中日韓の若者が追う夢 「悟空杯」漫画コンテスト授賞式

2022-02-08 15:33:06

王焱=文

昨年12月27日、東方の夢を追う――「悟空杯」中日韓青少年漫画コンテスト2020授賞式がオンライン・オフライン連動で北京にて開催された。中国外文局の杜占元局長、中国外交部の王福康大使、日本の貴島善子駐中国公使、韓国の金辰坤(キム・ジンゴン)駐中国公使参事官、中日韓三国協力事務局の欧渤芊事務局長らがオンラインまたはオフラインで出席し、加えて中日韓3カ国の受賞者、審査委員、大学関係者など約150人がテレビ会議形式で参加した。

 

授賞式で祝辞を述べる中国外文局の杜占元局長(写真・楊振生/人民中国)

 

陳文戈主任(写真・楊振生/人民中国)

 

3600点の応募作

「悟空杯」中日韓青少年漫画コンテストは李克強総理が2019年12月に開かれた第8回中日韓首脳会議で初めて提唱したのを受けて開催されたものであり、3カ国の芸術交流と青少年の友情の深化を促し、友好のバトンが次の世代に受け継がれるよう後押しすることを趣旨としている。

本コンテストには多彩なテーマと作風の3600点余りの作品が寄せられた。伝統文化を題材としたものや現代生活に着目したもの、中日韓3カ国の人々による新型コロナウイルス感染症との闘いの物語に焦点を当てたものなど、友情を深めて交流の輪を広げるという3カ国の青少年の共通の願いがそれぞれの作品によって示された。

3カ国の専門家からなる審査委員の選考を経て、中国の作品『枕中記』、日本の作品『てるこさん』、韓国の作品『ゲームプレーヤー』が最高賞の「悟空賞」を受賞し、それぞれ賞金6万元(約108万円)を獲得した。これらの3作品は各国の青少年漫画で一流のレベルにあり、それぞれ特色を持っている。『枕中記』は繊細で優美な淡い色彩を用い、唐代の小説『黄粱一夢』の物語を漫画で表現した。また、『てるこさん』は日本でオーソドックスな白黒線の画法を巧みに生かし、高校のキャンパスを舞台とする青春コメディーの世界に読者をいざなった。そして『ゲームプレーヤー』は韓国で最も流行している縦スクロール漫画により、ゲームに夢中の青年がその中に入り込み、冒険サバイバルを繰り広げる物語を描いた。

 

共に描き出す3カ国の友情

杜局長は授賞式で述べた祝辞の中で、「文明が互いに混じり合い、人々が親しく付き合う上で、若者はその先駆けとしての役割を発揮すべきだ。コンテストの参加者一人一人が3カ国の文明と友情を伝える青春の力であり、各作品はいずれも3カ国の文明と友情の融合を示す素晴らしい証しだ。3カ国の青少年は『悟空杯』中日韓青少年漫画コンテストをプラットフォームとし、漫画を通じてそれぞれの文明と国情を深く理解して、互いに学び合い、共に中日韓3カ国の友情の未来図を描き出してほしい」と指摘した。

中国外交部の呉江浩部長補佐(外務次官補)は本コンテストに際して送った祝電の中で、「仏典を求めて天竺へと向かった玄奘の物語は古くから日本列島に伝わり、孫悟空が妖魔を払う伝説は朝鮮半島で口伝されていった。困難を恐れず果敢に向かっていく孫悟空は、3カ国の代々の民衆にとって共通の文化的記憶となっており、3カ国の民心の疎通を後押しする重要な文化的絆にもなっている。コンテストが3カ国の協力に青春の原動力をもたらし、若者の漫画家が夢を羽ばたかせるための翼となることを願う」とした。

同じく中国外交部の王福康大使は、今回のコンテストにおける3カ国の関係機関の一致した努力と青少年たちの積極的な参加に感謝の意を示した。また同氏は、入選した人もしなかった人も、今後も引き続きコンテストに参加し、新型コロナの収束後には3カ国の青少年がオフラインで集い、漫画のテクニックで切磋琢磨し、共に友情を語り合えるよう願っていると語った。

日本の貴島公使は、中日韓3カ国は文化面での交流で悠久の歴史を持っていると指摘し、「悟空杯」は漫画に携わる人々に実力を磨き、交流する場をもたらしており、3カ国の若者は「悟空杯」を通じて学び合い、テクニックを磨くことで、自らの才能をより高めることができると述べた。

韓国の金公使参事官は、孫悟空は3カ国の青少年によく知られたキャラクターであり、「悟空杯」に寄せられた漫画作品には、孫悟空から人々がイメージするチャレンジ精神、信念、勇気、責任感、団結精神が表されていると語った。

中日韓三国協力事務局の欧事務局長は、「漫画は3カ国の青少年にとって共通言語のようなものであり、簡潔で生き生きとしたイラスト表現により言葉の壁をなくし、互いの心の距離を縮めている。コンテストの参加者たちは漫画によって心の中の夢を描き出し、友好の懸け橋を築き、3カ国の芸術分野における友好交流と学び合いを促進している」と指摘した。

また、授賞式ではゲストたちが各入選作品を読み上げた。中国外文局アジア太平洋広報センターの陳文戈主任は、今回のコンテストで特別に設けられた新型コロナとの闘いをテーマとする賞の入選作品を発表し、受賞者たちに祝意を示した。同氏はメディアの取材に対し、「これらの優れた作品は若い作者たちの才能に加え、互いに助け合う中日韓3カ国の隣国同士の友情を表している」とコメントした。

