中国との関係

2023-10-23 15:32:00

 

尾上 桜

 

私が幼いころ、中国に対していいイメージがなく私の人生の中で関わることはないだろうと思っていた。それは、祖父母や身近な人がテレビのニュースだけで仕入れた情報をすべてだと考え、それを私に伝え、本当の中国を見ていなかったからである。そんな環境で生活していた私は高校2年生まで中国と関わることはテレビのニュース以外でなかった。

高校2年生の新学期が始まり、授業の担当教員も変わった。そして、国語演習の授業を担当していた、杉村先生と出会った。杉村先生は定年を過ぎた非常勤講師であったため、ほかの先生よりも気軽に話しかけられる存在で、スギちゃんと呼ぶようになった。このスギちゃんの存在が私と中国の関係を変えてくれたのである。スギちゃんは、数年間中国の大学で日本の古典について教えるために駐在していたことがあり、そこでの中国の学生や先生、市民との関りを通して分かった日本と違うことを、私たち日本の学生に教えてくれた。ニュースでは知ることができない中国の面白い文化・伝統・習慣や地域ごとに異なる生活地域の環境などについて話を聞いたことによって、異文化に興味があった私は中国も自分とかかわりがある国だと考えるようになり、さらに世界が広まった。今はスギちゃんと連絡は取っていないが先生が卒業アルバムに書いて残してくれた、「加油!」の通りに大学で頑張っている。

大学の必修外国語選択において、スギちゃんと出会うまでは中国語の授業を受ける気が全くなかったが、スギちゃんのおかげで中国に興味を持ち自分で交流してみたいと思うようになってからは、中国語を取ろうと決め、実際に今は大学で授業を受けている。さらに、そこでもまた素敵な出会いがあった。それは中国語の授業を担当している崔学松准教授との出会いである。崔先生は日本に長く住んでいる韓国系中国人で東南アジアの文化を専門としている人物である。そのため、今までの人生経験からの知識が日本にとどまっている人よりも数多くあり、毎回の授業では刺激を受けてばかりであった。日本の政治に関しても外国からの考え方を教えてくれることで、私自身の価値観もかなり変わったと感じている。先生の授業は教室では行わず、研究室に行って中国のお茶を飲み雑談を交えながら、和気あいあいとした雰囲気の中で行うため、ほかの授業とは違い、本当に楽しみながら言語だけではなく文化や地理的・歴史的な背景を考えながら取り組むことができている。中国人と深く関りを持ったのは崔先生が初めてであり、中国人の人柄に対する今までの自分の思い込みを完全になくすことができたと考える。また、そのおかげもあって、観光で日本に来ていた中国人のご家族に自ら話しかけにいくことができて、習ったばかりの下手な中国語でも相手は丁寧にやさしく返事をしてくれたことが中国へ行って現地の人と交流してみたいという思いをより一層強くさせた。

これまでの私の中国との関係を振り返ってみると高校時代の杉村先生と出会ったことから始まり、大学で崔先生とも出会うことが決まっていたかのように感じる。中国という大きな国家と関わりのある人物と出会えたことは3年前の私が想像していなかった「私」になることができた。私は、祖父母や身近な人、中国に悪いイメージを持っている人が中国に対して少しでもいい思いが持てるように、私が日本と中国の架け橋になり、ニュースからの情報だけで世界の国について固定観念を持つことを止めることができたらいいと願う。

 

 

 

人民中国  2023年10月25日


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