大連金普新区は東北地区の対外開放の最前線だ。この国家クラスの経済技術開発区・保税区・輸出加工区・観光レジャー地区などの重要な開放機能を一体化した土地には、1800余社の日系企業が集まり、全地区の外資企業の36%を占めている。
『人民中国』の取材に対し、大連金普新区商務局日本処の馬克緯臨時責任者は、「大連の発達した交通と港湾物流が、日系企業を引き付けるとりわけ恵まれた強みとなっています。われわれは10項目の対日資本・企業誘致特別政策をとっており、さらに東京に事務所を設け、企業により多くの政策扶助と産業支持を提供しています」と語る。

大連港(写真=李家祺)
オムロン(大連)有限公司経営企画部の森田将崇部長は取材に対し、「ここでは外資と内資が平等で、政府は企業のためにすぐに意思疎通がとれ、問題を効果的に解決するルートを設けていて、政府と企業間の協力が緊密です」と語る。
中国の経済発展モデルの変化に伴い、金普新区内部の日系企業もまた「モデルチェンジ・アップグレード」の時期を迎えている。
馬臨時責任者の紹介によれば、日本企業の新区に対する投資はすでに従来型の大規模な直接投資から、都市建設、医療・養護・健康、商業貿易・物流、健康管理、技術カウンセリングなどの多分野・多形式による経済貿易協力に変化している。

インタビューに答える馬克緯臨時責任者(写真=郭莎莎・人民画報)
2017年から現在まで、金普新区では、TDK・徳泰馨甆環保科技など計80近くの新規・増資プロジェクトが実施されている。このほか、30余社の企業が相次いで増産・拡張しており、固定資産投資総額は6億ドル近い。THK、TDK、サンケン電気などの多くの古くからの日系企業はみな、大規模な設備投資、生産ラインの一新、オートマチック化レベル向上などによる更なる生産効率アップを図っている。
中国の消費市場の発展により、ますます多くの日系企業が「生産輸出」から「現地研究開発」に転換して、現地化戦略でより多くの消費者を獲得しようとしている。
オムロンヘルスケアグループの唯一の海外研究開発基地はまさに大連にある。現在、オムロン(大連)有限公司は事業再編により、金普新区に研究開発・生産・販売を一体とする発展構造をつくり上げている。
「中国の顧客の需要は常にアップグレードしており、われわれはこのチャンスに更なる発展を成し遂げようとしています」と森田部長。今年3月の段階で、この企業の売上総額は17億6000万元に達した。しかし彼らは更に野心的な目標を掲げており、2025~27年の売上額目標を60億元としていて、中国における事業規模を現在の三倍余りにまで拡大しようとしている。

ネブライザーの製造現場(写真=オムロン提供)
今年6月、敷地面積28平方キロメートルの新日本工業団地第一期が、金普新区に完成した。
日本電産株式会社は金普新区と提携を結び、5億ドルを投資して、工業団地において新エネルギー自動車駆動モーターの生産ラインと研究開発基地を建設た。来年から一部を生産開始する予定。「これは20社あまりの川上・川下産業の中国系・外資系関連企業を牽引します」と馬臨時責任者は語る。
「金普新区は現地のイノベーション発展にさらに大きな力を注ぎ込んでいます。新区の外資企業、特に日系企業は確かに先進の生産経験をもたらし、多くの先進生産経験のある産業労働者、ミドル・ハイクラス人材、語学人材と科学研究人材を育成し、さらに多くの就職チャンスを作り出しました。長期的にみると、これはこの地域における大学の魅力を高め、より多くの若年人口のこの地域への流入を促すことになるでしょう」と馬臨時責任者は語る。(文=李家祺)
人民中国インターネット版 2019年9月19日