日本から見た新型肺炎

2020-03-06 14:33:16

 

私が最初に中国に行ったのは、2003年のSARSの騒動がようやく落ち着いた頃だったので、「〇月〇日消毒済み」というシールが貼られたバスが走っているなど、まだ国の至るところにその影響がいろいろ残っていた。実際にSARSの経験はしていなくてもいろいろな話を聞いたし、もうすでに日本に戻っている今回も、中国の友人たちからSNSなどによりいろんな情報が入ってきているので、感染症の怖さは実感できる。

 

 

今回の感染症が流行した当初、日本人の間では、「またもや中国で」というようなムードがあって、「だから中国人は……」と続いていく「中国蔑視」があったことは紛れもない。しかし今では、日本で起きたクルーズ船の感染問題を初めとして、日本でも中国と同様の広がりを見せつつあるという事実に直面し、こうした病気はどの国だから起きたのだとかそういう問題ではなく、人類全体の「明日は我が身」の問題だと実感している人が多いのではないだろうか。

日本の一部ではこうした「中国蔑視ムード」があるにも関わらず、日本人がマスクを贈ったことに感謝されたり、段ボール箱のラベルに描かれた「山川異域、風月同天」という言葉が大きな反響を呼んだりしているというニュースを聞くと、日本人のこうした「中国蔑視ムード」がいかに度量の狭いものであるか痛感し、とても恥ずかしく感じた。そして、自分もまた何かできたらという焦りみたいなものも感じるようになった。

自宅に閉じ込められ、ろくに出かけることもできない息苦しい日々を送っているにもかかわらず、中国の友人たちはみな元気なようだ。いきなりお菓子作りに目覚めたり、田舎から帰れないことをいいことに、田舎暮らしを満喫したり、みんな制限のある中で、出来る限り楽しく暮らしているようだ。こういったポジティブな強さこそが中国の強みで、何かというと悲観的になりがちな日本人は見倣わなければならないと思うこの頃だ。(中国語訳者 福井百合子)

 

 

人民中国インターネット版 202035

関連文章