岩渕彩花
日本に訪れている中国人は今何人いるというのを改めて考えたことはあるだろうか。
観光地にとどまらず今日本に住んでいる中国人は多いように感じる。見た目があまり変わること無い私たちはぱっと見る限り区別がつくとは言い切れない。なぜそんなにも中国人が日本に増え続けているのだろうか。
あまり経済についてわからない私でも、日本の企業が今難しい状況に直面しているのは分かる。ものづくり大国と謳われる日本だが、倒産や廃業を抱える問題は決して少なくはない。それに対してかつて日本にとって技術を教えるだけの存在だったはずの中国は今や世界二位の経済力を持ち、「爆買い」という一種の社会現象を起こし、パクリ大国と言われていたあの中国の面影はもうそこにはない。
テレビで流れる日本と中国の新しい関係に、日本に住んでいるのにも関わらず、中国がいつの間にか買収、という形で多くの企業が救われている、という事実に驚くばかりだった。巨額のマネーが流れ、営業に詰まった日本企業が中国に救われている様子で、あるシーンでこの光景何か見たことがあるな、と瞬時に思った。
それは、新潟県阿賀町。自慢はかけ流し源泉、麒麟に似ていることから名付けられた麒麟山。ここのホテルは赤字が続いていたが、ある日を境に中国人がオーナーとなった。そこでは、できるだけ安く仕上げたいオーナーと地元にお金を落としたい、こだわりの温泉のはがれているタイルやサウナミストの修理に早く取り掛かりたいという社長。中国の経営のノウハウで大切にしていることは、買収、という形をとるからこそ国のニーズにあったオリジナルアイディアができる。また、好調な売り上げを一段と加速させる切り札がなにかを見極める。が番組では挙げられていた。日本特有のおもてなしの文化や自然の景色の維持、空気が綺麗なことが好評な日本の良さを失くさずにコストダウンする等、課題は多いようだ。
中国のある会員達を温水プールや、普段はできないお酒の途中を味見する体験や中国では食べないだろう日本ならではの山菜を使った料理。見事旅行者全員を満足させ、おもてなし成功となった社長はこう語る。
「お互いにすれ違うことはあるけれどできるだけコミュニケーションをとっていい結果が出るようにしたい。」
そう語る社長の顔には以前に浮かべていた悩みの表情はなく、爽やかな笑顔が浮かんでいる。もちろん全ての企業がこのようにお互いに寄り添うことは簡単ではないだろう。だが、時間をかけてでもお互いに歩み寄ろう、という意思さえあれば、文化や考え方の違いという壁を壊して認め合うパートナーにもなりえるのではないだろうか。
久々に訪れた箱根という観光地に違和感を覚えたのは果たして私だけなのだろうか。私の祖母の持っている箱根のマンションでは、中国人の入居者が増えつつある。箱根に行くと必ず中国人に会うし、観光地であればあるほどに、見かける回数は高くなるのではないだろうか。もともと中国人は日本を訪れている人数は多かったが、最近は一段と多い気がする。マンションの話に戻るが、最近、中国語で書かれている、露天風呂やサウナを利用するにあたってのマナーについて書かれた看板が設置された。髪の毛が肩についてしまう人は結わくことや、タオルを温泉の中に入れない、お風呂から出てきた後は体をきちんと拭いて水が床に垂れないように、等がイラスト付きで説明されており、私たちにとって当たり前に守っていたマナーは日本独特のマナーなのだな、と改めて実感するとともに、着実に中国人の入居者が占めつつあることを示しているのだろう、とも思った。
救いの手を差し伸べてくれることもあれば強力なライバルにもなり、私たちの身近な存在としていつのまにか隣にいる、そんな中国の存在。改めて相手を見つめなおしつきあっていくことで世界に名を轟かせる存在になりうると考える。
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