紹興路のねこ

2022-02-17 11:24:50

 文=萩原晶子  写真=長舟真人

 

  

ここ数年で、安福路、武康路など昔ながらの静かなストリートが「網紅」スポットに変化した。休日は地方からも散策目当ての人が押し寄せ、カフェはどこも満席。地元の人が普段使うコンビニのレジにも行列ができているほどだ。この春節もそうなるのかもしれない。 

一方、租界時代の民家が多く残り、出版社や隠れ家書店、老舗飲食店が点在する紹興路は、今も変わらない静けさが保たれている。 

このエリアのねこの拠点は二つ。 

古い住宅街のなかの小さな公園。野良ねこたちが集う場所

 

この日は彼のみ。清掃の人に聞くと、「見えないだけで園内には無数にねこがいる」とのこと 

一つは、1951年に開園した「紹興公園」だ。住宅街によくあるこじんまりした公園だが、園内に袴姿の梅屋庄吉像があることで日本でも知られている。長崎県から贈られたものだという。撮影に訪れたこの日は寒さの割に人出が多く、草むらにとらねこが一匹姿を見せただけだった。 

  

生まれたばかりで保護が必要な子ねこが「紹興公園」で見つかると、この店に連れてこられる

「紹興公園」で拾われた猫の息子・発発 

二つ目の拠点は、以前もこのコーナーで紹介した「Dean’s Bottle Shop」。各国の瓶ビール約100種類を揃えるバーだ。昨今のクラフトビールブームが来る前にオープンした老舗で、店内には「紹興公園」で拾われた野良ねこたちが暮らしている。古株のケイクス(紹興公園出身)はこの日は留守。テキーラ(紹興公園出身)と、ケイクスの息子の発発、ほかの公園で保護された小五が迎えてくれた。 

 

小五。洋ねこの気品を漂わせる

発発は、野良だった母ねこが育児放棄をし、父ねこのケイクスの家に引き取られた形。テキーラと小五も雄ねこだ。店内にいる全員が雄だが、いつ来ても静かでなごやかな雰囲気が漂っている。    

発発の腰を枕にして熟睡するテキーラ。血のつながりのない雄同士 

春節の連休も、観光客は来ないと思われる紹興路。散歩とねことビールで過ごす連休もいいかもしれない。 

  

 

上海市紹興路 

 
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