「愛返福来 京都支援」 中国人留学生グループが京都で義捐活動

2020-06-03 14:39:49

「青山一道同風雨、明月何曾是両郷」(日本と中国の国土は離れているが、大空の風や月に国境はないという意味)

 

人類は苦楽を共にする運命共同体だ。中国が新型コロナウィルス感染流行に必死で対応していた当初、日本政府や社会各界は率先して中国に防疫物資を届けてくれた。多くの中国人はこれに感動した。在日の華僑華人や留学生たちはマスクや医療物資を買い集めて祖国に送り、流行防止を支援した。例えば全日本華僑華人連合会(会長:賀乃賀)は加盟している70余の団体と一緒に、武漢等の地に緊急に必要な医療用物資数千万円を寄贈した。

  

 

 

4月からは日本国内での感染流行が日々拡大し、各地では医療物資の深刻な不足が発生して、医療システム崩壊の危機に直面した。千年の古都である京都の感染流行も、かつて京都に留学していた中国人たちの心に動揺を与えた。飲水思源(水を飲みて源を思う 他人から受けた恩を忘れてはいけないという意味)という元留学生たちの京都への思いは同じであり、京都のために何かできることはないかと考えた。

  

 
 京都大学附属病院佐々木助理院長より寄贈を受ける
 

4月22日、京都大学の元留学生で現在は立命館大学教授の周瑋生(日中発展促進会会長兼全日本華僑華人連合会名誉会長)の発案により、立命館大学中華校友会(会長:馬松)と日中発展促進会との共同で、京都防疫支援義捐活動が発足した。21名の執行委員会メンバーによる努力と各方面からの支援の下、わずか20日で225人から総額約39.6万人民元(約600万円)の義援金と物資が集まった。寄贈された各種マスク72500枚、フェイスシールド3000個、医用手袋1000枚、ゴーグル100個、消毒液400?は、4回に分けて京都市役所、京都大学附属病院、京都府立医科大学付属病院等の5ヶ所の病院や、同志社大学、立命館大学と付属小中高校に寄贈され、京都で最前線の防疫を担う医療関係者や京都市民のために、ささやかな支援の思いを届けた。物資以外にも、京都市役所と立命館大学教育基金会にそれぞれ50万円と78.8万円の現金が寄贈された。これはコロナ感染拡大の影響に困っている学生の援助に使われる。

 

援助を行った人のほとんどは、過去または現役の在日中国人留学生や華僑華人であり、関係する大学は30に及ぶ。京都大学、立命館大学、同志社大学等の京都地区の大学10校に加え、日本のその他地区の大学、例えば東京工業大学、東京大学、大阪大学、名古屋大学、筑波大学等、更には中国国内の北京大学、浙江大学、南開大学等からも援助の熱い思いが届いた。また19組の夫婦となった元留学生たちの参加もあり、京都に縁のある多くの中国国内の個人、会社、慈善基金会、そして米国華僑、山東省華僑連合会、留学生父兄会、韓国人留学生などからも続々と援助の思いが届き、関係者を感動させた。特に浙江緑城慈善基金会は、今回の義捐活動の情報を得るやすぐに4万枚のマスクを京都に贈ると決定した。今回の義捐活動に賛同してくれた人々は、発起人である立命館大学中華校友会と日中発展促進会の会員範囲を遥かに超えた。

 

アメリカのボストンに在住する浙江大学校友会会長の倪継紅さんは、かつて京都に来訪したことがあり、今回の活動のことを知るやすぐに米国から7000元を寄付した。日本浙江総商会の林立会長や千代田教育グループの陳秀姐董事長は、いち早く東京から医療物資を京都に送った。上海日本留学同学会の元秘書長であり上海達人教育情報コンサルティング公司董事長の孫志国さんは、自ら率先して義援金を拠出したことに加え、更に積極的に他の元留学生たちに義捐を呼びかけた。立命館大学中華校友会の景梅幹事長は、自社の倒産に直面しながらも、義援金を拠出し義捐活動に参加し続けた。日中発展促進会の事務局長を兼務する株式会社ビューティフルツアーの橋本社長も、自社の4月と5月の売上がゼロとなり、破産寸前にもかかわらず、積極的に義捐活動に参加し、自社のオフィスを義捐物資の倉庫として使用し、車や人を動員して義捐物資を運んだ。

 

