豫劇

2022-01-29 18:17:47

 

  河南省で生まれた豫劇は中国最大の地方劇で、京劇、黄梅戯、評劇、越劇と並ぶ中国五大伝統劇の一つだ。中国郵政は昨年10月18日、特別切手「豫劇」3枚1セットを発売した。それぞれ豫劇の三つの代表作『花木蘭』『七品芝麻官』『朝陽溝』の主人公が描かれている。

 『花木蘭』は豫劇の有名な女優であり、「豫劇皇后」と呼ばれた常香玉の代表作だ。また、同劇は彼女の夫で有名な脚本家の陳憲章が、北魏の孝文帝時代(467~499年)の叙事詩「木蘭辞(ムーランの詩)」を題材とした作品でもある。1950年代、常香玉は朝鮮戦争の勃発後、中国人民志願軍に戦闘機を寄付するために、豫劇団の一行を率いて全国で巡回公演を行った。『花木蘭』はそのメイン作品として大好評を博し、劇中の有名な歌『女性は男性より劣るの?』は今日、誰もが知るものとなっている。

 1978年に初演された『七品芝麻官(下っ端の役人)』は伝統劇の『唐知県審誥命』をもとに脚色したもので、鼻を白く塗った道化役者が主役という珍しい劇だ。ユーモラスな姿に扮した役人が、権力に左右されない公平な法の執行をし、最終的に高官の親戚を裁く。「庶民に公平な法の執行をしないなら、家に帰ってサツマイモを売ったほうがいい」という劇中のセリフは、今日でもよく知られる言葉だ。

 1958年初演の『朝陽溝』は1950年代に地方へ赴いて農村建設に参加し、労働によって磨かれ成長していく知識青年(都市で中等・高等教育を受けた若者)の物語を描いた。同劇は誕生当時から大いに人気を集め、現代劇としての豫劇の成熟度を示すとともに、中国の現代演劇史上、非常に大きな意義を持つ作品でもある。切手には都会っ子の銀環とその恋人である農村の青年・栓保が、高校卒業後に朝陽溝へと旅立つ情景が描かれている。

(中国郵政2021年10月18日発売)

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