「中国語を学ぶきっかけ」

2018-09-20 16:11:26

小野翔平

高校3年生の夏休みに、僕はバレーボールの国際親善試合を行うため、タイに行きました。それまで海外には一度も行ったことがなかったので、全てが初めての経験でした。そして、僕が宿泊していたホテルには多くの中国人観光客の方もいました。たくさんの中国人の人と関わることも初めてのことで、正直最初は嫌だなと思っていました。僕の中での中国人は、テレビのニュースや新聞を見て、普段の会話から言い合っているような雰囲気で、あまりマナーが良くないという勝手なイメージが定着していました。そのため、僕はできる限り関わることはやめておこうと思っていました。しかし、ホテルでの生活を送る中で、今までのイメージはがらりと変わりました。朝食や夕食で同じ時間に食べるときや、廊下ですれ違うときなど、優しく話しかけてもらったり、急いでいるときは道を譲ってくれたりと、とても親切で他人思いな人がたくさんいて、良い時間を過ごすことができました。

その中で、今でもはっきりと覚えていて、心に残っているエピソードがあります。僕たちがホテルに滞在しているときに、中国から旅行に来ている団体がいました。それほど多くの人数ではなかったですが、その団体の中の1人に日本語がよくわかる中国人の女性がいました。ホテルのフロントで初めて会って、自分たちがバレーボールの親善試合に来ているということを伝えると、「すごい!頑張ってね!」と、応援してくれました。その日以来、試合が終わってホテルに帰ったときに彼女に会うと、「今日の試合は勝てた?」と気にかけてくれました。そして、試合の最終日には、彼女が一緒に観光に来ていた他の中国人の人たちと僕たちの応援に来てくれました。その日の試合の相手はそれまでやってきたチームとは違ってとても強く、残念ながら勝つことはできませんでしたが、試合のあとに「頑張ってたね。すごくかっこよかったよ!」と僕たちに対して言ってくれました。一緒に来ていた中国人の人たちも、とても笑顔で、大きな拍手をくれました。あの時の喜びや感動は今でも鮮明に頭に残っています。少人数であったけれど、一人一人の思いや力が今まであまり感じたことのないくらい大きく感じました。このときに、一気に距離がぐっと近づいたような気がしました。この経験を通して、今まで中国に対して否定的なイメージを持っていた僕は申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。中国人は確かにマナーが良くない面があったり、少し関わりづらいと思う人もいるかもしれません。しかし、一度仲良くなれば、日本人以上に相手のことを大切にしたり思いやる気持ちや応援のパワーを感じることできるということを、僕は今回のバレーの試合で実感しました。世界の人とのつながりができることがこんなにも嬉しいことなんだということを、僕は初めての海外での生活で学ぶことができました。

そして現在、僕は大学で中国語を勉強しています。今まで全く触れてこなかった言語なので、初めてのことばかりで特に発音は難しいですが、一生懸命頑張っています。あのとき少しでも中国語が話せていたら、日本語が話せた女性以外の人たちとも積極的にコミュニケーションが取れて、もっと楽しい時間を過ごすことができていたかもしれません。今回、大学で中国語を学ぶことで、またいつかあの時のような状況が生まれたときに、今度は自分の力でコミュニケーションを取り、自分で楽しい時間や楽しい思い出をたくさん作れるようになりたいと思います。そのために、もっともっと勉強を頑張って、言葉だけでなく、文化などにも目を向けて中国の人、世界の人とのつながりを増やしていけたらいいなと思います。これからアジア選手権でバーレーンに行きます。中国の選手もたくさんいるので、授業で習った中国語を活かす機会があれば使いたいです。

人民中国インターネット版

 

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