サクラサク(樱花盛开)

2019-03-26 16:25:44

/福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

1月、2月は中国人にとって春節休みがある楽しい時期だろう。でも、多くの日本人にとって、この一番寒い季節は受験シーズンとなる。

1月和2月对中国人来说,是拥有春节假期的快乐时光。然而,对许多日本人而言,这个最寒冷的季节正是考试季。

4月が新学期の日本の学校は、1~2月に入試を行うのが一般的で、義務教育の小・中学校までは受験をしないでも済むが、高校受験、大学受験は必ず立ちはだかる難関となる。中高一貫、あるいは大学までのエスカレーター式注1私学は、受験の回数が少なくて済むというメリットもあってとても人気があり、有名私学にわが子を入学させるために小学校受験をさせる「教育ママ注2」も多い。

日本的学校每年从4月开始新学期,通常会在12月期间举行入学考试,在实施义务教育的中小学阶段是无需参加入学考试的,而中考和高考则是必须要闯过的难关。在初高中一贯制或者可以一路直升到大学的私立学校,因为有升学考试次数少这一优势,非常具有人气,有很多“教育妈妈”为了让孩子进入著名的私立学校,便让孩子参加私立小学的入学考试。

寒さが一番厳しく、インフルエンザも流行するこの季節に受験があるというのは、子どもにも親にも大きなプレッシャーとなるが、寒さと同じようにこれを乗り切れば、暖かい春、楽しい春がやって来る。試験に受かって無事春(=入学シーズン、桜の季節)を迎えることができるという意味から、試験の合格を知らせる電報には、「サクラサク注3(桜咲く)」という言葉が使われる。失敗したときは当然、「サクラチル(桜散る)」だ。桜好きの日本人らしい表現とも言える。

在最为寒冷,且流感肆虐的这个季节参加考试,无论对孩子而言还是家长而言,都会感受到巨大压力。不过,考试和严寒一样,只要能够顺利通过,接下来就是人生的温暖之春、欢乐之春。由于通过考试,就能迎来“太平之春(=入学季、樱花季)”,所以通知考试合格的电报中会使用“樱花盛开”这样的词汇。而如果考试失败,自然就会写“樱花凋落”。可以说这是非常符合喜爱樱花的日本人性格的词汇。

残念にも「サクラチル」となると、大学受験のための予備校などでまた一年間勉強にいそしむこととなる。こうした学生を「浪人生(ろうにんせい)」と呼び、浪人一年目は「一浪」、二年目になると「二浪」といい、どうしても志望大学に入りたくて「三浪」する人もいる。浪人とは、もともとは江戸時代の支配階級であった武士の中で、仕える主家を失い、放浪を余儀なくされた人のことを指し、「所属する場所がない」という意味で、現代の浪人生と同じ状態にある。日本人にとって「所属する場所がない」ということは、居場所がない、心もとない状態であり、所属する場所を得て初めて安心するという心理は、今も昔も変わらない。

如果很遗憾地收到“樱花凋落”的通知,就要进入备战高考的预备学校重新苦读一年。这样的学生叫“浪人生”,成为浪人的第一年,被称作“一浪”,第二年就是“二浪”,也有很多人因为无论如何要考上理想的大学而成为“三浪”。浪人,原本指江户时代身为统治阶层的武士中,失去了效命的主家,不得已而到处流浪的人。从“没有归属”这个意义上来说,和现在的“浪人生”境遇差不多。对日本人而言,“没有归属”,就是失去了庇护,会感到不安,有了归属才能安心,这种想法延续至今都未曾改变。

浪人となっても、二度目のチャンスをうまく掴むことができれば、一度目の失敗を挽回できる。受験は多くの子どもにとって人生で初めて経験する試練であり、失敗しても挽回できることを学べる場でもあるのだ。

即便成为“浪人”,如果能够有效抓住第二次机会,还是可以挽回第一次的失败的。考试对许多孩子来说,既是他们经历的第一次人生考验,也让他们学到了失败能够挽回的道理。

注释

注1:自動的に上級の学校に進学できる学校のことを「エスカレーター式」という。幼稚園から大学まである慶応などが有名。

能够自动升学的学校被称作是“直梯式(直升)”学校。比较著名的有庆应义塾,包括从幼儿园到大学的各个学部。

注2:子どもの教育に熱心で、お金をかけて受験のための塾に通わせたりする母親のことを指す

指关注孩子教育,为了入学考试,不惜花钱让孩子上私塾补习的母亲。

注3:内国電報には長らくカタカナと一部符号だけが認められていたため、電報文というとカタカナ表記であるのが一般的

由于日本国内的电报长期以来只允许使用片假名和部分符号,所以电文通常都是用片假名来表记的。

 

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