ゆるキャラ(治愈系吉祥物)

2020-10-19 16:48:47

/福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

 

先日、「日本の素朴画」と題する展覧会に行った。素朴画(ナイーブアート)とは、もともと西洋画で用いられていた概念だが、それを日本画に当てはめ、古くは土偶(どぐうや埴輪(はにわ)に始まり、近代の大画家まで、素朴かつ味わい深い人物像動物画などをテーマにしたものだった。素朴画とは平たくいえば、「へたうま」な絵ということだろう。

前几天,我去看了一场题为“日本朴素画”的展览。朴素画(稚拙艺术)原本是西洋画中使用的概念,对应在日本画中,是指受古代的泥偶、陶俑的艺术风格启发,创作的画风质朴却又妙趣横生的人物画和动物画等,甚至有很多近代知名画家也热衷于此。简而言之,朴素画就是一种“拙巧并用”的绘画。

 

「へたうま」とは、「下手(へた)でも上手(じょうず)でもある」という意味で、ぎこちない描線である、遠近法などのテクニックを知らないあるいは使わないなど、稚拙で素人くさいものの、微笑ましいものを感じる、素朴な力強さを持つ、独特な味わいがあるなど、どこか人の心を引き付ける絵のことをいう。「へたうま風」を特徴とするイラストレーターもたくさんいて、人気がある。さらには、今人気の「ゆるキャラ」も、味わい的には似たものを持っている。

所谓“拙巧并用”,意思是“既笨拙又巧妙”,指线条不够流畅,不懂得或是没有运用透视等技巧,看上去很幼稚,像是外行之作,却能够带给人快乐,朴实有力、韵味独特,隐隐有一种引人入胜之魅力的绘画作品。有很多插画家走的都是“拙巧并用风”,非常受欢迎。如今人气超高的“治愈系吉祥物”,也有异曲同工之妙。

 

ゆるキャラとは、「ゆるいマスコットキャラクター」を略したもので、みなさんもご存じの熊本の「くまモン」などをはじめとする「ご当地キャラクター」、つまり、地域おこし宣伝のための地方のマスコットキャラクターのことを指す(現在ではもっと広範に企業キャラクターなどにも使われる)。「ゆるキャラ」とは、命名者のみうらじゅん氏によると、1.郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること。2.立ち居振る舞いが不安定かつユニークであること。3.愛すべき「ゆるさ」を持ち合わせていること、がその条件となっている。

所谓“治愈系吉祥物”,就是“让人感到放松的吉祥物”的简称。主要指包括大家熟知的熊本“ MA 熊本熊)在内的“地方吉祥物”,也就是用于地方振兴和宣传的吉祥物(现在也被广泛应用于展现企业形象等)。据命名者日本漫画家三浦纯介绍,被称作“治愈系吉祥物”需符合三个条件。一是能让人感受到浓浓的乡土气息;二是笨手笨脚且极具个性;三是自带人见人爱的“松弛”特质。

 

「ゆるい」という言葉には、緊張が足りない、だらけているというネガティブな意味がある一方で、最近では、「ゆるい喫茶店」など、落ち着くことのできる、のんびりしているというポジティブな使い方も生まれてきている。もともと日本人は几帳面な人が多く、対人関係でも何かと気を使う必要があるうえに、テンポの速い現代社会において、「ゆるい」ということは決して悪いことではなく、むしろ緊張を緩め、心の安らぎをもたらす良いことだと捉えられるようになったのだろう。

松弛”一词有紧张感不足,吊儿郎当的负面含义。但最近,也衍生出能让人放松心情、无拘无束这样的积极用法。比如,气氛温馨的“慢节奏咖啡馆”等。一直以来,日本人做事都是一丝不苟,对待他人也是无微不至,所以,在快节奏的现代社会,“松弛”绝对不是恶习,反倒被认为是能缓解紧张情绪,带来心灵慰藉的好习惯。

 

また、「へたうま」も「ゆるキャラ」も、ストレートに「可愛い」のではなく、一見するとちょっと間が抜けた、あるいはひねくれた、ぎこちない、でもそこはかとない愛嬌があるという、複雑で、一口では説明しがたい「可愛さ」だ。こうした可愛さは、露骨でストレートな表現を好まない日本人の嗜好にあったものと言えるのではないだろうか。

无论是“拙巧并用(艺术)”还是“治愈系吉祥物”,都不是那种直观的“可爱”,乍一看会感觉有些蠢蠢的,或是不顺眼、很笨拙。但却有一种无以言表的魅力,那是一种很复杂,很难用三言两语来形容的“呆萌”的感觉。而这种感觉,可以说正好迎合了不喜欢直白,性格含蓄的日本人的喜好。

 

 

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