こたつ(被炉)

2021-02-01 10:12:07

/福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

 

今年の正月休みが明けた時、コロナ禍で帰省も旅行もできなかった人から、「今年は寝正月(ねしょうがつ)だったよ」というぼやきを聞いた。これは正月を寝て過ごしてしまったという意味で、本当に寝ていたというより、家で無為に過ごしたという意味である。この寝正月に欠かせないのが「こたつ」だ。こたつは床の上に置いた枠組みの中に熱源を入れて、その周りを布団などで覆って暖かさを保つもので、布団の中に足を入れて暖をとる。

今年的新年假期结束时,我听到那些因为新冠肺炎疫情不能回老家也不能出游的人抱怨:“今年真是睡过新年啊。”其实并非整个新年假期都在睡觉,而是比喻在家无所事事。想要睡过新年不可缺少的就是“被炉”。被炉是在地板上放置一个矮桌,在桌下放入热源,桌上罩棉被等垂下来遮住四周,从而用来保暖的工具,可以将双脚伸入被子中取暖。

 

熱源として昔は木炭や練炭などが使われたが、今は電気を使うものがほとんどで、「電気こたつ」とよばれる。「こたつみかん」、すなわちこたつに入ってみかんを食べ、テレビを見て過ごすというのが一般的な寝正月の在り方といえ、「いろり」同様、暖かいところには自然と人が集まるため、こたつは日本人にとって冬の暖かな一家団欒を想起させるものだ。「いろり」が早い時期に一般家庭から姿を消したのに対し、こたつは電気を使うようになったため、手軽で便利となり、最近ではエアコンにその座を奪われたとはいえ、いまだ根強い人気をもっている。

从前,多使用木炭蜂窝煤等作为热源,如今大多使用电动发热器,因此叫做“电热被炉”。日本人一般要用“被炉桔子”的方式睡过新年,也就是钻进被炉,边吃桔子,边看电视度过新年。和之前介绍过的“地炉”一样,由于人们会自然而然地聚集在温暖的地方,所以被炉会让日本人想起冬日里温馨的合家团圆。与“地炉”早早地就从普通家庭中消失相比,被炉因为用电,简易方便,最近,虽然被空调抢占了取暖的霸主地位,却仍然拥有稳定的人气。

 

こたつと相性が良いのは猫で、いつも暖かなこたつの中に潜り込んでおり、こたつに足を入れたとたん、猫に足をひっかかれることもよくある。猫と一緒に暖かいこたつに入っていると、自然にウトウトと眠くなり、そのまま横になり、こたつの奥まで潜り込んで、寝てしまう。中には冬も夏もずっとこたつを出しっぱなしで過ごし、夜寝る時もいつもこたつの中という強者(つわもの)もいて、こうしたこたつを「万年(まんねん)注1こたつ」と呼ぶ。

和被炉相配的是猫,它总爱钻入暖暖的被炉中,每当你把脚伸进去,就可能被它绊到。和猫一起钻到暖暖的被炉中,不自觉地就会迷迷糊糊犯困,于是就势躺下,缩在被子里酣睡。更有拥趸者,无论冬夏都会一直使用被炉,晚上也总是要在被炉中入睡,这样的被炉被称作是“万年被炉”。

 

このように、こたつには「怠け者」のイメージがつきまとうため、「こたつ記事」なんていう言葉もあるそうだ。これは、自分で取材も調査もせずにメディア上に流通している情報を集めて書いた「こたつに入ったままお手軽に書いてしまう凡庸で内容の薄い記事」のことである。自分の足で情報を収集して記事を書くべきとされる記者にとって、こたつ記事は侮蔑すべき対象なのだが、最近インターネットという便利な道具の出現のせいで、残念なことに信憑性を欠く「こたつ記事」が増えているようだ。

如此一来,被炉就给人一种“懒人”的印象,据说因此还有个词汇叫作“被炉报道”。这是指自己既没有采访也没有调查,将媒体上刊登的信息拼凑起来完成的报道,也就是“在被炉里一边取暖一面随手编写的庸俗浅显的报道”。对于应该四处走访搜集信息写报道的记者而言,被炉报道是很让人瞧不起的,但最近,或许因为互联网这个便利工具的出现,很遗憾地随之出现了越来越多缺少可信度的“被炉报道”。

 

注釈

 

注1 万年(まんねん)は、1万年あるいは「長い年月」を意味する言葉だが、「万年課長」(ずっと課長のままで出世できないこと)のように、いつまでのその状態が変わらないという意味で使われることも多い。

万年原指1万年或者“漫长的岁月”,如今多用于比喻总是保持一个状态没有变化。比如“万年科长”,即一直停留在科长一职没能升迁。

 

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