お稲荷さん(稻荷神)

2019-07-02 09:07:52

/福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

 

先日、「銀座街歩き」というイベントに参加した。今や観光客が大挙して押し寄せる銀座にある「お稲荷(いなり)さん」を訪ね歩くという趣旨のもので、輝かしい世界トップブランドが軒を連ねる通りの背後に昔ながらのお稲荷さんがあることにびっくりさせられた。

前不久,我参加了一个名为“银座健走”的活动。活动的主旨是步行去拜访位于游客蜂拥而至的银座地区的“稻荷神”。在耀眼夺目的世界顶级品牌门店鳞次栉比的银座大街背后,竟然保留昔日传统供奉着稻荷神,不禁让我深感意外。

 

そもそもお稲荷さんとは、稲荷神のことで、京都の伏見稲荷大社を総本宮とする神社であり、その名前からも分かるように、本来は稲などの穀物や農業の神様だったのが、のちに商工業の神様とされるようになったものである。商業の神様とされたことから、日本のどこに行っても繁華な商店街の片隅に小さなお稲荷さんの社(やしろ)が置かれているのを見ることができる。

稻荷神的总本宫是位于京都的伏见稻荷大社。从其名字可以得知,稻荷神原本是保佑稻子等谷物及农业的神仙,后发展成为工商业界的供神。自从其被视为商业供神之后,在日本全国各地繁华商业街的角落里,都能够发现设立着小小的稻荷神殿。

 

だから、日本屈指の商業地である銀座に商業の神様であるお稲荷さんが祀られているのは当然ともいえるが、今や銀座は日本一地価の高い場所であり、小さいとはいえ神社に貴重な土地を割くのはつらい。撤去すると祟りが怖いため、多くはお稲荷さんの社をビルの屋上に上げるという解決策をとっており、ビルの屋上に人知れずお稲荷さんが存在するのだ。あるところでは道路際に小さな拝殿が置かれていて、人々がそこでお参りすると、伝声管とスピーカーを通じて屋上の本殿に届くというシステムまであって、いたく感心した。

所以,在日本首屈一指的商业街银座,供奉商业大神稻荷神也可谓理所当然。如今,银座是日本地价最高的地区,就算神殿再小,为其专门腾出一块珍贵的空间也好比割肉。而如果拆除神殿又担心遭报应,所以,许多商家都会将稻荷神殿设置于大厦的楼顶上。就这样,稻荷神殿在大厦楼顶默默安家。有些地方还会在路边设置一个小型的前殿,人们到此参拜后,击掌声就会通过传声筒和扬声器传输到楼顶的正殿,这种系统着实让人佩服。

 

昔からお稲荷さんには狐がつきもので、拝殿の前には一般の神社にある狛犬(こまいぬ)のかわりに、狐の石像が置かれていることが多い。これは狐がお稲荷さんの使いであると信じられているためで、この狐の好物とされていたのが油揚げ注1。そのため、稲荷神社の供え物には油揚げが欠かせない。

从前,稻荷神由狐狸守卫,所以前殿门口多会放置一个狐狸石像,就好像神社前面通常会摆放石狮子一样。这是因为人们认为狐狸是稻荷神的使者,而狐狸喜欢吃油炸豆腐,因此,稻荷神社的贡品中绝不能缺少油炸豆腐。

 

ここから、甘辛く煮た油揚げにすし飯をつめたものを稲荷寿司(俗称はお稲荷さん)と呼ぶようになり、油揚げが入った蕎麦あるいはうどんを「キツネ」と呼ぶようになった(ちなみに天かすを入れたのが「タヌキ」となる)。

由此,在咸甜口味的油炸豆皮中卷入寿司饭,就成了稻荷寿司(俗称“稻荷神”),而放入油炸豆腐的荞麦或是乌冬被称作“狐狸(荞麦或乌冬)”,如果放入的是油渣,就称其为“狸子(荞麦或乌冬)”。

 

ついでにいえば、油揚げは動物に人気があるのか、「鳶(とんび)に油揚げをさらわれる注2」という表現もある。

顺便说明一下,或许因为动物们都很喜欢吃油炸豆腐,所以有“被鸢夺取了油炸豆腐(一不留神重要的东西被夺走)”这样的惯用说法。

 

注释

 

注1:豆腐を薄く切り、油で揚げた食品

将豆腐切成薄片,用油炸制而成的食品。

注2:大切なものを横から持っていかれて、呆然とすることの喩え

比喻重要的东西被人横空夺爱后目瞪口呆的样子。

 

 

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