读万卷书,行万里路

2021-10-28 15:53:37

原萌華

「なぜ中国語を勉強しているの?」これは私が中国語を勉強していることを伝えると必ず聞かれる質問だ。また中国留学をしていたことを話すと、決まって「なぜ中国まで留学に行こうと思ったの?」と質問される。私自身、中学生の頃は大学でこうも真剣に学んでいるとは想像もしなかった。これからの時代は第三言語が必要になるのではと考え、何気なくテキストを手に取ったあの日から私の中国語の勉強は始まった。“你好”、“再见”といった簡単な挨拶から始まり、“了”の使い方や使役構文まで基礎的な文法を1つひとつマスターしていった。もちろん右も左も分からない状態でテキストに頼りっぱなしであったから、途中で何度も自分の勉強方法は正しいのか不安になった。しかし学べば学ぶほど中国語ならではの美しい発音に魅了され、気づけば私は中国語学習に夢中だった。

大学1年の夏。大学の講堂で中国の古典演劇でもある京劇が公演され、私は幸いなことに最前列で鑑賞できた。幕が上がり、舞台にスポットライトが当たったその瞬間から驚きの連続で、息をすることさえ忘れてしまうほどだった。日本の歌舞伎とは異なる煌びやかな衣装、絶えず繰り広げられるアクロバットな動き、役ごとに異なる鮮やかなメイク…。見るもの全てが新鮮で、どの場面も脳裏に焼き付いて離れなかった。そして私は京劇を鑑賞したことで中国文化の奥深さに気付き、中国語の習得だけでなく「中国」について自分なりに深く理解したいと考えるようになった。当時から中国の経済成長は著しかったため、新聞やニュースで中国の名を聞かない日は無く、ニュース番組を見ていれば何となく把握できていた部分はあっただろう。それでも初めて京劇を鑑賞した時のあの衝撃が、「自分の目で本当の中国を確かめたい」という強い気持ちが、私の中国留学を後押しした。

大学2年の夏。中国へ旅立ってからというもの、私は生活の至る所で驚きを隠せなかった。特にスマートフォン1個で決済ができた日は、中国における科学技術の発展度合いを身に染みて実感したものだ。饿了吗外卖を使えばいつでもどこでも注文ができるし、1111日は淘宝で中国人のようにあらゆるものを爆買いした。目まぐるしい日々の中で、最初は中国の生活様式に慣れるので精一杯だったが、1か月も経てば新しいことを楽しむ余裕も十分出てきた。そして私の留学生活に更なる彩を与えてくれたのは、中国人の存在だった。

自己主張が激しい—日本人が中国人と聞いてまず抱くイメージではないだろうか。私も中国留学に行くまでは中国人と接する機会がなく、日頃のニュースから中国人に対して良い印象をもつのは難しかった。そのため留学前の一番の不安は日本から離れて生活することではなく、中国人と上手く交流できるのかということだった。だが実際に中国人と話してみたらこんな不安はすぐに吹き飛んだ。私の拙い中国語に一生懸命耳を傾けてくださる上海交通大学の先生方、顔を合わせる度にお菓子をくれる寮の管理人、たくさんお食べとご飯を大盛りにしてくれた阿姨と、どこにいても中国人の温かさに触れることができ、人と関わることの楽しさを思い出させてくれた。私にとっての本当の中国、それは多様な文化が共生し、情に厚く、人を思いやる心に溢れている中国人が生きる場だ。新型コロナウイルスの影響で予定されていた2年間の現地留学は6カ月になってしまったが、この6カ月で私は中国をより身近に感じ、中国を第二の故郷と名付けたくなるほど愛しい場所になった。

中国の諺で「读万卷书,行万里路(万巻の書を読み、万里の道を行く)」というものがある。私の中国語学習はまさにこの言葉の通りだと思う。これからも私は歩みを止めることなく「中国」を学び続けるだろう。そして、少しでも多くの日本人が中国人の良さを発見できるよう手助けすることが私に与えられた使命であり、実現したい人生の夢だ。

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