駐日本中国大使館=文
6月12日の朝、孫さん(24)はようやく日本から湖北省武漢市へ向かうチャーター機に乗ることができた。極めてまれな心臓病を患う孫さんは、武漢で心臓移植の手術を受けるため、帰国するのだ。
孫さんは3年前、山東省から来日。愛知県内で技能実習生として働いていた時に、「巨細胞性心筋炎」を患っていると診断された。心臓の機能が徐々に悪化していくこの病気の根治には、心臓移植が必要だ。
入院先の藤田医科大病院(愛知県豊明市)では孫さんの病状を重く見て、この難病治療のために、同病院心臓血管外科の高味良行教授をリーダーとする専門の医療チームを発足。昨年9月、高味教授らのチームは、孫さんの体外に人工心臓を装着する手術に成功した。人工心臓のおかげで、孫さんはリハビリによって病院内を歩けるほどまでに回復した。
しかし、日本国内では心臓のドナー(提供者)が少ない上、心臓移植の例も少ない。孫さんの病気の完治は同チームにとっての難題だった。
孫さんが治療を受けている間に母親が看病で来日した。中国国内にいる父親はあちこち奔走し、ようやく武漢華中科技大学付属協和医院から、移植手術ができるという連絡を得た。このため、中日の両病院はネットを通して孫さんの病状について何度も診察を行い、最終的に今年初めに帰国して手術を受けることが決まった。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大により、武漢への国際旅客便が制限されてしまった。時間はどんどん過ぎる中、孫さんを助け帰国治療を一刻も早く実現させようと、名古屋の中国総領事館では懸命に活動を後押しした。
中国の感染状況が収束に向かうとともに、孫さんの帰国治療の日が近づいてきた。そして6月12日。孫さんは、藤田医科大病院が近くの病院から借りた高規格救急車に乗り、高味教授らの医療チームが同行して中部国際空港に向かうことになった。
出発前、藤田医科大病院の湯沢由紀夫院長が孫さんに募金を手渡した。これは、高額な手術費用を援助するため、同病院などを経営する藤田学園の星長清隆理事長が、病院で働く職員有志に呼びかけ集めた募金だ。湯沢院長は、「これはほんの気持ちです。無事に帰国して手術が成功するよう祈っています。回復したら、ぜひまた日本に来てください。」と孫さんを励ました。
孫さんの母親は涙を流し、「娘は不幸にも病気になりましたが、たくさんの人に助けてもらい、本当にありがとうございました」と感謝した。孫さんも、「頑張って必ず治して、またみんなに会いに来ます」と言い微笑んだい。救急車の出発時には、多くの医師や看護師が見送りに来て、車の窓に近づき孫さんへの別れを告げていた。
中部国際空港では、スムーズな手続きのために、税関や出入国管理、警備施設などが「ファストトラック」サービスを提供し、孫さんの命を救う「グリーントラック」を切り開いた。
多くの中日の関係者たちに見守られ、孫さんが乗ったチャーター機は武漢に向かって飛び立って行った。両国の人々が協力し、つないだこの「命のリレー」は、次の目的地でさらにつながれていくだろう。
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