若者が中国旅行をプランニング

2020-09-27 10:08:20

王朝陽=文

7月12日の午後3~5時の2時間にわたり、東京都日中友好協会青年委員会が企画・主催する第1回「中国旅行ワークショップ大会」がオンラインビデオチャットで行われ、三つのグループに分かれた中日の若者12人が、1カ月かけて練り上げた旅行プランを発表した。各グループはいずれも、中日国民感情の改善という民間交流の本質に迫り、旅行プランにその答えを盛り込んだ。

 

中国旅行ワークショップ大会では、最後に参加者全員が顔出しをしてオンラインで記念撮影を行った (写真提供・東京都日中友好協会青年委員会)

第1グループは、中国外文局と日本の言論NPOが共同で実施する中日共同世論調査を引用し、「中国に対して良い印象を持っている日本人の中で最も多く挙げた理由は、身近にコミュニケーションが取れる中国人がいる、中国の歴史や文化に興味がある、中国経済が急速な発展を遂げている、の3点だ」と分析。経済的に最も発展している上海に加え、悠久の歴史を持つ蘇州、杭州、寧波を目的地に選んだ。さらに宿泊施設をユースホステルにしたり浙江大学の学生食堂での食事を日程に組み入れたりと、現地の若者の生活により近い環境を提供することで、旅行を通じて経済発展や歴史文化を肌で感じ、現地の人々と交流することで対中感情を改善するというプランを提案した。

第2グループは、中国人の対日感情が近年良くなりつつあるのは、日本に旅行する人の増加と深い関係があると考えた。メンバーの岡村未来さんは「相手国への旅行は現地の空気や人に直接触れることができるため、好感度アップのきっかけとしては最適だと思います。湖北省武漢市は新型コロナウイルスのせいで最も誤解を受けている場所なので、あえてこの地を旅行先に選びました。私たちの考えたコースは歴史ある街の襄陽市、トゥチャ(土家)族文化の風情あふれる恩施市、自然と道教文化が一体化した武当山などの名所を巡ります。三国志ファンはもちろん、美しい風景を見るのが好きな人など、それぞれが自分の好みに合った要素を見つけられると思います。皆さんにはぜひこのコースを参考に湖北省を訪ね、新型コロナウイルス関連のネガティブイメージを払拭していただきたいと思います」と語った。

第3グループは主に日本の若者の中国に対する関心の薄さと、そんな彼らに旅行してもらうにはどうすべきかに焦点を当てた。メンバーの高林健太さんは「若者はとにかく情報が偏りがちで、中国への先入観と固定観念を抱いているため、中国旅行への興味や、一歩踏み出して知ってみようという好奇心を失っています」と問題を提起。「聖地巡礼」を若者の興味喚起のきっかけとし、人気漫画『キングダム』のファンに向けた中国歴史の旅をプランニングした。中国国家博物館での春秋戦国時代の文化財見学、秦始皇帝兵馬俑博物館で『キングダム』に登場する無敵の秦軍との記念撮影、華山に登り山頂で昔の衣装に着替え、『キングダム』の主人公が華山で剣の腕を磨くシーンを体感するなど、初めて中国に行く日本の若者に、中国の悠久の歴史と雄大な自然を存分に感じてもらうのが目的だ。

第3グループは映画『キングダム』のワンシーンと兵馬俑を並べることで「聖地巡礼」というコンセプトを際立たせた(写真・王朝陽/人民中国)

素晴らしい発表の裏には、中日両国の若者同士の協力がある。12人の若者は1カ月という準備期間を与えられたものの、実際に会うことはなく、インターネット経由での交流を重ねて絆をつくった。ウイルスが物理的往来を阻む非常事態の今、ネットが彼らを結び付け、友情を育んだ。発表後の自由交流で第2グループの梶本大子郎さんは、「感染症の流行が収束して渡航可能になったら、真っ先に旅行プランに挙げた湖北省に行って、グループの仲間と合流したい」と語っていた。また、オンラインイベントの効果について主催者の井上正順さんは、「元々は感染拡大防止の苦肉の策でしたが、実際にやってみて、より多くの人々にアプローチできることが分かりました。今後もこうしたオンラインでのイベントを行い、より多くの交流のチャンスを皆さんに提供したいと思っています」と期待を込めた。 
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