長期的な効果と堅固な絆を

2020-04-15 11:39:21

 

文=本誌総編集長 王衆一 

中日両国政府が昨年、「中日青少年交流推進年」を結んだ勢いに乗り、今年は「中日文化・スポーツ交流推進年」によって両国の人々の交流が新たなピークを迎える期待が高まっていた……。ところが、全世界で猛威を振るった新型コロナウイルス肺炎により、こうした交流活動は一時停止のボタンを押されてしまった。だが、この休止は、再び交流への高まりに向け、新たな交流の形を創り出すために、考える時間を与えてくれた。故(ふる)きを温(たず)ねることは革新につながる――。昨年の行動開始からちょうど1周年に当たる今、これまでの活動を振り返るこの文章は、この特殊な背景の下では新たな思いを感じさせるかもしれない。

2019年の「中日青少年交流推進年」は成功裏に終わった。中日青少年交流を推し進めることを中国人民政治協商会議全国委員会に提案した者の一人として、光栄に思っている。昨年の青少年交流は特筆に値するものだった。これからの中日国民の大交流時代には青少年交流が極めて重要になり、中日関係が穏やかに末永く続くことに関わってくると予見できる。私自身、若いころに青年交流に参加し、その影響を受けたおかげで、中日交流をライフワークにしたのだ。

 

昨年、私は多くの青少年交流活動に関わり、時代の変化や世代間に起きた変化を実感した。それに即し、私たちは青少年交流に存在する新たな問題を見つめるよう求められている。

中日関係がまだ冷え込んでいた14年、人民中国雑誌社は共催で「Panda杯全日本青年作文コンクール」を始めた。昨年には第5回までの受賞作品集を出版できた。東京の駐日中国大使館で作品集を披露した際、私は「『Panda杯』受賞者への習近平国家主席の返信を励みとし、この5年間の仕事をしっかりと総括し、バージョンアップした『Panda杯』をつくり出す必要がある」と孔鉉佑大使をはじめとする来場の方々に話した。

 

また、「悟空杯」中日国際漫画コンテストは幅広い人脈の基礎を固め、素晴らしい活動理念を形成したが、その一方で、活動が商業主義にむしばまれて初心から外れることのないように警戒しなければならない。「悟空杯」の副産物として中国で昨年出版した歴史漫画『血と心―元日本人解放軍兵士・砂原恵の波乱万丈の人生』において、企画者と作者は青少年の好む漫画のスタイルを用い、世代間のギャップを埋めて歴史を捉えるよう努力した。こうした作品をもっと奨励し、漫画交流の主な方向としてもよいだろう。

 

関係が比較的困難になった時、イベントがあれば人目を引く事柄になる。「山の花 咲き競う」現在、どうすれば「はなむらにありてほほ笑み」続けられるかを課題として考えるべきではないかと思う。私たちは往々にして大規模な活動だけに興味を持つが、細分化され、特化された、持続可能な活動の計画について、なおもいっそう努力する必要がある。インターネット時代の若者は心が豊かで、自分に属するバーチャルの世界を持つ。映画時代とゲーム時代、切手マニア時代とフィギュアマニア時代には関心とやり方に大きな差異がある。両国の青年に互いの心の扉を開かせることが新時代の新しい課題だ。観光地を歩き回り、乾杯・会食をし、中日友好のスローガンで友達付き合いをするような時代は、もはや過去のものとなった。ある中国の友好交流団体は、昨年北京で日本の高校生を対象とするホームステイを企画し、確かに日本人青年と中国人家庭の距離を埋める効果があった。しかし、子どもたちは家庭内交流では決して思った通りに積極的ではなく、双方が自分のスマートフォンに没頭していた。

 

青年たちが互いに相手の考えていることに関心を持ち、心の中に深く入り込んで個性的な交流をするよう仕向けてこそ、長期的な効果と堅固な絆を生み出せる。

東京大学の学生訪中グループを受け入れたことがある。交流テーマは「北京について深く考える」で、歴史文化から現実社会まで、彼らは自分たちの関心と結び付けて非常に多くの質問を用意していた。真剣な思考を経て展開された交流は魂に触れることができたし、私にもどのように日本に向けて発信したらよいかという問題に関するヒントをもたらした。

両国の若者の交流を推し進める中では、説教的な立場をやめ、謙虚に彼らに学ぶ姿勢を取るべきだ。若者世代は未来の建設を担っており、若者世代に学ぶことはすなわち未来に学ぶことだ。この突然襲ってきた感染の猛威の中、中日両国の人々は互いに見守り、胸を熱くする多くの話が生まれた。中でも両国の若い人々の行動は特筆に値する。私は確信する――交流活動が再スタートする時、手を携えて感染拡大と闘ったこの若者たちの感動のエピソードを振り返り、必ずや将来の交流への手掛かりを得て、その道はさらに広がるだろうと。長期的な効果と堅固な絆を目指す青少年交流を共に推進していきたいと思う。

 

人民中国インターネット版 2020年4月15日

 

 

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