COVID-19のもたらした変化

2020-03-03 16:17:44

 

中国雑誌社東京支局スタッフ 南部健人

東京支局で働き始めたのは春節休みに入る少し前だった。上司から主な業務を引き継ぎ、さあいよいよ仕事に取り組もうと思った頃には、中国ではCOVID-19の流行で武漢が封鎖され、日本でも散発的にり患者があらわれはじめていた。そこからじりじりとCOVID-19が日常の景色を侵食してくる日々が始まった。通勤時に見かける人々のマスク着用率は日に日に高まり、東京に遊びにくるはずの中国の友人との予定もキャンセルになり、東京支局でもリモートワークと時差出勤の体制が敷かれることになった。働き始めて携わったすべての取材もCOVID-19に関連するものだ。ただ、当初の日本から中国への支援に関する話題から、今では日本も中国もともに頑張ろうというものに変わってきたことを実感する。

しかし、この期間に感じた変化は決して消極的なものばかりではなかった。この数週間で、自身のwechatのモーメンツやメディア報道を通じて、国外の中国人留学生の中国への支援活動や、それらの物資を国内で整理するボランティアを積極的に呼びかける声などを目にすることが増えた。募金に関する投稿をしていた友人は、少し前に流行語となった「仏系青年」という世情に無関心で何事にも受け身だと揶揄されてきたのだが、今の非常事態のなかで自分のできることに積極的に取り組む姿には驚きとともに励まされる思いがした。

 

その時ふと、学生の頃に教わった「浴火重生」という言葉が脳裏に浮かんだ。鳳凰が生まれ変わる際に炎のなかに飛び込むことから転じて、巨大な困難と痛みを経験し乗り越えることで、人は大きく成長することができるとの意味になる。一部報道では、中国国内の流行ピークは過ぎつつあるとも出ているが、未知なるウイルスなだけに予断は許されない。ただ、同世代の彼ら彼女らの変化する様子から、わずかでも確かに希望の光を見る思いがした。

日本ではCOVID-19の流行が広がりつつある。まずは、一日でも早く流行が収束へと向かうことを願い、そのために自分にできる予防策をきちんと行っていきたい。また、もうしばらくこの非日常が続いていくとしても、ここでの経験が「重生」のために必要なのだと信じて、今目の前にあるこの日常を大切にしていきたいと強く思う。(人民中国雑誌社東京支局スタッフ 南部健人)

人民中国インターネット版 202033

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