輸入博がもたらす新たなチャンス

2024-12-23 15:51:00

者は7年連続で中国国際輸入博覧会(輸入博)を取材してきた。 

例年通り、今年の輸入博も11月5~10日に上海で開催された。今年は合計129の国地域の3496社が出展、国地域数、企業数共に昨年を超え、出展した世界トップ500社と業界のリーディングカンパニーは297社に上り、同会史上最多を記録した。 

今年の輸入博で、筆者はなじみ深い日本企業を見掛けたが、三菱商事など初出展の企業のブースも見に行った。日本企業は中国市場に向けて、その豊富で多彩な製品を展示し、今後中国で推し広めていくサービスを紹介していた。今年と例年でどんな違いがあったかと問われれば、筆者は、日本企業が中国で各国企業と協力するプラットフォームを構築する、という新たな動向により焦点を合わせたい、と答える。 

中国市場の新たな変化を感じる 

日本の技術や製品の中国での位置付けには、近年、比較的大きな変化が起きた。 

企業の歴史についていえば、日本には数十年、数百年の企業がたくさんあり、中国の大部分の企業はこの二、三十年に創業した新企業で、中には数十年の歴史のある企業もあるが、100年を超す企業は多くない。市場ニーズへの対応において、日本企業には、製造の歴史が長い、製品が市場ニーズに合致しているという優位性がある。大多数の日本企業は製品を輸入博に持ってくると、すぐに中国の消費者に人気となり、新しい市場を開拓するのは相対的に簡単だ。過去の家電、数年前の自動車は共にこのようにやって来たのだ。 

しかしここ数年、中国市場には大きな変化が起きた。まず、中国市場に新たなニーズが生まれるとき、そのニーズの規模は往々にして巨大で、日本企業がすぐに対応できるかどうかということだ。特に巨大なニーズが突然現れる状況において、日本企業の経営判断はなかなか決まらないことが多い。巨大な新たなニーズを満たすには投資が必要で、投資の後は激しい市場競争に直面し、本国の同業他社との競争だけでなく、他の海外企業からの挑戦もあり、さらには中国企業の追い上げもある。日本企業の経営の決定速度、市場変化に対応する新製品の開発能力、市場シェアを急速に拡大するマーケティング能力では、毎回必ず勝てるとは限らない。 

多くの日本の中小企業は中国に来た後、その日本市場で鍛えられた専門性によって、中国市場で新たな業務分野を開拓できた。しかし同時に、中小企業には、知名度が比較的低い、市場開拓能力に限りがあるといった弱点もあり、引き続き中国市場で、日本市場と同じように簡単に足場を固められるとは限らない。 

次に、中国の電気自動車、電池、太陽光発電など新産業方面の投資が巨大なことだ。もともと日本企業はこの分野の技術や製品で優位性を持っていたが、日本市場の規模は中国、米国、欧州に及ばないため、投資が相対的に限りがあり、日本企業の優位性は徐々に失われつつある。中国企業を追い掛け、中国企業と関連分野で協力するには、中国企業のニーズを理解し、中国市場に基づいて新製品や新技術を研究開発する必要がある。中国市場の新たなニーズに直面し、日本企業は中国企業との協力において、新たな試みが求められている。 

三つ目に、サービス分野でも同じような問題がある。日本は高齢化問題の「先進国」だ。日本の高齢化問題に対応する製品やサービスなどは、中国にとって相当大きな参考価値があり、大きな開拓の余地もある。例えば、伊藤忠は今回の輸入博で同社のアルツハイマー病ケア補助人工知能システムを展示し、他の多くの日本企業も養老分野の製品を紹介した。日本の養老製品は中国で急速に市場シェアを拡大できるはずだが、中日の年金保険制度や養老の方法には大きな違いがあるため、日本の養老サービスは中国での普及に当たりより努力する必要がある。 

日本企業が輸入博に合同出展 

昨年同様、中国日本商会は輸入博2日目、つまり11月6日に10社余りの会員企業を組織して中国をはじめとする各国メディアに出展企業の主要製品やサービスの内容を集中的に紹介し、日本企業の特徴を際立たせて展示し、急速に輸入博で日本企業ブームを巻き起こした。 

日本貿易振興機構(ジェトロ)は「ペットと暮らす」がテーマのブースを設置、日本企業54社が1000点近い製品とサービスを展示した。 

今年の日本企業の合同出展方式は、みずほ銀行が募集した上海臨港エリアにある日本の中小企業9社が産業館で集中的に共同展示したブースエリアでも見ることができた。このブースでは、文具メーカーのぺんてる、スマート電動車椅子ブランドのウィル、リハビリ器材ブランドのミキ、高級マンションデベロッパーのマリモなどが集まって、それぞれ異なる専門分野で中国市場を開拓する製品とサービスを展示した。 

日立と三井住友海上火災保険のブースでは、両社が協力して進めるデータモデルイノベーションの事例を見ることができた。中国でデジタルヘルス分野の業務を強化し、慢性病リスク予測モデルを巡ってデータのトレーニングと検証を進めたいなら、中国企業との協力が必要になる。日立と三井住友海上火災保険は中国の太保科技と協力し、上記のトレーニングと検証を実現した。 

今後われわれは、より多くの日本企業、あるいは日本企業と中国企業が提携し、このようなプラットフォームを構築する方法によって中国で新たな業務を展開するのを見ることになるだろう。 

自信と信頼の新プラットフォーム 

中国市場の新たな変化に適応するには、市場に対する企業の自信および不断のコミュニケーションを通じた中日企業の信用メカニズムの構築も必要で、中日企業のより良い協力を促進するプラットフォームを構築する必要がある。 

商務部投資促進事務局は輸入博期間中に「中日先進技術ビジネスフォーラム」を開催した。劉民強局長は会議で200人余りの参加者に対し、「われわれは来年、日本企業と中国企業のために、よりハイレベルで、より影響力のある協力プラットフォームを打ち立て、皆さんの中国での発展により多くのチャンスをつくり出せるよう努める計画だ」と述べた。 

輸入博は外国企業が中国への製品とサービスの輸出を拡大するチャンネルであるだけでなく、企業が新たな協力プラットフォームを構築する新たなチャンスにもなっている。 

 

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