新たな学生交流を模索
王朝陽=文
「中国には子どもが習い事に行く習慣はありますか?」「日本の大学にはどんなサークル活動がありますか?」「中国の大学生の就活事情は?」「卒業後は農村の発展に貢献しますか?大都市で活躍しますか?」―日中友好会館と中日友好協会の共催による日中大学生インタビューリレーでは、日常生活から将来の選択に至るまでさまざまな質問が投げ掛けられた。
このイベントは、日中大学生500人交流に参加した両国の大学生24人が、中日各3人、八つのグループに分かれて質問を投げ合うというものだ。第1グループの日本人学生3人が三つの質問を出し、中国人大学生3人がそれに答え、新たに三つの質問を第2グループの日本人学生3人に投げ掛けるというリレー形式で行われている。質問と回答は日中友好会館公式ホームページに10月末まで8回に分けて連載され、『人民中国』の公式ツイッターでも見ることができる。
「今、日本ではPeing(ペイング)という質問箱がとてもはやっていて、若い人たちはこのアプリ経由で匿名で質問を送ったり答えたりして交流を深めています。今回のイベントは、このペイングのアイデアを拝借しました」とイベント責任者の日中友好会館総合交流部の郭寧部長は明かす。「今年は新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、従来のような直接交流型のイベントが開催できません。かといって何もしないわけにもいきませんから、新たな交流スタイルとして、オンラインのインタビューリレーを試してみようと思ったのです」と工夫を語った。
参加した学生はみな相手国への強い興味を持ち、かつ昨年の交流ですでに顔見知りになっているため、相手をより理解しようとする質問が続々寄せられた。「両国の青少年の相互理解を深めることがイベントの趣旨ですから、質問も『中国国内の旅行では、高速鉄道、バス、飛行機などのうちどの交通機関を使うことが多いか』『日本のあちこちで見掛ける小さな神社についてどう思うか』『中国の若い子はどんなドラマが好きなのか』といった、相手国のことを知らないと出てこない質問ばかりで、相手をもっと知りたいと思う積極的な姿勢がうかがえます」と、郭部長は学生のやりとりに手応えを感じているようだ。「中には、『卒業後は大学院に進むか就職するか』『都市に残るか農村の発展に貢献するか』といった、人生設計や価値観にまで言及するものもありましたが、若者なら誰でも経験する悩みだからか、皆さん非常に真摯に受け答えをしていました。国情や視点が違っても、同年代の答えはきっと参考になることと思います」
インタビューリレーは参加した学生からも好評だ。東洋大学の醤菜さん(ニックネーム)は「コロナが流行し、行き来が阻まれる中でも、インタビューリレーで再び日中交流に関わることができ、心からうれしく思っています。普段気付きにくい日中の文化や生活様式を知ることは、両国を多角的に理解するための助力になったと思います」と評価。中央大学の麻婆寿司さん(ニックネーム)は「多くの友人ができた昨年の500人大会がとても恋しいです。このインタビューリレーは、中国の同世代が何を考えているかを再確認する機会になり、普段聞けない疑問も聞くことができました。両国間には政治や歴史認識などの違いは確かにありますが、若者たちが食文化やドラマ、アイドル、アニメなどのサブカルチャーを起点にお互いをもっと知ることができれば、相互理解は確実に実現できると思います」と期待を込めた。