断捨離(断舍离)

2018-01-31 15:54:20

 =福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

「断捨離(だんしゃり)」とは、すなわち「断ち、捨て、離れる」ことで、自分の持っているものを整理し、必要最小限のものだけ残すことを意味する。最近流行し、辞書に掲載されるまでになった言葉で、身辺整理という意味として使われることもあるが、現在世界的に流行しているミニマリスト注1にも通じるシンプルなライフスタイルへのあこがれが込められた言葉でもある。

“断舍离”即“断绝、舍弃、脱离”,意为整理自己现有的东西,只留下最低限度的必需品。该词最近开始流行,甚至被收入辞典,有时也会用于表达处理身边琐事之意。它和现在流行全球的极简主义注1相类似,均表达向往简朴的生活方式。

 

 

この「断捨離」、言葉としての新鮮さはあるものの、考え方としては新しいものとは言えない。もともとは、ヨガの「断行(だんぎょう)」「捨行(しゃぎょう)」「離行(りぎょう)」という考え方を取り入れたものだと言われるが、ヨガといえばインドで、インドといえば仏教発祥の地。この考え方は仏教思想にも通じ、さらには仏教の影響を強く受けている武士道の精神にも通じている。さらには昔から日本人にとってなじみのある「清貧(せいひん)」――貧しくとも清く正しく生きるという考え方や、「簡素」を重んじる茶道の「わび・さび」の思想とも深い関係にある。

虽然“断舍离”是一个听上去很新鲜的词,但这种观念并非新生事物。据说,该词原本吸取的是瑜伽“断行”“舍行”“离行”的理念。瑜伽源于印度,而印度是佛教的发源地。所以,这一理念与佛教思想相通,进而也与深受佛教影响的武士道精神相通。甚至可以说,它与自古以来伴随日本人的“清贫——即便贫穷,也要请清白白堂堂正正地活着”这一思想,以及重视“简朴”的茶道之“恬静、古雅”的精神一脉相承。

 

江戸の昔、頻繁に起きていた火事注2にあえば、どんなに物をもっていても焼けたらおしまいで、物に執着していたら命までなくした。武士の場合も「物への執着を捨て、精神的なものを追求する」という「武士道」の精神から、お金をはじめとする「物」に執着するのは見苦しいとされ、贅沢は厳しく戒められた。もともと経済的にそれほど豊かでもなかったため注3、みんなが「ミニマリスト」として、物の少ない暮らしに甘んじていた。

古时候的江户,频繁发生火灾注2。只要遇到火灾,拥有再多的财物也会被毁于一旦,要是对物品拥有执念,甚至可能丢掉性命。武士们也受“舍弃对物的执念,追求精神富有”的“武士道”精神影响,认为对以金钱为代表的“物品”拥有执念很不体面,从而严禁奢侈。由于武士们原本在经济上就不富裕注3,便都秉承“极简主义”,心甘情愿过着简朴的生活。

 

戦後、消費社会の到来で、急に豊かになって、安く手に入る物が増え、さらには巧妙化する広告宣伝に乗せられて、どんどん物を買い込んだ結果、家の中には物が溢れるようになった。使いこなせない物で溢れる家に嫌気がさしてしまった人の心に、いにしえからお馴染みの思想を含んだこの言葉が魅力を帯びて聞こえたというのが、この言葉の流行の理由だろう。しかし考えるのと実行するのとは全く別の話。「煩悩(ぼんのう)」多き凡人にとって、実際に断捨離を行うのは非常に難しい。かくして人々の一つの理想の境地として、この言葉が人口に膾炙(かいしゃ)するようになったのである。

战后,消费社会到来,百姓生活骤然富裕,物品越来越便宜,再加上盲目相信善于攻心的广告宣传,人们开始不断地购物。其结果是,家中充斥着各种物品。很多人开始厌弃家中堆满了用不完的东西,认识到“断舍离”这个词的魅力,因为它体现了一种日本人自古以来就熟知的思想,由此,该词流行开来。然而,想和做完全是两回事。对于“烦恼”层出不穷的凡人而言,很难真正做到“断舍离”。如此一来,“断舍离”便演变成为一个脍炙人口的词汇,表达人所向往的理想境界。

 

注释

注1:minimalist、すなわち余分なものを持たず、たとえばカバン一つとか、必要最小限の物で生活しようとする人々のこと。

从英文minimalist音译而来,即摒弃多余的东西,只依靠最低限量的物品,比如一个提包的物品生活的人。

 

注2:「火事と喧嘩(けんか)は江戸の華」といわれるほどに、江戸の町には火事が多く、町の大半が焼けてしまう大火事も何度も発生している

正如“火灾和吵架是江户之特色”这句谚语所言,江户城火灾多发,有几次大火甚至将大半个城烧毁。

3江戸時代の武士は今でいう安月給のサラリーマンのようなもので、給料は米で支給され、物価の上昇に応じた「昇給」もなく、生活は非常に苦しかったという

江户时代的武士,用现在的话说就是工资低廉的工薪族,据说他们通常被用大米支付薪水,而且也不会因物价上涨而被“加薪”,生活非常艰辛。

 

 

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