の焦点であり、今日ではSNSがその新たな国際的発信のプラットフォームになっている。各国メディアがSNSで世界的なニュースを報道する際の発信効果と能力を評価し、その結果から国際社会の世論の動向とそれを左右する主体を明らかにするために、北京外国語大学は「世界のメディアのインターネット発信インデックス2022」を発表した。この指標体系は政治、経済、文化、社会、生態文明という5つの分野における2021年の世界十大ニュースを取り上げ、各国の主要メディアを研究対象として、世界的に利用されているSNSのツイッターのデータに基づき、国際的発信における重要となるポイントにおける情報の「アプローチ」、「情報分析」、「アイデンティファイ」能力という3つの1級指標を設けたほか、さらに5つの2級指標と13の3級指標を設けた。

 研究の結果、SNSでの世界的な出来事のニュース報道において、欧米のメディアが最も強力な発信能力を有する一方、一部の途上国メディアのインターネットでのニュース報道も脚光を浴びるようになっていることが判明した。なかでも、中国のメディア4社が上記の5つの分野でトップ20入りを果たしたことから、中国は発展途上国の中で1位、そして世界メディア各社でも上位に数えられるようになっている。また、総合インデックスランキングを見れば、上位20社のメディアのうち、7割が欧米の主要メディアであることから、世界的な出来事のニュース報道において、国際社会の世論は欧米のメディア各社によって誘導されていることがわかる。そのうち米国のCNNが政治と社会分野で1位、ニューヨークタイムズが生態文明分野で1位、イギリスのロイター通信とBBCがそれぞれ経済と文化分野で1位をそれぞれ占めている。その一方で、カタールのアルジャジーラ(Al Jazeera Satellite Network)は5分野ともに上位10位入りしており、中国の新華社通信(Xinhua News Agency)とCGTN(China Global Television Network)も5分野でトップ15入りを果たした。またロシアのRT(Russia Today TV)とナイジェリアのChannels TV(Channels Television)が経済でトップ10入りしたほか、トルコやケニアのメディアなども異なる分野のランキングで上位入りを果たしている。

「人民網日本語版」2022年5月30日

 

関連文章