G7よりもBRICSが貢献 世界経済発展に新機会と新モデル

2017-11-07 09:11:33


陳言


  9月3~5日、中国福建省廈門(アモイ)で第9回BRICS首脳会議が開催された。中国、ロシア、インド、ブラジルと南アフリカ5カ国首脳がアモイで一堂に会し、「BRICS+」の理念が打ち出され、BRICSが途上国、新興経済体との連絡、連携、対話、協力の機会をさらに増やし、充実されることになった。BRICSの協力を通じて、途上国の共同の立場と総意をより良く体現し、BRICSは今後ますます国際経済発展にさらに重要な意味を持つだろう。 


新たなプラットフォーム


  BRICS首脳会議の協力体制の発足以前の、国際社会にはすでに先進国首脳会議(G7)や主要20カ国・地域(G20)首脳会議があった。G20は2008年の世界金融危機が最も深刻だった時に、小さいとは言えない役割を果たしたが、G7は次第に「清談クラブ」(話ばかりで実行が伴わない組織)に落ちぶれ、1980年代中期の「プラザ合意」などで果たした重大な政策協調の役割を失ってしまった。国際経済が新しい討論の場、協力のプラットフォームを模索している現在、BRICS首脳会議が時運に応じて現れた。
  08年のリーマンショック後、日本経済は長期低迷し、英国は欧州連合(EU)を離脱し、米国にトランプ政権が出現するなど、政治制度の疲労が具体的な形で現れて来た。技術革新の面でも、G7の研究開発成果はますます少なくなり、さらに米国以外のG7各国の人口は限界に達し、市場拡大は難しく、経済成長の長期停滞は随所に見られる現象になっている。G7各国国内政治の混乱は経済、特に対外貿易の発展に影響を与えている。
  ここで振り返ると、09年、ロシアのエカテリンブルグで初のBRICs(当時は4カ国でsは複数を示していた)首脳会議が開かれ、11年の中国海南省・三亜で開催された首脳会議で南アフリカが加入し、その後BRICS首脳会議には5カ国が参加し、グローバルガバナンスを展望して来た。
BRICSの協力メカニズムが最終的に出来上がってわずか6、7年に過ぎないが、新生BRICSは積極的に実効性のある新しい協力分野を開拓し、各国経済も一定程度の成長を実現した。政府・社会資本ベースで計算すると、BRICS5カ国の国内総生産(GDP)の世界に占める比率は15年にすでにG7に匹敵し、31%に達した。政治制度が疲労し、技術革新が枯渇しているG7に比べて、BRICSは資源の賦存量や産業の優位性、1人当たりの収入水準においてそれぞれ異なるが、この違いが新しい経済・貿易の機会を創出してきた。。過去10年間に、BRICS5カ国のGDPは179%増、貿易総額は94%増、都市化による人口は28%増で、世界経済の安定、回復に際立った貢献を行い、30億人余りに確かな獲得感を与えた。
当然のことながら、G7諸国の政治制度、産業構造は極めて良く似ているが、BRICS諸国の経済体制はそれぞれ異なり、国家戦略もさまざまで、一部の国々の経済は鉱業、林業資源に過度に依存し、工業体制は未整備で、ここ数年の経済発展にも問題は少なくない。しかし、G7と比べると、発展段階の相違が、BRICS各国に共同のプラットフォームを通じて、国内外の後ろ盾不足を解決しようという需要が高まっている。


G7の発展モデルは限界


  G7各国の発展はまず自国の工業技術革新の必要性からから始まり、民主制度の建設は、同時に対外植民、外部資源の略奪、果ては戦争まで起こす方式で、自国の強大化を図った。今日の世界では、略奪、戦争の手段は明らかに時代にそぐわない。技術革新、制度革新の役割がますます重要になっているが、G7の中で欧州各国は1970年代から技術革新の停滞が現れ始め、米国は80年代以降、労働生産性が行き詰まり、日本は90年代に低迷期に入った。G7各国を模倣した発展モデルはすでに経済成長の目標と目的を実現できなくなり、そんな時にBRICSの協力プラットフォームが生まれた。
  しかし、BRICS各国には自国内に困難な問題を抱え、その解決のための新しいアプローチを模索する必要がある。中国経済は高速発展から中高速発展へのモデルチェンジを開始した。ロシアの改革は緩慢であり、加えて国際的な制裁の強化もあり、経済は活気に乏しい。ブラジルは前大統領、現大統領の腐敗事件調査が同国の政治、経済情勢を変幻極まりない状況にしている。南アフリカ大統領はしばしば政治的な混乱に巻き込まれ、経済は衰退し始めている。インドはこの2年近くの経済成長はすさまじいが、最近数カ月の経済データは下り坂で、不動産市場、労働力市場の改革は容易ではない。
  幸いなことに、中国は巨大なGDPと人口規模を持っており、中国を中心とする取引プラットフォームの構築は特別な意味を持っている。習近平国家主席は9月3日、BRICS商工フォーラムで中国の発展を総括して「この10年の間に、中国のGDPは239%伸び、貨物輸出入総額は73%伸び、世界第2の経済体として、13億人余りの中国人民の生活水準を大幅に引き上げ、中国が世界と地域経済のために行う貢献はますます大きくなる」と語った。このような中国は国際社会が協力機会を探り、協調して行動する際に、特別な使命を担っている。
  BRICS首脳会議は具体的な協力方式と内容を討論しており、これはBRICSがそれぞれの問題を具体的に解決でき、同時に1本の縄にして、世界経済発展に貢献する力になる。


日本はもっと注目すべきだ


  日本が会議に参加していないために、日本のメディアでは今回のBRICSアモイ首脳会議に関する報道が少ない。特に会議期間で朝鮮の核問題が日本メディアの目を引いたことがその理由かも知れないが、第2の「10年」に入ったBRICSのプラットフォームに、さらに多くの国々が入って来ると、その協力の余地や分野は絶えず拡大し、世界経済に対する影響はますます大きくなるだろう。
  国際社会におけるBRICSの責任は、平和と安寧の擁護だ。BRICSプラットフォームは中国、インドのITの技術があり、ロシア、ブラジルの鉱物資源があり、5カ国とこれから加入する国々を含めた巨大な国内市場がある。このプラットフォームは全く新たなグローバル経済ガバナンス方式になる可能性がある。未来の世界経済に影響を与えるBRICS首脳会議に対し日本のメディアの関心が薄いことは「小事にこだわって大事をしくじる」で、もったいないことをしたと感じられる。

 


  日本はメンバー国でないため参加していなかったが、日本のメディアのBRICS会議に関する報道は少なく、関心を持っていないようだった。9月に筆者が日本を訪問した際に感じたのは、日本のメディアは朝鮮の核問題に精力を集中し、BRICSが打ち出した新しい協力モデルによって国際社会が変化していくことに関する分析報道は相対的に少なかった。

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