中華料理と中国料理

2018-09-20 15:20:19

丸山紗香

 私の大切な人との思い出のそばには、中華料理があった。

 小さい頃から家族みんなで食事する場所は、決まって近所の中華料理店であった。今でも「美味い・安い・早い」の三拍子が揃った中華料理を食べることを家族全員が望んでいるように思える。一つひとつの料理はとても量が多いため、思い思いに料理をつつくことも楽しみのひとつである。また、それぞれが食べたいものと肉・野菜・主食とのバランスを考え、何を注文するかを皆で話し合う時間が私は大好きだ。

 高校の文化祭では、「中国」というテーマを元に、販売する商品を決め、チャイナドレスを作り、教室に赤色や金色を基調としたデザインを施した。手作りのパンダを首にかけ、片言ながらも唯一覚えた「ホアンイン グアンリン」(中国語の「いらっしゃいませ」)という言葉を叫びながら、校内を歩き回ったことは、私の青春の1ページとして色濃く残っている。私の学校では、手作りの食べ物を売ることが禁止されていたので、日本で買える中国の食べ物を探した。市販の物を売る際にも多くの制限があったため、杏仁豆腐やフォーチュンクッキー、パンダの形をしたクッキーなどのお菓子を選んだ。私はそれまで、意識して中国の食べ物を探したことがなかったので、中国の食べ物が日本の一部となっているほどに種類が豊富であることに驚いた。さらには、それらの商品の多くが日本のメーカーによって作られていたことである。これらのお菓子と同様に、中華料理のなかにも、日本人のイメージや好みによって生み出された日本だけの中華料理があるのではないかという疑問が生じた。実際、冷やし中華と天津飯は中国料理には無く、また、とろみをつけた料理は少なく、中国では焼き餃子をあまり食べないそうだ。確かに、中華料理はどれを食べても美味しく、日本人の口に合う。しかし、本場の味(中国料理)ではないと知り、少し悲しくなった。

 料理以外の私の目に映る「中国」もどうやら実際の中国ではなく、日本の中の「中国」であると感じた。と言うのも、大学に入るまで中国の方から中国に関する話を聞くことがなかったが、中国語を教えてくださっている金田先生の話はとても興味深く、今までのイメージと異なるものであったからだ。金田先生はメディアとは異なった表現で、中国の美しさを語ってくださる。広大な土地から生み出された多様な表情を持つ自然や日本では食べることのできない現地の中国料理のおいしさ、家族(特に母)を想う気持ちを表した言葉や音楽などの様々な魅力は、「心」で中国を感じた人でないと気づくことのできないことであると思う。私も金田先生のような母国の良さに気づき、それらを大切に思える人になりたい。

大学生となり、出身地の異なる人と慣れない土地で過ごすうちに、家族や故郷を想う時間が増え、家族の愛情や温かみ、故郷の美しさに気づいた。外からでないと日本の魅力に気づくことは難しいため、積極的に海外について知ろうと思う。また、中国の魅力を日本人が感じるには、現地に赴き自分の「心」で感じることが大切であると思う。そのためには自分の周りにある中国に関する事柄に興味を持ち、金田先生のような中国の魅力を熱く語れる人と出会い、交流することが望ましい。私の中の中国は、日本内での「中国」と先生が語る中国が混ざり合って出来ている。しかし、実際に訪れて自分の「心」で本当の中国を感じ、その上で日本と中国の人々の交流を盛んにしたいと考えている。私もできるだけ多くの人が両国の魅力に気づくことができるように堂々と伝えていきたい。

人民中国インターネット版

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