夏の発見

2021-10-28 15:13:49

井口栞奈

暑さで溶ける季節になった。私はやっとこの作文を書き始める。このテーマを見たとき自分と中国の関わりについて考えた。中華料理や中華ドラマ、中華アイドル等色々なことを思い浮かべたがどれも作文にするほどではなかった。まあまだ時間あるしゆっくり考えようと思いながら夏休みに入った。その時私は中国と大きく触れる出来事があった。

2021年夏、恐らく全世界を夢中にさせたイベントがある。そう、東京オリンピック。異例の無観客での開催だったが外にも出ない私にはその2週間、凄く充実していた。毎日テレビの前に立ち、日本を応援していた。普段は見ない競技を見るのはすごく新鮮で私の気持ちを凄く熱くさせた。特に私は中学時代卓球部だったこともあって卓球という競技は殆どの試合を見た。特に熱くなったのは混合ダブルスの決勝だ。最終セットにまでもつれる接戦で日本は最初の2セットを取られるもそこから怒涛の追い上げ。見ていて非常に興奮したし、スポーツの楽しさを久しぶりに感じた気がする。そこから卓球にハマりいろんな選手のプレー動画を見ていた。

ある日、いつものように卓球の動画を見ていたら混合ダブルスの決勝で惜しくも日本に破れた中国のペアが試合後のインタビューの動画が流れてきた。そこには劉詩雯選手が悔し涙を見せながらコメントをする姿、許昕選手が彼女の肩を優しく撫でる姿。私は失礼ながらも意外に感じた。でもそこから私の中で中国人のイメージが大きく変わった。女子シングルス、女子団体戦の両方で伊藤美誠さんと戦った孫穎莎選手。あの日本のエースの球を一切引き付けないくらいのボールの威力や速さ、全てが的確だった。試合中の彼女は一切笑わず、終始笑顔で卓球していた伊藤美誠選手とは真反対だった。だけどふと試合という舞台を降りれば他の選手に可愛がられたりする姿や、ニコニコしている場面が多かった。前に伊藤美誠選手のドキュメンタリー番組を見たときも一緒に試合したいと通訳を通して思いも伝えたり東京オリンピック後孫穎莎選手伊藤美誠選手両者があなたがいるから頑張れるとメッセージを言い合う関係性。私は驚いた。私の中での中国の人のイメージは強くて、プライドが高いイメージだったが、劉詩雯選手の涙を流す姿を見て、きっと中国という卓球大国という国だからこそ金メダルを取らなきゃというプレッシャーに押しつぶされていたのだろう。正直言って素で弱い彼らの姿を見たのは初めてだ。すごく新鮮だった。そしてみんなとても可愛かった。卓球をしている姿からは想像できないくらい好奇心旺盛な姿だったり、笑顔でチームメイトやコーチと会話をする姿。卓球をする姿はすごく強い印象なので、ギャップの差に惚れそうになった。もう一つ気づいたことがある。日本人選手、中国人選手は凄く仲が良いことだ。伊藤美誠選手が手作りおにぎりを中国の選手やコーチにあげたり、会話をしたり。勿論中国語を話せない日本人選手もいるが必死に伝えようとする姿、そしてそれを一生懸命受け取ろうとする中国人選手の姿を見てすごく幸せな気持ちなった。この複雑な現代でライバルでいながらもお互いが尊重しあうことができる仲、スポーツを通して築けるこの関係を素晴らしいと思った。そして勝手な先入観を持っていた自分を叱りたい。このオリンピックというイベントは私に沢山の興奮をくれたし、驚きも発見も与えてくれた。もっと中国について深く知れたような卓球を通して感じたこの感情を他にも感じてる人はいるだろうか。全く同じ発見をした人はいるだろうか。いないと思って少し優越感に浸りたくなった。

 

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