文＝萩原晶子 写真＝長舟真人

　駐在員や留学生が増え始め、外国語のフリーペーパーができ始めた90後半は、「テキーラ・ママ」「オマリーズ」「YY」など、個性的なバーが上海市内に登場し始めた時期でもある。ほとんどの店が既に姿を消してしまっているが、その当時の雰囲気を今も保っている店として最近再注目されているのが「Jenny’s Blue Bar（金洋珈琲吧）」だ。

外観などもオープンした1999年から変わっていない

2019年でオープン20周年を迎えたという店内は、改装もせず、メニュー、音楽なども昔のまま。主な常連客は、90年代からそのまま通い続けているという地元中高年たちだ。

ジェニーさんが座る椅子の下で

オーナーのジェニーさんも当時からずっとカウンターに座っている。看板ねこもオープンから絶やしたことがないといい、現在在籍している吉祥（1歳、メス）は三代目だ。

お酒のダンボールの上に保護猫たちを陳列。この3匹はみんなもらわれていった

　「ねこは近所の人が拾ってくる野良を受け入れ続けています。目が開いていないような小さいねこを育てて里親に出したりもしています。店に定着した初代のねこは三毛ねこの咪咪、二代目は昨年亡くなったトラねこの来来。その後、この吉祥がやってきました」とジェニーさん。まだ店に来て間もないからか、やや人見知りで触られることや抱っこされることは大嫌いだそう。

吉祥はテーブル・フットボールが得意

　だが、遊びは大好きで、お客さんがねこじゃらしを手に取ると真剣な表情で駆け寄ってくる。テーブル・フットボールでの遊びも慣れたもので、ゴールに入ったあとのボールが出てくる場所も把握しているほど。ゆったり暮らしていた二代目に比べて活発な吉祥。彼女と遊びたいとやってくる若い世代のお客さんも増えたという。

常連の子供が書いた吉祥の似顔絵

Jenny’s Blue Bar

上海市東湖路7号