私のもう1人のお姉ちゃん

2018-09-18 15:41:03

山本蘭

私には、2人の姉がいる。1人は血の繋がった3つ年上のお姉ちゃん。もう1人のお姉ちゃんは実の姉と同じくらい信頼し、尊敬している6つ年の離れた中国人である。

彼女との出会いは、私が高校2年生だったときまで遡る。地元の姉妹都市交流で、アメリカ合衆国からの大学生のホームステイの受け入れを1か月することになり、我が家に来たのが中国人の彼女だった。彼女は、中国からアメリカに留学をし、そこから短期留学で来日したという私の憧れるとてもグローバルな学生であった。それまで、私はいくつかの国際交流活動に参加し、ホームステイの受け入れも何度かしていたが、中国人と交流は初めてあった。メディアを媒介し私の頭には中国のネガティブなイメージが染みついていたので、正直中国人の彼女が我が家に来ると聞いた時はとても不安であった。しかし、約1か月間彼女と寝食を共にし、いつの間にか実の姉に言えなかったような悩みも相談していたり、語学がとても達者だった彼女に英語の宿題をサポートしてもらったり、逆に私が日本語の宿題を手伝ってあげたり、時には喧嘩をするなど実の姉妹のような関係になっていた。ホームステイの1か月はあっという間に去っていきお別れの時、正直に、中国人と聞いてとても不安だったことを彼女に打ち明けた。そうすると彼女は、「いろいろな情報に振り回されてしまうのは人間として当たり前だと思う。でもこれからいろんな国の人と出会うあなたにはどうか色眼鏡をかけないで、国や人種、宗教など関係なくその“人”と向き合っていってほしい」と温かいメッセージをくれた。

 それから彼女は、行く先々の国から絵葉書を何枚も送ってくれた。そして文末に必ず「“I’m always be your side” いつもあなたの味方よ。あなたの姉より」と心強いメッセージをくれた。

 それから3年経ち、私が大学2年生の冬、私は彼女に会いに中国を訪れた。いつかは行きたいと思っていた中国に、もう1人のお姉ちゃんに会う為だけに海を越えた。中国では、食事をしながら近況報告を1日かけてした。一緒にいる何気ない時間がとっても幸せで、やっとお姉ちゃんに会えたと心がいっぱいになった。彼女はせっかく中国まで来たのだからと万里の長城や、いくつかの歴史的な場所にも案内してくれた。中国の歴史などあまり知らなかった私に、まるで教科書を読み上げているかのように、わかりやすく詳しく教えてくれた。その歴史で、中国が世界の中でどんな立場だったか、どんなことが起こったのか、ひいきすることなく事実を伝えてくれた。どんなときも彼女の素直さを実感した。現地で、彼女の友達にも何人か会い、みんな温かく迎えてくれて、私はたった一度の訪問で中国が大好きになった。

 現在まで私は、13か国以上の国と地域を訪れ、新しい価値観やモノ、ヒトと出会うことが人生の財産だと思うほど、国際交流が大好きになった。こんな私に、成長させてくれたのは紛れもなく彼女のおかげだと確信している。自分の中にあった、ネガティブな偏見や考え方を、否定することなく温かく理解し、向き合えるように導いてくれた。今、世界で人種や国との争いが絶えないが、私は彼女とのこの温かいストーリーで、国と国という大きな関係も11人の向きあい方も共通しいている部分があると考える。綺麗ごとかもしれないが、1人1人の考えが良い意味でも悪い意味でも影響し、そこから偏見や差別、対立を生んでしまうんのだと思う。

私もいつか国境を越えて、“I’m always be your side”とエールを送り、その人の新しい一歩のサポートや国と国とを友好的に繋げられる人になりたいと強く思う。これがわたしと中国のストーリーだ。

人民中国インターネット版

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