「老朋友~情に厚い友」

2019-07-01 09:42:07

渡部 宏美


私の個人的な感覚かもしれませんが、中国人は、情に厚い方がすごく多いという印象があります。一度仲良くなると、色んな事を心配してくれますし、頼むと何でもやってくれるということが多いです。中国人の友人は、「日本人はよく人に迷惑をかけないようにするから、駄目なんだ。中国では、友達には、迷惑をかけなきゃ仲良くなれないよ」とよく私に言っていました。そういうわけで、JICAのボランティアのため、西安で生活している間、私は中国人の友達に甘え、よく色々なことをお願いしていました。

ある日、私のお腹が痛い日が続き、(原因は、美味しい中華料理の食べすぎだと思うのですが・・・)中国人の友達が、「心配だから、脈を見に行こう!」と言い出しました。「お腹が痛いのになぜ脈を!?」と思ったのですが、中国のお医者さんには、脈をみるだけでその人の体調不良の原因が分かるエキスパートがいるらしいのです。中国や韓国の歴史ドラマを見ていると、脈をみるだけでお后さまが妊娠しているかどうかが分かるお医者さんが現れますが、それと一緒のようでした。面白そうなので、友達に連れて行ってもらいました。
 まず、お医者さんの前に座ると「調子悪いのはどこ?」と聞かれました。脈を見て判断するのではないのか・・・。と思いながら「胃が痛いことが多く、最近よくお腹を下します。」と正直に答えました。その後いくつか私に質問をし、最後に私の脈を見ました。
 「消化器官と脾臓の脈が弱いので、改善する薬を出します。体調が良くなるまで冷たい物を食べたり飲んだりしないで、お湯をたくさん飲むように」とお医者さんは私に言いました。お医者さんが私の脈をして本当に体調を診断したのか、半信半疑でしたが、診察は終了しました。

次に連れて行かれたのは、薬剤室でした。『千と千尋の神隠し』の釜じいがいる部屋のようでした。薬になる乾燥した植物がそれぞれの棚に入れられており、スーパ銭湯の薬湯湯のような漢方特有の匂いが充満していました。そこから私の症状に合わせた薬が選ばれ、煎じられました。

 私を連れて行ってくれた友達は「薬はものすごく苦いけど、絶対飲み続ければ治るから、頑張って最後まで飲むんだよ。」と力強く私に言いました。中国医学には、信じる心も大事なのだなと思いました。友達が言うように、薬は苦くてまずく、毎日飲むのが苦痛でした。友達が残っている薬の量と毎日きちんと飲んでいるか、しつこく確認してくるので、仕方なく全て飲み切りました。毎日飲んだ結果、お腹の調子はとても良くなりました。

その後も何度か体調をくずしましたが、中国人の友達が体調に関してたくさんアドバイスしてくれました。科学的な根拠はないけど、やってみた結果、すごく効果があるということが多かったです。また、西安の夏は、北海道育ちの私にとっては、ものすごく暑く、耐えられませんでした。連日40度前後の気温が続きました。室内はエアコンが効いていて寒いくらいなのですが、外に出るとその気温差でよく体調を崩し、その時もお腹が痛くなりました。お腹を壊すと中国人の友人によく言われるのが「お湯を飲め!」です。風邪を引いても、頭が痛くても、寒いと言っても「お湯をいっぱい飲め!」と言われます。中国のお湯は万能のようです。とにかく体を冷やさないように言われました。この考えも中国医学から来ているようです。
 私をいつも心配してくれた友達は、「中日の関係は、今はあまり良いとは、言えないけど歴史を見ればよい関係を築いてきた時間の方が長いのだから、ちょっとしたことで関係を悪くするのは勿体ない」とよく言っていました。

友達のおかげで私は最高の中国生活を送ることができました。感謝です。

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