ジョハリの窓で深まる理解

2018-09-20 15:18:19

山下美紀子

先日、バイト先の自動ドアが開かずに困っていたところ、側にいた中国人の方が開く仕組みを教えてくださった。世間話をしながら駅まで向かい、最後には肩をぽんぽんと叩いて「加油!」と励ましてくださった。初対面であってもすぐに心の距離を縮めることができる中国人が、私は好きです。

中国人に関わるほど、彼らの魅力に惹きこまれます。そのため、さらに友好を広げ、一人ひとりとの友好を深めていきたいと思うようになりました。この心境は、大学へ入学する以前、言い換えれば中国へ興味を持つようになる前には想像もできなかったでしょう。

ニュースで知る中国の情報は事件・事故等が多いように思えます。ネット上で行われている中国に対する意識調査でも、「マナーが悪い」「反日の人が多そう」といったマイナスな印象ばかり目にします。実は私も以前まで同じ印象を持っていました。

しかし、大学内の中国人留学生や自分が留学した先で出会った中国人の方と交流する中で、その印象も180度変わりました。また、中国人との交流を通して、様々な日中両国の文化、国民性を学びました。さらに、“ジョハリの窓”の論理のように、4方向から自分と中国人双方の中国に対する見方を知ることで理解が深まりました。それぞれ詳しく説明したいと思います。なお、以下の第4までにおいて、中国人の意見は、私が知り合い60名ほどに行ったアンケート調査を元に総意をまとめることとします。

まず第1に「開放の窓」、つまり日中間(私と知り合いの中国人)で共通認識の中国の特徴についてです。良いところは、歴史が長く、文化が多い点、キャッシュレスのため便利である点、物価が安い点が大多数の共通認識でした。国民性でいうと、フレンドリー、効率的に動く、ストレートに言うから付き合いやすい、自由である点が挙げられます。課題点については、一部マナーの悪さ、貧富の差、環境汚染といった社会問題が目立つように感じました。

第2に「盲点の窓」、つまり中国人は意識していないけれども、私が実感する中国についてです。それは、褒め上手である、という特徴です。初対面で交流する方は、必ずと言って良いほどの確率で「中国語が上手ね!」と伝えてくれます。表現やジェスチャーから、心の底から言ってくれていると感じます。私の偏見かもしれませんが、日本人が日本語を話す外国人に対してここまで褒めている光景は見受けられないように思います。

第3に「秘密の窓」、つまり私が知らない、中国の実態についてです。1点目に、「家族や仲の良い友人との関わりが強すぎてストレスを感じる」という問題があるそうです。確かに、日本よりも血縁関係の深い中国ならではの悩みであると思いました。2点目に、「伝統継承さがない」という点です。これは、日本の勤勉さや礼儀正しさの源となっているのは、遣隋使の時代の中国文化である、という点から、現在の中国にその伝統が継承されていないということだそうです。

第4の窓である「未知の窓」については、今後の両国の発展を観察しながら見出していきたいと思います。

以上4方向から中国を見つめ直すことで、文化や国民性に関する新たな発見が増え、理解を深めることができました。上記では述べていませんが、日本の良い点及び課題点も改めて自覚することができました。

ジョハリの窓でいう「開放の窓」を大きくすること、つまり相互理解することで対人関係が良好になり、コミュニケーションも円滑になります。特に、日本と中国はパートナーとして建設的に友好関係を築いていく必要がある以上、相互理解を深めていくことが重要になります。そのためには、我々両国民一人一人が日中関係の重要性を理解し、積極性を持って交流すべきであります。まず私が、歴史や文化を学びながら、さらに友人、知人一人一人に日中両国の魅力を伝えていきたいです。

人民中国インターネット版

 

関連文章