わたしと中国:中国で研究したい理由

2020-09-10 14:07:12

根本 萌希

 

中国と聞くと、我々はどのようなイメージを思い浮かべるだろうか。おそらくメディアによって作り出された中国像が先行して思いつくことだろう。また、そのようなイメージから中国の実態を知ることなく、こうと決めつけて一蹴する人もいるかもしれない。

現在、私は日本の大学院で日夜研究に従事している。そして、中国への留学を志望する者である。私の専門分野である会計領域では、欧米を志向する研究者が多くいる反面、中国を志向する人は相対的に少数である。実際に中国へ行きたいと話すと、「英語圏の方が良いのではないか」という意見をいただくことがある。会計という学問の成り立ちから考えると、欧米へ行くべきと言う意見が多くなるのも十分に理解できる。ではなぜ私が中国への留学を志望しているのか、その理由をいくつか述べていきたい。

周知の通り、中国は名目GDP世界2位の経済大国である。人口面で見ても、中国は約14億人と日本とは比較できない規模である。都内の中堅私学に位置する我が大学院では、博士前期課程の実に90%以上が中国から来た学生である。博士後期課程の学生を多く有するとある国立大学においても、半数以上の学生が中国出身であると漏れ聞いている。中国が純然たる学歴社会であることを差し引いても、その勉学に対する意欲は驚くばかりである。留学生の友人との会話の中で、「学覇」という興味深い単語が出てきた。成績優秀な人、優等生と言うような意味合いのようだ。勉学の覇者とでもいうべき学覇という単語を初めて聞いた時、その言葉の響きに強い衝撃を覚えた。日本では、中国語の学覇に相当するような単語を聞いたことがない。そのような言葉が生まれた背景として、名門大学(いわゆる名牌大学)に入るための苛烈な競争があるという。言わずと知れた「高考」である。日本ではしばしばセンター試験のようなものと説明されるが、その制度は複雑かつ一発勝負であることを考えると、安易にセンター試験のようなものとは言えない。おそらく私個人が想像しえないような背景を持つ人々が学覇と呼ばれているのだろう。中国のエリート層がどのような人々なのか。ぜひとも交流して意見を交わしてみたい。これが中国留学を希望する第一の理由である。

次に、中国の研究蓄積量が理由としてあげられる。学術データベースである「CNKI(中国知網)」を見てみると、自分の専門に関連する論文の多さにとても驚いた。日本の学術データベースである「CiNii」での検索結果(同一のキーワード)と比較すると、実に10倍もの差が見られた。研究者や院生の数が多いから論文数が多いのは必然であるという指摘がなされると思うが、国をあげて研究に注力しているのは紛れもない事実である。現在でこそ、学問の共通言語が英語だと言われれているが、10年もすれば中国語が共通言語となる可能性も十分にあると考えている。研究に対する熱量を肌で感じたいと思ったのが第2の理由である。

3に、中国の政策があげられる。李克強首相が20149月の夏季ダボス会議で提唱した「大衆創業、万衆創新」政策である。この政策により、中国では創業ブームが起こったと聞いている。往々にしてイノベーションが起こる場合、それに付随して何らかの変革が発生していてもおかしくない。一人の研究者として、中国発の新たな経営管理手法が登場することを強く期待している。そして、その手法がどのように発展していくかを身近で研究していたいという願望も抱いている。これが第3の理由である。

私が中国へ留学したい理由は以上の3つである。日本では感じられないような強い熱量を中国という国は有していると考えている。米中新冷戦の時代と言われつつあるが、今後は更に中国の動向が注視されることだろう。日中両国の発展に繋がるような研究者となれるよう日々精進を重ねていきたい。

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