「中国の統治」解読(4) 世界に示す中華の本質

2020-08-17 14:47:17

潘岳=文

 中国の特色ある社会主義を切り開き発展させたことは、中国に急速な発展をもたらすとともに、中国の特色ある社会主義の道、理論、制度、文化に対する中国人の自信を呼び起こした。

 

特色ある社会主義と伝統の共通性

 昨年10月28〜31日に開かれた中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議(四中全会)は、中国の特色ある社会主義制度と国家統治体制には次のような顕著な強みがあると体系的に総括した。

 1点目は、党の集中的で統一的な指導を堅持し、党の科学理論を堅持し、政治的安定を保持し、国家が終始一貫して社会主義の方向性に沿って前進するよう確実に保証するという顕著な強みだ。中国共産党はマルクス主義を選択し、中国人民は中国共産党を選択し、中華民族の偉大な復興は中国の特色ある社会主義の道を選択した。ここには深い理論、制度、実践の法則的な連関がある。指導の中心となる中国共産党は、世代間で引き継がれる歴史の評価を受けなければならず、必然的に過去と未来に無限の歴史的責任を負い、必然的に国家が終始一貫して社会主義の方向性に沿って前進するよう確実に保証しなければならない。

 2点目は、人民が主人であることを堅持し、人民民主主義を発展させ、大衆と密接につながり、しっかりと人民に依拠して国家を発展させるという顕著な強みだ。中華文明は「民のために責任を持って決定する」ことを通じて執政者としてのエリートの地位を確実に保証し、「民は貴く君は軽し」という民本思想を通じてエリートを制約した。中国共産党が「人民に奉仕する」という根本理念を堅持し、人民が主人であるという政治的地位を堅持していることは、まさにこの伝統を継承し発揚している。

 3点目は、全国の一体性を堅持し、各分野の積極性を引き出し、力を集中して大きな事柄を成し遂げるという顕著な強みだ。中国は古代、秦以降に郡県制を実施し、資源と力を集中して重大な自然災害や軍事的試練に対処し、各地の分裂や割拠、勝手な振る舞いを効果的に防止し、中央と地方の政策の一致と連動を保障した。

 4点目は、各民族の一律な平等を堅持し、中華民族共同体意識を堅固につくり上げ、共に団結・奮闘と繁栄・発展を実現するという顕著な強みだ。中華民族共同体のアイデンティティーの基準は文化的アイデンティティーだ。中華文化の特質は「一に定まらん」という貫通性、「海百川を納る」という包容性、「万邦を協和せしむ」という平和性だ。古来中国は大乱と大治、分裂と統合が続き、いつでも統一が主流の価値で、異なる民族の政権は中原に入って統治するか、一地方に割拠するかにかかわりなく、常に統一を究極の目標としていた。中華民族共同体意識は明らかに深い文明的根源を備えている。

 5点目は、共通の理想・信念、価値理念、道徳観念を堅持し、中華の優れた伝統文化、革命文化、社会主義の先進的文化を発揚し、全人民が思想的、精神的にしっかりと一つに団結するよう促すという顕著な強みだ。中華文明には独特の「道」の概念がある。伝統的な中国から現代中国まで、中華文明の道とは「家国同構」(組織構造で家族と国が共通性を持つこと)の運命共同体にほかならず、民族団結、国家統一、文脈の継続にほかならず、民族解放と民族復興にあらゆる人々の力を凝集することにほかならない。

 6点目は、人民を中心とする発展思想を堅持し、絶えず民生を保障・改善して人民の幸福を増進し、共に豊かになる道を歩むという顕著な強みだ。『孟子』に記載されている通り、中華文明にはしっかりした民本思想がある。穀物や魚が食べ切れないほど多く、材木が使い切れないほど多くあれば、民衆は心配なく家族を養い、死者を弔える。これが王道の始まりだ。孟子から見て、王道を実行する基礎は人々の生活水準を改善することにあった。