1990年代に立命館大学を卒業した楊希堯さんは、今では中国国内の上場会社の社長だが、日本の感染流行発生後、すぐに身近な20余名の日本留学帰国者に義援金を呼びかけ、自社の義援金と合わせて160万円を集め、京都と名古屋に寄付した。九州にある立命館アジア太平洋大学の卒業生である尤会超さんは、中国から日本円50万円を寄付した。筑波大学を卒業した戴偉鵬さんは、今回の活動をネットでひんぱんに宣伝し、多くの留学生や友人たちに義捐活動への参加を呼びかけた。立命館大学院に進学希望の大連出身の留学生李さんや台湾の陳さんも、今回の義捐活動に参加した。

 

過去に京都を観光して京都に良い印象を持つ、日本に留学経験のない人々も少なからず今回の義捐活動に参加した。留学生たちの友人、友人のそのまた友人が、ウィーチャットのモーメンツで今回の義捐活動を知り、自ら進んで参加し、京都への祈りと支援を送った。

50万円の医療用マスクとゴーグルを寄贈した、上海卡桑国際貿易有限公司の何広憲社長のご尊父も中日友好事業に参加されていたが、何広憲社長はわざわざ名古屋から駆けつけて寄贈式に参加し、「京都の医療機関が防疫物資不足に直面している時、京都のために少しでも貢献出来たことは非常に光栄です」と話した。

 

周瑋生教授の弟子である張冲さんは立命館大学に留学したことがあり、卒業後故郷である浙江省浦江県で生活ごみ処理の環境保護事業に従事し、その事業は中国全国でのモデル事業となった。中国で新型コロナウィルス感染流行が発生した後、彼は故郷でひっぱくしていた医療用物資を大量に寄贈した。今回は執行委員会の主要メンバーとして、衡彦龍さん等の師弟関係のある人々と共に義援金を集め、義捐物資を提供して全力で取り組んだ。周瑋生教授の研究室では、40余名の在籍生及び卒業した中国と韓国からの留学生が義捐活動に参加した。

 

緑城中国慈善基金会より寄贈された4万枚のマスク

 

225人の愛を込めた1回義捐物資であるマスク3万枚

 

5月26日、緑城中国慈善基金会及び225名の義捐者の思いが込められた4万枚のマスクと現金128万円が、京都市役所と立命館大学に寄贈された。門川大作京都市長と森島朋三立命館大学理事長が自ら義捐物資を受け取り、今回の義捐活動の代表たちと親しく懇談した。市長と理事長からは、京都の一番厳しい時に留学生と中国からの愛を込めた支援がとてもありがたく、それらの物資を有効に活用し、義援金を経済的に困っている学生の支援に利用したい、と感謝の言葉をいただいた。

 

    
 門川大作京都市長と義捐車代表と歓談  京都市長よりマスクの寄贈を受ける

 

京都大学博士学位を取得後、現在は中国科学院で勤務する蔡聖華さんは、次のように語った。「京都は私たちが努力奮闘した場所です。人生の中で最も重要な記憶の中には、全て京都が含まれています。人生の大切な時に京都に留学していた中国の学生は、京都で一生懸命に青春の汗水を流したのです」

 

「愛出者愛返、福往者福来」(愛を与える者は愛される、福を与える者は自分にも福が来るという意味)——主要発起人であり、今回の義捐活動のオーガナイザーでもある周瑋生教授は、この場をお借りして全員を代表し、各義援金?義捐物資を寄せた人々と各機関に、京都への思いを形にした大きな支援と反響に感謝の意を表すと共に、中国、日本、世界が一日も早く新型コロナウィルスという世紀の災害を克服して、日常の生活や経済社会活動に復帰できることを祈念したい。

  

   
 京都府立医科大学附属病院夜久均院長より寄贈を受ける  立命館大学森島朋三理事長より寄贈を受ける

 

(備考)

立命館大学中華校友会は2012年に成立し、日本では初めての中国大陸、台湾、香港、マカオや世界各地の華人留学生たちが共に設立した、「中華」を冠に命名された校友会。立命館大学からは開学から百余年の間に、合計1万余名の華人が卒業している。

 

日中発展促進会は2013年に成立し、本部は京都にある。日中両国の経済、文化、教育、産業界の各有志を主な対象として、産官学研の合作をベースに経済、文化、教育、人材関連の交流合作活動に従事し、日中両国や世界の共同発展の促進を目的とした公益団体。

 
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