日本浮世絵と中国清代木版年画精品展が北京で開催中

2020-09-11 10:56:19

中国清代木版年画と日本の浮世絵作品を展示する「異域同絵――中国美術館所蔵日本浮世絵清代木版年画精品展」が202085日から、北京の中国美術館で開催中だ。

 

本展には、中国美術館が所蔵する日本の浮世絵75点、清代の木版年画52セット(61点)、明清代の中国絵画2点、計129セット(138点)が展示されている。「同源と変化」「形と様式」「技術と鑑賞者」「制作と発行」という4つのセクションに分け、日本の浮世絵と清代の木版年画の起源、技法、発行、様式などの類似点と相違点について考察した。

 

市井生活や人物の様々な姿、自然風景などを描いた浮世絵とは異なり、清朝の木版年画の画題は庶民生活に密着しており、明るく鮮やかな色彩と地域ごとの多様性が特徴となっている。新年を迎え、吉祥を願うための民間に根ざした年画という芸術様式は、平和や幸福、豊かさの追求といった庶民の願いが託されていて、人々が憧れる理想世界を描き、共通の民族的記憶を反映している。

 

 

清代の木版年画と日本の浮世絵は、中国と日本の民族芸術を代表するものとして、多くの共通点がある。歴史的な文脈からみると、両者は同じく社会の安定、商品経済の発達、木版印刷技術の成熟によって盛んとなった。製作技術においては、両者ともに明代の書籍版画から影響を受けており、木版重ね刷り技術を主とし、何度も刷りを重ねられるという特徴を持つ。画題と内容では、庶民階級の世俗生活や思想感情が反映されており、生活感や民俗性に満ちている。表現技法の面では、豊かで鮮やかな色彩が民間芸術の色の使い方の特徴を示していて、輪郭線を描いて色を塗る手法は東洋美術の平面的な装飾性を示している。

 

 

一方で、社会的機能や芸術的伝統の違いから、両者は異なる芸術様式を見せ、心理的追求や民族的性格を反映させている。前者は、多くの画題が農耕社会の人々が好むテーマから選ばれ、ポジティブな内容と温かく幸せな雰囲気を持っており、より良い生活を追求するという中国人の願いを表現し、楽観的で朗らかな民族的性格を反映している。後者は、遊里の女性や歌舞伎役者、景勝地などが多く描かれ、華やかでありながらも哀感を帯びた美的世界を作り出しており、人生の短さを嘆き、現世の快楽を追求し、自然を崇拝する日本人の深層心理と、彼らの繊細で鋭敏な性格と生ける者の欲望に対する開放的な態度が反映されている。

 

 

本展では、天津市の楊柳青、江蘇省蘇州市の桃花塢、山東省の濰坊、四川省の綿竹、河北省の武強、福建省の漳州などの中国の重要な年画産地の代表的作品が選ばれ、浮世絵では第一人者と称される菱川師宣、六大浮世絵師として数えられる鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、そして最後の浮世師と呼ばれる小林清親など、日本の重要な絵師の代表作を見ることができる。

 

 

ネット上には、「今回の展示は鑑賞ラインが近くに取られ、より間近に細部を観察できたので、最高でした」という声が寄せられている。

 

 

 

本展は1015日(月曜は休館)まで、中国美術館5階の展示室で開催される予定だ。(構成写真:続 昕宇)

 

人民中国インターネット版 2020911

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