優しい中国

2022-10-26 11:30:53
前川 紗乎

私が幼かったころは、父の仕事の関係で新しい土地に引っ越しをすることが多くありました。そして、そのすべてが国内での引っ越しでした。しかし、私が6歳の頃に突然中国の北京に引っ越しをすると父に伝えられました。幼い私は馴染みのない土地で何も分からないまま、北京で暮らすことになり、私は幼稚園の年長から小学2年生までの2年間半北京に住んでいました。短い期間でしたが、学校や普段の生活などを通して多くの事を経験できました。その中で、私が最も印象的だった当時の中国と日本の違いについて話したいと思います。

それは中国の人は子どもに優しいと感じたことです。日本では電車やバスなどに優先座席があって基本的に高齢者の方に譲るという考え方がありますが、中国では子どもが席を譲ってもらう傾向があるなと思いました。実際に地下鉄やバスが混んでいても、私が立っていると気が付いた時には席を譲ってくれました。そのため、私は中国の公共交通機関で立っていた記憶があまりありません。日本では高齢者に譲ると思っていたので、中国の子どもに席を譲るという文化には驚きました。また、私がスーパーで母と買い物をしていると、ある中国人の方が私に話しかけてきました。突然話しかけてくることにも驚きましたが、その内容は私がその人の孫に似ているからお菓子を買ってあげたいということでした。孫に似ているという理由で知らない人に話しかけて優しくしてくれることは、滅多に見ることもないし経験したこともありませんでした。さらに、優しくされるのは子どもだけではなく子育てをしている母や父にも優しく接します。これは母が教えてくれた話ですが、母が私たち兄妹3人を連れて外出をしていると、「あなた一人なの?」と心配してくれたそうです。また、泣いている子どもを近くにいた人が泣き止ませようとしているのを見たそうです。なぜ中国では子どもに優しくするのかを調べてみると、昔から縁起物の絵にも繁栄のシンボルとしとして子どもが多く描かれていたそうで、子どもの重要視は中国の伝統の一部なのかもしれないという説がありました。もちろん日本も子どもに対して優しくしますが、席を譲るなど伝統として子どもに優しく接するということが日本と違って面白いなと思いました。小さいころに優しくされた経験があると、大人になったときに自分も誰かに優しくすることができるようになると思います。また、子育てしている親に優しくするのは本当に素晴らしいことだなと思いました。ネットで、転んで泣いている子どもをあやす親の動画に対して「泣いていて可哀想」や「転ばないように見ていない親がいけない」など優しくないコメントを見かけます。このように親を批判するのではなく、お互いに助け合う温かく見守る精神を持つことが大切だと思います。そのようにすることで、小さな子どもを連れた親も過ごしやすくなると思いました。

中国へネガティブなイメージを持つ人がいると思いますが、実際に行くと全然知らなかった一面を知ることができます。私も中国在住経験をしたことで、中国へは良いイメージを持っています。そして、互いの国の良いところを取り入れて優しい社会を作ることに繋がると良いなと思いました。

 

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