真冬の新潟を春色に彩る春節祭

2019-01-18 15:48:46

 写真=東京支局

 

新潟春節祭実行委員会(中国駐新潟総領事館、新潟華僑華人総会、新潟県、新潟市、新潟県日中友好協会、新潟大学中国留学生学友会で組織)による「新潟春節祭2019」が、1月17日と18日の2日にわたって新潟市音楽文化会館で行われた。

新潟県は日本海に面し、冬になると空は北陸地方特有の暗い鉛色に覆われる。曇天と降雪、降雨の日々が続き、太平洋側のからりと晴れた冬空が羨ましいと、北陸の人々は口々に語るほどだ。旧正月を迎える頃はまさに厳寒のさなか。そこで昨年から、新潟春節祭は従来の屋外型を、あたたかな屋内で華やかなステージを楽しみ、新しい春を祝うスタイルへと一転した。昨年は甘粛省から芸術団を迎えて敦煌文化を紹介したが、今年のテーマはモンゴル文化。内モンゴル自治区のフルンボイルから2つの芸術団を迎え、「中国内モンゴルへの誘い民族歌舞の宴」と題して3公演を行うとともに、内モンゴルの中国無形文化遺産継承者による工芸品の展示即売も行われ、会場全体がモンゴルの草原文化一色に染められた。

 

 

 

 

ダウール族の子供の人形遊びに使われた紙人形哈尼卡(ハニカ)、狩猟民族のエヴェンギ族による白樺の樹皮や皮革や毛皮を使った工芸品が、会場に華を添えた

 

初日の17日には、開幕式が開演前に行われた。駐新潟中国総領事館の孫大剛総領事は「今年で5回目を迎えた新潟春節祭は、昨年から会場を屋外から室内に移し、特色ある文化芸術ステージと中国無形文化遺産の展示を有機的に組み合わせて開催している。来場者数は累計20万人にのぼり、中日両国の文化交流促進のための新たなプラットフォームを打ち立て、新潟と中国各地域の人々との交流と友情の懸け橋となった。今年は大草原の情趣に富んだ内モンゴルの文化芸術を新潟の皆さんに紹介できることを嬉しく思っている。内モンゴルは昔から中国北方における対外文化交流の重要な窓口だった。フルンボイル大草原からやってきた皆さんが、春節のめでたい雰囲気を新潟の皆さんに届けてくださることを、大変楽しみにしている」とあいさつ。「昨年は中日平和友好条約締結40周年と中国の改革開放40周年を迎え、両国首脳が7年ぶりに年内の相互訪問を実現させ、両国関係は再び正常な軌道へと戻った。今年は中国が建国70周年を迎え、中日関係は改善と関係発展の新たなチャンスを迎える。この新たな1年に中日関係が成長し、新たな発展を遂げることを心から願う」と新年への願いを語った。

花角英世新潟県知事は「昨年6月の知事就任後、初めての訪問先が中国の黒竜江省と大連市で、交流拡大の意見交換を行った。昨年10月には県鳥で日中友好のシンボルトキの新たなつがいが中国から提供され、佐渡で飼育が始まった。また、嬉しいことに県産米の中国輸出が再開され、先日第一弾が輸出された。こうした友好の機運の高まりをしっかりと受け止め、今後も領事館はじめ関連団体と連携して交流拡大に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

 

孫大剛駐新潟中国総領事

 

花角英世新潟県知事

 

平日の昼間にも関わらず、500人以上が収容可能なホールはほぼ満席となり、新潟市民の関心の高さを物語っていた

今年の春節祭でステージを彩ったのは、1950年創設のフルンボイル民族歌舞劇院と、1959年創設のモリダワダワール族自治旗芸術団の2団体。いずれも内モンゴルを代表する伝統ある芸術団だ。

モンゴルと言えば広大な草原を思い浮かべる人が多かろう。中でもフルンボイル大草原は世界的に有名な天然牧場とも言われ、総面積が10万平方キロメートルのうち、3000あまりの川と500以上の湖に潤される天然の草場が80%を占める、モンゴルを代表する景色が広がる地域だ。そんなモンゴル文化の源とも言える地域からやってきたアーティストによるステージに、市民はしばし日本海の暗い冬空を忘れ、雄大な緑が広がる草原に思いをはせているようだった。大胆なモンゴル舞踊やおおらかな声で歌い上げられるモンゴル民謡、アルタイ山脈周辺民族の間に伝わる独特な歌唱法の「ホーミー」まで、モンゴル文化の奥深さを見せつけるステージに、惜しみない拍手が送られた。

 

 

 

 

 

 

  

来場者には在日中国人の姿も見られたが、大多数は新潟日報の告知を見て観覧の申し込みをした新潟市民。それだけに関心の高さもひとしおだった。長岡市内から車で来場したという64歳の男性は、「趣味で中国語を長年習っていますが、今まで内モンゴルの文化にあまり接する機会がなかったので、良い機会でした。日本では伝統文化を継承する若い人の減少が問題になっていますが、芸術団のメンバーが若者ばかりなのを見て、しっかりと民族の伝統を受け継いでいることに頼もしさを感じました」とコメント。母親に誘われて来場したという34歳の女性は、「モンゴルの音楽や踊りを見て、今まで描いていた中国のイメージとは違う文化があることがわかりました。家に帰ったらモンゴルのことを調べてみます」と興味を持った様子だった。関係者によると、今後も新たな仕掛けを考え、さらに面白い春節祭にしていく予定があるとのこと。市民の熱い支持に支えられ、今後も厳冬の新潟を暖かく彩っていくことだろう。

 

人民中国インターネット版 2019年1月18日

 

関連文章
日中辞典: