共に想像の翼広がる未来へ Panda杯2021表彰式オンライン開催

2022-01-27 16:45:12

黄沢西=文

 昨年11月23日、Panda杯全日本青年作文コンクール2021オンライン表彰式が中国外文局アジア太平洋広報センターと駐日本中国大使館、公益財団法人日本科学協会の共同主催により北京で行われた。中国外文局の杜占元局長と孔鉉佑駐日本大使はそれぞれ北京と東京からオンライン表彰式に出席し、祝辞を述べた。また、日本科学協会の顧文君常務理事、森ビル株式会社の星屋秀幸顧問、東日本国際大学の西園寺一晃客員教授、中国日本語教学研究会の徐一平名誉会長らのゲストや協賛団体の代表者、日本人受賞者約100人がオンライン交流を行った。

 

Panda杯全日本青年作文コンクール2021オンライン表彰式の様子(写真・楊振生/人民中国)

 

コロナ下で寄せられた400作品

 2014年から始まったPanda杯は、中日間の青少年交流を促進し、日本の若者たちにより全面的かつ客観的、そして理性的に中国を知ってもらうことを趣旨としている。同コンクールの開催は今回で8回目となり、これまでに日本全国から寄せられた応募総数は3500点近くに上る。

 

祝辞を述べる杜占元局長(写真・劉嶸)

 

祝辞を述べる孔鉉佑駐日本大使(写真提供・駐日本中国大使館)

 昨年のPanda杯はおととしに引き続き、「@Japan わたしと中国」をテーマとして、16歳~35歳の日本人を対象に日本語作文の募集を行った。新型コロナの影響でさまざまな困難がある中、400点もの応募作品が寄せられた。厳正な審査の結果、優秀賞10名、入選10名、佳作35名、ならびに団体賞4校が選ばれた。そのうち団体賞は沖縄県立八重山商工高等学校、創価高等学校、立命館宇治高等学校、神田女学園高等学校が受賞した。

 杜局長は祝辞の中で、このたびのPanda杯で見られた中日の若者が誠実に交流し、互いに引かれ合う物語は、友好と協力の強化を求める両国民の真実の声を反映したものだと指摘した。また杜局長は、「両国民の友好の未来は若い世代にかかっています。19年、習近平国家主席がPanda杯の受賞者の一人に送った返信は、中日の若者が今後歩むべき方向性を指し示しました。両国の若者が文化の学び合いを推し進め、相互理解を深めて、両国の未来のために友情の種をまき続け、中日友好事業の発展に若い力をより一層ささげることを願っています」と語った。

 孔大使は祝辞の中で、「中日は一衣帯水の隣国であり、国民感情の改善は両国が直面している共通課題です。両国の若者が先人の素晴らしい伝統を積極的に受け継ぎ、中日の友好交流とさまざまな分野での互恵協力に奮って参加し、中日関係の発展により多くの源泉からの活力と内なる原動力をもたらすことを期待しています。2022年北京冬季オリンピックは、夏冬両季五輪の開催都市となる北京で幕を開けます。冬季五輪の選手たちが競技場で最高のパフォーマンスを発揮し、素晴らしい成績を収め、両国の選手が大会を通じてたくさんの友好の物語をつづることを願います」と強調した。

 日本財団の尾形武寿理事長はビデオメッセージを寄せ、他国との交流では誤解を招く現象が時々起こるが、そのような時こそ等身大の日本を知ること、また等身大の今の中国を知ることが求められ、相互交流や相手国を訪問することが重要であると述べた。加えて尾形理事長は、中国は日本の重要なパートナーであり、政治や経済、宗教といったありとあらゆる違いを乗り越え、中日両国の民間交流をこれからも後押ししていくと語った。

 日本科学協会の高橋正征会長もビデオメッセージを通じ、「中国を訪問すると、中国の若者の皆さんから、いろいろな質問や考えを聞かれます。意見交換がより充実したものとなるように、ご自身の興味や関心のあることについて、ぜひ事前に調べて考えを整理しておかれることをお勧めします」とアドバイスを送った。

コンクールの審査員と受賞者によるオンライン表彰式(写真提供・王朝陽/人民中国)

 

未来へと歩み続ける中日の若者

 受賞作品はこれまでの多次元的な視点を受け継ぎながら、中日の今後の協力について自由闊達な提言を行うものが多く見られた。

 真﨑雄大さんは優秀賞の受賞作品である『科学技術の国』で、研修で上海を訪れた際、中国の科学技術の大きな変化を切に感じて、中国と縁を結び、グローバルな課題の解決のために中国の友人と共に貢献することを志したエピソードをつづった。

 審査員の星屋氏は講評の中で、「日本の若者が自分と向き合い、素直に表現し、独特な観点から中国と関わっていることに感銘を受けました。私は両国の未来を楽観視しています。なぜなら、日中の将来を担う若者が民間交流を通じ、鋭い感性で相互理解を深め合い、信頼を確かなものにしているからです」と語った。

 受賞者代表の森楽歩さんは、「交流を始めた当時の私は、中国についてほとんど何も知らず、メディアの偏った報道の影響で正直あまり良いイメージを持っていませんでした。2度中国を訪れましたが、モバイル決済やシェアリング自転車など当時日本ではまだまだ普及が進んでいなかったものに刺激を受け、国際交流で偏見や先入観がもたらす危険性と、自分自身で正しい情報を選び取る重要さを痛感しました。こうした経験から、私も中国語を身に付け、中国についてもっともっと知りたいと思うようになり、日々勉学に励んでいます。私はこれからも日中の青年交流に貢献できるよう、そして日本と中国の懸け橋になれるよう努めていきたいと思います」と感想を述べた。

