Withコロナ−−−−困難に満ちた挑戦

2020-09-10 14:07:10

宮本 芽依

 

新年早々、新型コロナウイルス感染症拡大という不意の事態に見舞われ、それはあっという間に世界を席巻した。パンデミックの下、人々の仕事や生活等、すべてのことが新しいスタイルに変わりつつある。こうした変貌しつつある社会状況に応じて、私もこれまでに経験したことのない斬新な学習・生活を始め、様々なチャレンジを試みた。

私は昨年9月に上海交通大学に留学し始めた。冬休みに入った今年の1月に成人式に参加するため一時帰国をした。元々冬休みを終えたら上海に戻る予定だったが、思いもよらず、コロナの脅威で国と国の間は隔絶の状況に陥ってしまい、私は日本に残らざるを得なくなった。

新学期の始まりはやや遅れたが、32日、私は上海交通大学のオンライン授業に参加し、「留学」を再開した。最初、中国に戻れなくなったという現実があまりにもショックで、オンライン授業という名の「留学」を受け入れることができなかった。「これでも留学と言えるのか」、自分に何度も問いかけた。ところが、幸いなことに先生たちは、非常に熱心で、工夫を凝らし、授業を展開していった。私は、全力で勉強に努めることができた。だんだんオンライン授業にも慣れ、すきになり、学習成果も予想を遥かに上回るほどだった。

それにしても、オンライン学習はやはり中国に身をおいての留学とは違う。なんといっても、授業は対面ではないし、環境も大いに異なるからである。そういう心配もあり、私は、昼は上海交通大学のオンライン授業、夜は複数の日中言語交流コースに参加し、中国人と中国語でコミュニケーションをし続けた。また、ほぼ毎日新華社通信や上海交通大学のホームページ等を検索し、中国、そして母校上海交通大学の動向、情報を得続けた。さらに、ネットで中国の映画やテレビ番組を見、中国の音楽を聞き、映画と音楽をはじめ、身にしみて中国の文化を体験し続けてきた。

上海交通大学の存在は私の脳裏に焼きついて、離れがたい。母校に何かできるかと私は考えた。実際、私は2020年度の「上海交通大学友好使者」に選ばれた。この使命を果たすため、本来、私は1月の一時帰国を利用し、日本の複数の高校に訪問する予定であった。しかし、コロナの影響で、この活動を実施するのが難しくなった。そのような状況下、私の出身校――白鵬女子高等学校の恩師と連絡を取ることができ、同高校で交流活動を行う事となった。124日、私は白鵬女子高等学校で30名ほどの高校生を対象に、中国語と世界、留学生活等について報告を行い、関心が寄せられた。この報告会の反響がよかったか、6月に入って、恩師から突然連絡があり、同月26日に同高校の50名余りの学生向けに、Zoom2回目の報告会を実施した。その後、私の話を聞いて、進路を変更した学生がいたことを耳にした。自分の母校が二つ、国を超えてつながったような気がした。

このほか、私は中国語を学ぶメリットや上海交通大学の魅力、留学プログラム等を紹介する「名門上海交通大学」という動画を制作し、54日にYouTubeで公開した。少し素朴な動画ではあるが、意外にも、様々な人から質問や励ましの言葉を頂いた。まさに使者になった気分だ。

外出自粛の状況の中で、私がチャレンジしたもう一つの挑戦は、中華料理を作ることである。私はネットで本場の中華料理のレシピを探し、「麻婆豆腐」や「魚香肉絲」等を作ってみた。最初は火加減等がなかなか把握できなかった。失敗を重ね、今は少しずつ上達し、作った餃子もそれらしくなった。

この半年間の間に、新型コロナウイルス感染症拡大と戦いながら、私はオンライン授業と様々な実践を通して、中国語を上達させることができた。そして、留学生活の大事さを痛感しながらも、中国のことをさらに知ることができた。大好きな中国に、その身はないが、私の心はまるでまだ、中国にいるかのようだ。中国との私の心の距離はグッと縮まった。

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