設備投資と巨大市場が原動力 昨年の経済成長を各業界から分析
毎年の春節(旧正月、今年は2月17日)以降の3月はじめに開かれる「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)は、中国人にとって新たな一年の仕事の始まりを意味する。
1月から2月にかけて、筆者は国内外企業の関連フォーラムや討論会に参加し、発言の中で昨年の中国経済発展の原動力の在りかや、今後どんな変化が起こるのかを分析した。しかし発言時間が毎回限られていたため、分析の過程を全面的に展開できなかった。そこで今回、この場を借りて設備投資および巨大市場の観点から全面的な分析をしてみたい。
設備投資が根幹
2人の人間が真逆の位置から一つの数字を見たとき、一人がそれを「9」だと言えばもう一人が「6」だと言って譲らないというようなことがよくある。相手の立場から物事を見なければ、意見はいつまでたってもまとまらない。幸い、経済発展のデータを分析する際には、国同士の横の比較が可能であり、また異なる年度のデータを縦に比較することで、一国の創造した資産が以前に比べて増えたのか減ったのかを観察することができる。

昨年の中国の経済成長率は5・0%(IMFによる昨年10月時点の予測は4・8%)で、初めて140兆元(20兆㌦以上、IMFによる昨年10月時点の予測値は19兆3900億㌦)を突破した。IMFが公表したデータによると、日本は1・08%で4兆2700億㌦、米国は2・02%で30兆6100億㌦だった。中国の成長率は日米をはるかに上回っている。
同様にIMFの公表データを参考にすると、昨年の中国の資産は2024年比で6500億㌦増加した。これはベルギーまたはアルゼンチンの年間GDPに相当する。両国のGDPランキングは23位と24位だ。
中国はなぜ1年で中所得国レベルのGDPに相当する成長を実現できたのか? 筆者はそれをインフレによるものではないと考える。米国のGDP成長率はインフレに大きく依存しており、IMFが発表した昨年10月のインフレ率は、中国0・01%、日本3・29%、米国2・72%だった。米GDP30兆6100億㌦の2・72%は8326億㌦であり、中国の6500億㌦を大きく上回っている。
インフレでGDPの数値を引き上げないのならば、中国の経済成長の原動力はどこから来ているのだろうか? 筆者は、金融やIT技術の発展に力を入れている米国とは異なり、中国は設備製造業とハイテク製造業の分野で優れたパフォーマンスを発揮していることに気付いた。中国国家統計局のデータによると、昨年の中国の一定規模以上の工業企業(年間売上高2000万元以上)の工業付加価値額は前年比5・9%増、ハイテク製造は9・4%増、設備製造業は9・2%増だった。中国製造業のハイテクおよび設備分野における付加価値額は、工業全体の増加規模をはるかに上回り、中国の産業高度化を推進している。
ハイテクおよび設備分野への持続的な投資により、昨年の中国の新エネルギー自動車の生産・販売台数は共に1600万台を突破し、11年連続で世界1位を維持し、国内新車販売に占める割合は50%を超えた。「新三種」と呼ばれる新エネルギー自動車、リチウム電池、太陽電池製品は高い成長の勢いを維持している。
半導体分野の投資も拡大
昨年、米国トランプ政権の2期目が始まると、中米先端技術分野での対立がさらに先鋭化した。米国と日本は半導体技術分野で中国に対し厳しい規制を実施し、中国は半導体産業への投資を強化せざるを得なくなったが、その結果、半導体産業の自力更生は大きく加速した。
数年前は米国と日本はまだファーウェイ(華為)技術など一部の中国企業に対する半導体チップの輸出規制にとどまっていた。しかしここ数年、特に第2期トランプ政権が始まってからは、まず半導体のハイエンド技術の対中輸出を全面的に断絶し、その後規制内容を数回変更し、規制をますます広範化させた。同時に、米日の半導体関連企業は中国という世界最大のチップ市場を失ったことで、販売が阻害され収益が減少しただけでなく、研究開発にも大きな影響を受けている。
一方で、中国の投資はかつてないほど強まっている。昨年第2四半期、中国の半導体設備支出は113億6000万㌦に達し、世界総支出の34%を占め、米国や日本などの従来の半導体強国を大きく上回った。
対照的に、米国の半導体設備投資の伸びは鈍化している。米国の関連業界企業による新工場の建設スケジュールはたびたび延期されており、例えばインテルのオハイオ州工場の完成時期は当初の計画であった昨年から31年に延期されている。日本が投資するラピダス社は順調に進展しているが、現時点ではIBM以外の大口顧客を見つけていないようだ。現在、日本の設備製造業は大きく縮小しており、今後どのように自国市場を開拓するかが大きな課題となるだろう。
中国は半導体チップの最大の使用国であり、レガシー半導体分野でも十分な生産能力を有しているが、先端半導体分野では米国や日本と一定の差がある。中国企業が半導体産業に大胆に投資できるのは、国内市場に大きな需要があり、投資リスクが比較的小さいからだ。
世界最大規模の製造業と最大の市場を有し、新技術や新産業分野への投資を不断に強化することが将来の中国経済発展の特徴であり、中国経済が持続的に成長できる理由の一つだ。
日本企業に必要な戦略調整
昨年の中国における日系企業の動向を振り返ると、製造業分野での中国に対する全面的な優位性が徐々に失われる中、中国での配置の見直しを始めている。三菱自動車などが中国市場での自動車の生産と販売を停止し、ソニーのXperiaスマートフォン事業が中国市場からの撤退を発表する一方、昨年1~9月までで、日本の対中投資実行額は55・5%増加した。
高市早苗政権は経済安全保障を特に重視しており、将来は日本企業と中国企業のハイテク分野での交流をさらに厳しく制限する可能性がある。日系企業が技術的な強みを維持し、中国市場のニーズに適応するためには、中国における技術研究開発の強化、技術の製品化、新製品による市場開拓能力などを必然的に強化しなければならない。中国の設備投資と市場の特徴を理解し、中国企業との新たな協力関係の構築を模索することが、日系企業の中国における戦略調整の重要な内容となるだろう。
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