 表彰式では両国の若者によるビデオレターが放映されるとともに、2021年度Panda杯青年交流について実施されたアンケートの調査結果が発表された。

 表彰式の司会を務めた中国外文局アジア太平洋広報センターの陳文戈主任は、受賞者たちが待ち望む中国訪問について、新型コロナがしっかりと抑制された後、21年の受賞者の訪中は20年、22年の受賞者たちと共に22年下半期に行われる予定だと語った。


 

調査結果まとめ

 

Panda杯青年交流アンケートの調査結果について、アジア太平洋広報センターの王衆一総編集長は次のように詳しく解説した。

 2019年6月、習近平国家主席がPanda杯の受賞者である中島大地さんに返信をした後、より多くの日本の若者が本コンクールに関心を抱き、参加しました。中日の若者の交流を一層促し、各種世論調査に見られる日本人の対中好感度の低さについて新たな視点から考える手掛かりとなるよう、20年よりPanda杯参加者と中日交流を行っている日本の若者を対象として、アンケート調査を行っています。

 昨年5月から9月にわたり、2021年度Panda杯青年交流アンケートはつつがなく実施され、最終的に211名の有効回答が集まりました。そのうち152名は学生で、59名は社会人でした。

 データが示す回答者の若者の意識傾向としては、次の4点が挙げられます。

 第一に、日本の若者は主に日本のメディアやSNSで中国に関する情報を得ており、日本のメディアによる中国報道は一面的だと感じています。同時に、それらの回答者は客観的かつ全面的に真実の中国を理解する上で、中国メディアが大きな助けとなっていると考えています。

 71・09%の回答者はテレビやラジオに代表される日本のメディアが中国に関する日頃の情報源であり、50・71%はフェイスブックやツイッターなどSNSを通じて中国情報を得ていて、これらの数字は20年からほぼ横ばいでした。

 また、74・41%の回答者は、「日本の報道から受ける中国のイメージが自身のイメージより悪い」と答え、56・87%が日本のメディアは中日関係促進や相互理解に「貢献していない」もしくは「マイナス効果になっている」と考えています。この2項目は20年に比べて約4ポイント増加しました。

 そして、56・40%が訪中日本人観光客減少の原因として、「メディアの報道を見て、中国の大気汚染や食品事情が心配だから」と答えています。

 特筆すべきは、今回新たに設けた「中国のメディアはあなたが全面的かつ客観的にリアルな中国を知ることに貢献していますか?」との問いに対し、48・82%が「貢献している」「多少貢献している」を選んだことです。

 第二に、20年と比べて、日本の若者は現在の中日関係への憂慮を深めていますが、中日関係と中日協力の重要性もより強く意識しています。多くの若者は両国に相通じる東方文化の価値観を十分に認め、東方の知恵がグローバルな課題の解決上、重要な意義を持つと考えています。

 72・51%の回答者は現在の中日関係を「あまり良くない」または「良くない」とし、この値は20年より14・35ポイント増加しました。97・63%が日本にとって中日関係は「とても大切だ」もしくは「比較的大切だ」と考えており、92・89%が「アジアと世界の平和と繁栄の実現のため、中日両国はより緊密な協力関係を構築すべきだと思う」と回答しています。

 また、63・98%が「2000年以上の交流の中で、中日両国は共通の東方文化と価値観を形成してきたと思う」と答え、そのうち85・93%は「こうした東方文化や価値観は、新型コロナウイルス感染症の抑制、気候変動、貧富の格差の解消、共同発展といった今日の世界の諸問題に対して、重要な意義があると思う」としました。

 第三に、多くの日本の若者が中国の若者と交流する意欲を持ち、留学や修学旅行での相互訪問、文化交流の機会が増えることで、両国の青少年交流が深まることを望んでいます。またその際、メディアが積極的な役割を果たすことを期待しています。

 93・33%の回答者が「若者世代の中国人の友達が欲しいと思う」と答えました。また、84・36%は若者世代の中国人と「学業、就職、恋愛、結婚などライフスタイルについて話したい」と回答しています。さらに、半数以上の人が新型コロナの収束後、中日両国の官民は青少年の交流のために「留学派遣、修学旅行などの相互訪問、芸術や音楽、スポーツなど文化交流の場を増やすべき」としました。

 第四に、Panda杯への参加を通じ、日本の若者は中国への認識を深めると同時に、相互理解の重要性を認識し、中国を知り、中国の人々に接したいという願いを強めています。

 72・51%の回答者はPanda杯参加のきっかけについて、「もっと中国を理解したいから」と答えました。過去の受賞者に聞いた訪中交流の満足度は100%で、その収穫としては「中国語学習への興味が強くなった」が最も多く、「中国と中国人への理解が深まった」がそれに続きました。さらに、93・33%が訪中研修参加を通じ、「中国や中国人への印象が良くなった」とし、95・73%はPanda杯参加で「もっと中国を理解したい」「もっと中国人と交流したい」と思うようになりました。

 20年に比べ、昨年は有効回答が5割近くまで増えました。このことは新型コロナで両国の人的往来が制限される中、日本の若者が中国を理解し、中日交流に参加したいという切なる願いに変化がないことを十分に反映しています。

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