于文=文
新型コロナウイルスの勢いはとどまることを知らず、ついに世界中にまん延した。日本での新型コロナウイルス感染症の流行は依然として憂慮すべき状態だが、国際情勢も心配な状況が続いている。この状況を懸念し、国際アジア共同体学会、一帯一路日本研究センター、アジア連合大学院機構の3団体が各界の有識者を結集、緊急特別シンポジウムを東京で開催し、人類史的危機にアジアがどう立ち向かうかについて討論を行った。
元国連大使の谷口誠氏など、シンポジウムの参加者が相次ぎ発言を行った (写真・于文/人民中国)
心を通わせたマスク
シンポジウムは参議院議員会館の地下会議室で開催された。集会に関する政府の注意事項にならい、もともとは20人程度の小規模な会にする予定だったというが、実際には100人近くが来場、ウイルス禍への高い関心をうかがわせた。主催側は参加者に欠品が続くマスクを配布。このマスクを無償提供したのが、シンポジウム参加者で日中一帯一路促進会の大野芳一代表だ。
大野代表はプラネタリウムを製造する会社を営んでいたが、2003年に北京で行った展示会とSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行がぶつかった経験から、ウイルスと闘い感染を予防する大切さと、長期の闘いにも耐えうる製品の必要性を感じ、抗菌マスクの研究と生産に踏み切った。そんな大野代表は今年1月に武漢で未知のウイルスが発生したというニュースを聞いた瞬間、流行の可能性を察知。その直後から相次いでマスクの注文が入り始めたという。当初は大口購入にも対応していたが、中国での感染拡大が激しさを増したことを受け、中国向けに卸すバイヤーへの出荷を優先。最終的には在庫の80%を中国に向けて出荷した。その後状況は一転、先日は中国からのマスク5万5000枚を荷受けしたという。このマスクは、大野代表が中国の友人から「日本の感染予防を支援したい」と病院や高齢者施設向けの寄贈を委託されたものだ。「ウイルス感染拡大という状況下、小さなマスクが日本人と中国人の心を通わせている。マスクメーカーとして、こうしたさまざまな経験ができたことに万感の思いがある」としみじみ語る。
中国側としては南京師範大学現代アジア言語文化研究所の林敏潔所長が参加、ウイルス感染拡大で民間の感情が盛り上がりを見せたことについて、「こんな状況下だからこそ助け合い、中日関係をより一層強固なものにしてもらいたい」と期待した。
ウイルスと闘い共同体目指す
参加者は各国におけるウイルス感染拡大への対応策と国際協力についても討論を行った。横浜市立大学の矢吹晋名誉教授は、「中国は米国と共にウイルス発生地の共同研究を行いたいと思っているが、米国が拒絶している。米国は『中国』や『武漢』をイメージしたウイルス名を主張しているが、WHO(世界保健機関)は固有の地名を用いないことで差別を避けるという観点を持っている。よって米国のやり方はWHOの要求に合致しないとしている」と指摘。慶應義塾大学の大西広教授は、各国でのウイルス感染拡大に関する政策の違いを分析した上で、中国、韓国、日本における対策の効果は欧米各国に比べると明らかであり、評価に値するとした。同時に、日本のメディアを含む中国への「過剰反応」「強権政治」といった論調について、「感染症発生当初の、未知のウイルスと急速な拡散という状況を考えると、中国のウイルスに対するアプローチは十分に理解できる。国難に当たって心を一つにできるというのは、日中韓共通の国民性だ。中国ではウイルス感染拡大防止のために企業も市民も政府の呼び掛けに応え、政府の指揮に従い、地下鉄乗車の際の認証作業のようにAIを駆使した情報を積極的に政府に提供するなど、政府に対する信頼が表れている」と、中国への理解を示した。
元国連大使の谷口誠氏は、中国がイタリアに対し医療チームを派遣するなどの積極的な支援体制を評価。さらに「日中韓3カ国は協力して共に新型コロナウイルスの感染拡大に立ち向かい、医療分野での協力を出発点に、三国間における政治的信頼感を高めるべきだ」と呼び掛けた。
衆議院議員の伊佐進一氏は、中国の感染拡大抑制に関する経験への期待を表し、中国と日本が医療分野でのデータを交換し合い、治療と抑制における経験の共有を望むと語った。そして最後に、「伝染病は古くから人類を悩ませ続けてきた難題だが、同時に各国が協力し合うチャンスでもある。全人類が偏見と障害を乗り越え、団結して共にウイルスという敵と闘うべきだ」と持論を語った。
中国はイタリアに「防疫医療専門チーム」を派遣、支援を行った (新華社)
「安全重視」を呼び掛け
今回のシンポジウムは、日本ビジネスインテリジェンス協会の中川十郎理事長と、国際貿易投資研究所の江原規由首席研究員が司会を務め、愛知大学の高橋五郎名誉教授、健康福祉実践協会の今井敬喜理事長、共同通信の岡田充客員論説委員、毎日新聞論説室の坂東賢治専門編集委員がそれぞれ発言を行った。
シンポジウムの発起人の一人である、一帯一路日本研究センターの進藤榮一代表は最後に登壇、コロナウイルスのパンデミック化への政策戦略を提案した。進藤代表はまず、「新型コロナウイルスの世界的まん延により、全世界の株価は大幅下落し、世界中に恐慌を招いている。16世紀にペストが大流行した際には、神聖ローマ帝国を終焉へと導いた」とウイルス感染拡大の影響力を語った上で、歴史上まれに見る危機にひんした人類が、この状況にどのように対処すべきなのかという疑問に対し、まず「『一帯一路』構想による『第三国市場協力』の強化から始めよう」と提案。さらに「ユーラシア大陸と太平洋を基軸としたグローバルサプライチェーンを強固にし、ユーラシア大陸の膨大な人口と広大な面積という利点を最大限に発揮すべきだ」と説く。そして「6世紀のシルクロードは東と西の都市間をつなげ、物流と人的交流を形成した。私たちはこの歴史的経験を生かし、産官学連携を果たし、『日中韓三国シルクロード都市連盟』を構築する。そして国家間の対立抗争を潜在的に生む近代軍事安全保障戦略から脱却、防疫・防災を重視し、食料安全やエネルギーと持続可能な発展に向けた『人間安全保障』戦略への転換を進めたい」と提言した。
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