 7点目は、改革と革新、ならびに時代に即した変化を堅持し、適切に自身を改善し発展させ、終始一貫して社会を生命力で満たすという顕著な強みだ。中華文明は改革と革新を唱える。『周易・系辞下』は「窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通じ、通ずれば則ち久し」と記し、『礼記・大学』は「苟に日に新にせば、日日に新に、又日に新なり」と記した。時代に即して変化し、自身を発展させる思想的特質は終始一貫して中華の伝統を貫き、現在の国家統治の手本となっている。

 8点目は、才徳兼備、ならびに有能な人物の任命を堅持し、天下の英才を集めて用い、より多くの優秀な人材を養成するという顕著な強みだ。中国の伝統社会には終始「士人(知識人)層」が存在していた。道徳的先進性を備え、朝廷に仕えて役人になり、在野で知識人となり、知行合一を通じて「内聖外王」(聖人の才徳を備えて王道を行えること)を追求する。それは国家統治を維持する中堅層であり、各級の官僚の主な担い手、候補者だ。有能な人材を任命する現代中国の統治の強みと共通性を持っている。

 9点目は、「一国二制度」を堅持し、香港・澳門の長期的な繁栄と安定を保ち、祖国の平和と統一を促すという顕著な強みだ。中国の歴史上の大一統王朝はその土地の状況に応じて適切な措置を取り、風俗習慣に基づいて統治する一連の民族統治システムをつくり出し、中華民族の多元一体構造を絶えず強固にし発展させた。香港・マカオで「一国二制度」を実行しているのはまさに伝統の継承と革新だ。

 10点目は、独立自主と対外開放の統一を堅持し、グローバルガバナンスに積極的に参与し、人類運命共同体構築のために絶えず貢献するという顕著な強みだ。中華文明は「万邦を協和せしむ」ことを追求し、対外的な植民に反対する。また、「往きて教ふる」ことがないよう堅持し、文化的な覇権に反対する。「己を推して人に及ぼす」(相手の身になって推し量る)ことを尊び、他人を抑圧することに反対する。西洋の「国強必覇」(国は強くなれば必ず覇を唱える)の論理とは全く異なる。これらの優れた伝統が、人類運命共同体の構築推進において重要な役割を果たしている。

 

全国人民代表大会制度は人民による国家権力の行使を表している。これは中国の政治制度における中国共産党の統一的な指導と人民が主人であることを堅持する集中的な表れだ(写真・人民中国/沈暁寧)

 

 

「西洋中心」「国強必覇」論を打破

 中華文明の本質を備えた中国の特色ある社会主義制度を堅持し整えたことは、世界に次のような啓示をもたらした。第一に、「歴史の終わり」論の打破だ。歴史を終わらせることはできず、終わらせるべきは偏見だ。今では「自国第一」「反グローバリズム」の思想が世界にまん延しており、中国はそれとは異なる方法で新型グローバリゼーションの旗を高く掲げ、グローバルガバナンスに積極的に参与していく。

 第二に、「西洋中心論」の打破だ。中国の道は発展途上国の現代化のために西洋とは異なる新たな体制の手掛かりを提供した。

 第三に、「国強必覇」論の打破だ。中国が西洋の覇権と衝突の歴史的な周期に陥ることはあり得ない。「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)の積極的な提唱であれ、グローバルガバナンスへの主体的な参与であれ、中国は常に対内改革と対外開放を統一させ、中国の発展と世界の発展を結び付け、中国人民の利益と各国の人々の共通利益を結び付けている。

 第四に、「文明の衝突」論の打破だ。これは多元的な文明の交流と相互参考の促進に新たな力をもたらした。西洋が広く宣伝する「世界共通の価値観」に中華文明との対話と交流がなかったら、「世界共通」であるはずはない。中華文明にもし西洋文明との対話と交流がなかったら、同様に革新的な発展は実現できない。多元的な文明の交流と相互参考を進めてこそ、ようやく真の人類共通の価値を錬磨できる。

 
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