 

会場のゲストたちにより正式スタートが宣言された「夢追いプロジェクト」(写真・劉嶸/中国報道)

 

国際的視野を広げる機会に

授賞式では3カ国の受賞者がオンラインで発言し、漫画を通じてお互いの歴史を深く理解し、学び合い、共に成長していきたいと述べた。

『枕中記』の作者である之所艤さんは、「『悟空杯』が中日韓の作者のためにオープンなプラットフォームを立ち上げ、お互いに理解し、学び合う機会をもたらしてくれました。日韓の作品を鑑賞することでそれぞれの国の文化や生活、精神世界が分かりましたし、皆さんにも私の作品を通じて中国の伝統文化の魅力を感じてほしいです」と話した。

『てるこさん』の作者である長橋さくらさんは、「このような国際的コンテストへの参加は自分自身の成長につながると思い、自分の作品が海外で読まれることを意識して、広い視野で漫画と向き合うことができました」と語った。

また、授賞式の締めくくりには、中国外文局アジア太平洋広報センターの王衆一総編集長が「中日韓青少年漫画人材育成計画――夢追いプロジェクト」を読み上げ、会場のゲストたちにより正式スタートが宣言された。同プロジェクトは中国外文局の中国国内外メディアにおける強みをよりどころとして、3カ国の青少年に交流の場をもたらし、彼らの夢の実現を後押しするもので、3カ国の文化クリエーティブ産業における協力に新しく重要なきっかけを作るものでもある。

新型コロナ対策のため、コンテストではオンライン展示場を設け、3カ国の漫画愛好家がネット上で自由に見られるよう、全ての受賞作品の中日韓3カ国語版が公開されている。

なお、今回のコンテストは中国外文局が主催し、中国外文局アジア太平洋広報センター(人民中国雑誌社・中国報道雑誌社)、ビリビリ動画、株式会社KADOKAWA、星際互娯など3カ国の組織による共同運営で行われ、今後は毎年1回開催される予定だ。

 

中国の作品『枕中記』

 

日本の作品『てるこさん』

 

韓国の作品『ゲームプレーヤー』

 

中日韓の青少年漫画人材を育む 夢追いプロジェクト

 昨年12月27日、東方の夢を追う――「悟空杯」中日韓青少年漫画コンテスト2020授賞式が開催された。式の締めくくりには、中国外文局アジア太平洋広報センターの王衆一総編集長が同コンテストの組織委員会の委託を受け、「中日韓青少年漫画人材育成計画――夢追いプロジェクト」を読み上げた。

 王総編集長は、「かつて第1回『悟空杯』がスタートした時、私はコンテストが目指すテーマとして『雲に乗り、漫遊し、夢を追う』という言葉を考案しました。その後、新型コロナウイルス感染症による困難を克服し、1年余りの準備を経て、各方面の積極的な参加とサポートの下、『雲に乗る』と『漫遊する』はすでに達成することができました。星のように輝く受賞作の数々は、雲に乗る孫悟空のごとく高みに達し、人々を楽しませています。また、数多くの参加者たちはコンテストを通じ、漫画創作の世界を自由に巡り、それぞれ収穫を得ています。そして今、残り一つのテーマである『夢を追う』を実現すべく、『中日韓青少年漫画人材育成計画――夢追いプロジェクト』が実施の運びとなりました」と述べた。

 加えて王総編集長は、「『夢追いプロジェクト』は中国国内外のメディアにおける中国外文局の強みをよりどころとして、コンテストで頭角を現し、発掘された創作の潜在力を持つ若者の漫画人材に専門的な養成を行います。同時に、優秀作品の連載や出版、映画化、ゲーム開発など幅広い分野にわたる育成支援を進め、PRやプロモーションを十分に行い、オリジナル漫画のボーダーレス化を後押しします。また、コンテストを通じ、才能を発揮するより多くの機会が優れた人材にもたらされ、優秀作品がより全面的に見いだされ、作者と作品の正当な権利がよりしっかりと守られるようにします」と語った。

 「夢追いプロジェクト」はその中心となる指導教官や審査委員に、中国国内外の有名な漫画家、映画監督、脚本家、編集者などを招く。集中養成ではハイレベルな研修や体系的な教育を通じ、プロジェクトで学ぶ若者たちの体験・実践や作品創作を指導し、スキルの向上と創作の潜在力喚起を後押しし、漫画分野のさまざまな業界との橋渡しや支援を行う。

 同時に、中国外文局と中日韓3カ国の主な漫画プラットフォーム、出版社、高等教育機関、アニメ企業、国際漫画フェスティバルなど各方面との長期的協力をベースとして、創作の才能と情熱に満ちた青少年の漫画創作者が世界に向けて作品を発表する場を立ち上げ、漫画界の俊才が国内および海外で才能を世に示す機会を作り出し、漫画・アニメ産業にフレッシュな人材を送り出すとともに、業界を下支えする。

 王総編集長は、「『夢追いプロジェクト』の始動は漫画分野の人材を蓄積し、国際交流の新モデルを模索する上で良いきっかけを作り出しました。『夢を追う』という本コンテストが目指す三つ目のテーマが、皆さんの積極的な参加と各方面の力強い支援により、現実のものになると確信しています。漫画を愛する3カ国の若者がこの機会を捉え、プラットフォームを通じてさらに頭角を現し、地域の人的・文化交流を促進する上でより大きな貢献を果たすことを願っています」と述べた。

 

授賞式で「夢追いプロジェクト」を読み上げる王衆一総編集長(写真・劉嶸/中国報道)

関連文章