決めつけること・知ること

2019-07-01 09:42:07

篠原 


第一印象でついたイメージは取れない。日本人は中国人に対して、「マナーが悪い」、「態度が悪い」「下品」などマイナスなイメージを持つことが多い。そして、文化の違いを理解するというよりは、軽蔑して避けようとする。だから日中関係は上手く行かない。更に、日本視点の教科書からでは、中国は日本に劣ってるイメージを持たざるおえない。歴史上で最初は中国に学びに行ってたが、学ぶ必要が無くなると、切り捨てた。豊臣秀吉の明の征服計画でさえ、秀吉は中国を低く見て、自分こそがアジアの王だと謳歌した。経済・環境分野に視点を置いても、学ぶことは、中国は人口が多くて市場が拡大してるから経済は循環しているが、その裏で多量の二酸化炭素を排出していること。また、大量に二酸化炭素の排出をしているのに、そんなに人口が多いのに、未だに発展途上国と承認されていて、ずる賢いということだ。本当にそうなんだろうか。中国はそこまで日本にとってそこまで負の国であるのか。

私は、上記の負のイメージを習熟してから、高校に入学した。しかし、高校の現代社会の授業の際に、上海にオフィスを置いている日本企業のアジア責任者の方に中国に実態を聞かせていただいた。その授業50分間は、私の頭の中を完全に塗り替えてしまった。まず、中国はとても環境に気を遣っている。現時点で電気自動車の導入は60%に及ぶと言っていた。さらに日本人が気にするPM2.5も対策きちんと出来ていて、砂嵐で目が開かないような状況は全くなく、青空が広がっている。彼の話では確実に日本よりは住みやすいとのことだ。

また、私が最も驚愕したこととして「中国のオンライン市場」についてだ。現在の中国は現金使用率5%以下という超デジタル社会だ。つまり、現金がなくても生きていける国ということだ。彼の場合では朝、携帯でQRコードを読み込んでコーヒーを買い、サービス自転車(この制度自体もすばらしい)を読み込んで乗り、会社へと出勤している。お金をおろす必要もなければ、お金を持たなくてもいい。そして、このデジタル革命が起こした影響は凄まじい勢いで中国の民度を包んだ。個人がデジタルを媒介することによって、データ情報で個人が特定され、その人の過去・今がどのようなものであるかが他の人々に分かるようになった。このシステムにより、人に見られる意識からライフスタイルがとても改善された上に、犯罪率も減っている。また、日本のムチ制度とは異なり、中国は良い行い(デジタル社会が監視するから確実)をすると給与が上がるなどのアメ制度である。一方、中国オンライン企業の進出も著しい。例えば、アリババは時価総額50兆円と世界で6位だ(ちなみに日本はトヨタで41位:車をつくる重工業会社)。驚くべきことは電子商取引で群を抜いていた以前のアメリカ企業は潰れ、アリババの独占である。

私は、彼の話で私の中国の誤解が多いことに気づかされた。そして、他にも自分自身で中国の立場から見てみると分かったことが沢山あった。一例を挙げるならば、二酸化炭素の排出面だ。確かに、中国が最も排出している。しかし、1人あたりの排出量でみてみると、日本は中国の1.5倍も排出していることがわかった。これで、中国に対し排出を抑えろ!なんて言う日本人は恥ずかしくはないだろうか。

私にとって幸運のことはこの年齢で負のイメージを消滅できたことだ。若さとは人間が元々持つ最強の武器だと私は考える。若さは情報の齟齬を修正し、新しい価値観を見出すことも、時間を使って調査・経験することができる。日中関係は先人たち、今の大人の人達が創り上げた見えない財産だ。この見えない財産を増やすことができるのは、新しいアイデア・切り口を持っている若者だけだ。だからこそ、若者のもつ中国の負のイメージを私のように消滅させ、日中関係を良好にするための土台を築き上げていく努力を続けたい。

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