西日本随一の中国語コンテストが20周年 2019年度日本「五星奨―中国語コンテスト」

2019-07-01 15:43:59

続昕宇=文・写真

2019年度日本「五星奨―中国語コンテスト」(以下五星奨)が、68日に北九州市立大学で行われた。

「中国語を学び、中国を理解しよう」をテーマに00年から始まり、20回目を迎えた今年も、暗誦、スピーチ、朗読の3部門に加え、クイズと才芸部門が大会に色を添えた。主要3部門には長崎、山口、福岡など西日本各地から40名あまりが参加し、日ごろの中国語学習の成果を競った。

スピーチ部門に参加した長崎県立壱岐高等学校の向和(むかい・のどか)さんは、最年少ながらも堂々と登壇。「私は将来、国際社会で活躍する人になりたい」と大きな夢を語った。向さんが住む長崎市と中国は古くから交流が盛んな土地。中国語学習を決意した向さんは実家から遠く離れた、中国語教育が充実している壱岐島の高校を進学先に選んだ。国境を越え、語学力を活かして友好精神で多くの人々とつながりたいと目を輝かせる。

好鍾意廣州,多謝你」(大好きな広州、ありがとう)と広東語を披露して観客の称賛を浴びた北九州市立大学3年の石田和典さんは、大学1年の時に広州へ留学した。留学中は毎日が新たな体験の連続で、広州が第二の故郷になったと言う。今後もさらに努力を続けることが、広州への恩返しになると熱く語った。

堅実な中国語力が評価され、スピーチ部門1位に輝いた大美奈穂さんは、出場者の中でも珍しい英語専攻ながら、留学先は欧米ではなく上海を選んだ。スピーチのタイトルは「中国語学習を通して得た達成感」。「中国人とまともに接したこともないのに、ニュースメディアで報道される偏見を信じていたことを、とても恥ずかしく思っています」と語った。偏見が変わったのは留学生活。当初は中国語がわからずただ微笑んでやり過ごすことしかできなかったのが、今では中国語での会話も自在だ。自らの成長もさることながら、中国語で人を助ける喜びを経験したことが、中国語学習で得た達成感だったと言う。

才芸部門では、中国の古典詩の朗読や、その場で仕上げる剪紙(切り紙細工)などの特技を発揮した出場者が、会場を大いに盛り上げていた。

開場早々にビデオカメラをセットする保護者の姿も見えた。金子皓介さんの両親だ。金子さんは2度目の挑戦で、小学校の頃に見たTV番組が中国語学習のきっかけだったと両親は語る。「私たちは中国語ができませんが、息子は中国が好きなので、夏休みには毎年留学に行かせるなど応援しています。将来は中国語関連の仕事についてもらいたいですね」と期待を寄せる。

北九州大学で30年にわたり教鞭を取り、日本「五星奨」中国語教育推進会幹事長でコンクール発起人の葉言材さんは、20回目の開催に感慨ひとしおだ。中国への熱い思いを持ち、中日民間交流に積極的に関わる学生の育成のため、西日本地区での中国語コンクール開設に尽力した。00年に第一回の「五星奨」を行い、関東と関西にしかなかった中国語コンクールに新風を吹き込んだ。「出場者が受け継いできた『継続の心』は、私が30年の心血と年月で築き上げてきたものです」と苦労を語る。

 「五星奨」20年の歩みは、中日関係が風雨にさらされ、あるいは「氷河期」と呼ばれる時期にあっても決して衰えることがなかった、出場者のコンクールに寄せる情熱と中国を理解したいという思いを物語っている。葉さんが記者に送ってくれた「卅衷一事,填海築橋梁。汗血滴尖路,弾指鬢已霜。」という詩には、その思いが凝縮されていた。

 

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